
1160億円詐欺疑惑が“まさかの無罪放免”へ?米司法省、暗号資産マイニング詐欺「ビットクラブ」創業者の起訴取り下げに動く
米司法省が、約1169億円規模の暗号資産詐欺疑惑で起訴されていたビットクラブ創業者の訴追取り下げに動いている。元同僚3人がすでに有罪を認めるなか、米国の暗号資産規制は大きな転換点を迎えている。

米司法省(DOJ)が、暗号資産マイニング事業をうたった「ビットクラブ・ネットワーク」の創業者に対する起訴を取り下げようとしている。ビットクラブは2014年から2019年にかけて、投資家から7億2200万ドル、日本円にして約1169億円をだまし取ったとされる大型詐欺事件だ。
裁判所に提出された書面によれば、マシュー・ゲッチェ被告の弁護団は水曜日、ニュージャージー地区連邦地裁のクレア・チェッキ判事宛てに書簡を提出。係争中の起訴内容について、当事者間で「原則合意に達した」としつつ、「条件を最終確定するための時間が必要だ」と説明した。

この提出は、ブルームバーグ・ローが金曜日に報じた内容に続くものだ。同報道は事情に詳しい2人の関係者の話として、ワシントンの副司法長官室がニュージャージーの連邦検察に対し、ゲッチェ被告の事件を「再起訴不可」の形で取り下げるよう命じたと伝えている。
ゲッチェ被告は2019年12月に起訴され、10月には通信詐欺共謀と未登録証券の販売をめぐって裁判を受ける予定だった。仮にこの方針転換が実現すれば、米国の暗号資産規制史においても、かなり目立つ転換点となる。というのも、同じスキームに関与したとされる元同僚のシルビウ・バラチ、ジョセフ・アベル、ゴードン・ベックステッドの3人は、すでに有罪を認めているからだ。
今回の方針転換の背景には、2025年4月にトッド・ブランシュ副司法長官が出したメモがある。ブランシュ氏はその中で、デジタル資産業界に対する「起訴による規制」戦略を終わらせるよう司法省に指示していた。
コインテレグラフは司法省にコメントを求めたが、記事公開時点で回答は得られていない。
ビットクラブは2014年4月から2019年12月まで運営されていた。表向きはビットコインのマイニングプールを名乗り、投資家が持ち分を購入すれば、受動的なリターンを得られるとうたっていた。しかし実際には、投資家向けの収益額を偽り、マイニングデータをでっち上げ、新たな投資家を誘い込んでいたとされる。
過去の裁判資料によれば、ゲッチェ被告は自身のモデルについて、「バカどもの背中の上に成り立っている」と表現していたという。
それでも司法省は「暗号資産の悪党」を追い続けている
もっとも、司法省が暗号資産犯罪の摘発をやめたわけではない。
4月には、カリフォルニア州のエバン・テイジマン被告が、ソーシャルエンジニアリング詐欺や住居侵入を通じて、被害者から約2億6300万ドル、日本円で約426億円相当の暗号資産を盗んだ犯罪組織に関与したとして、禁錮70カ月を言い渡された。
また司法省は同じ4月、米国人を狙った投資詐欺に関連する7億ドル超、約1133億円相当の暗号資産を凍結。さらに2月には、東南アジアで活動していた犯罪詐欺グループに関連する約5億8000万ドル、約939億円相当の暗号資産を押収している。

