
AIエージェントに「VISAカード」を握らせる日が来た クロスミントが開いた“人間不在決済”の扉
ステーブルコインとウォレット基盤を手がけるクロスミントが、AIエージェントに決済機能を持たせる新たなAPIを発表した。対象となるVISAのクレジットカードやデビットカードを使い、AIエージェントが自ら支払いを行えるようにするというものだ。

ステーブルコインとウォレット基盤を手がけるクロスミントが、AIエージェントに決済機能を持たせる新たなAPIを発表した。対象となるVISAのクレジットカードやデビットカードを使い、AIエージェントが自ら支払いを行えるようにするというものだ。これにより、これまでデジタル空間に閉じがちだったAIエージェントの活動は、カード決済という“現実の商取引”へと踏み出すことになる。
発表によれば、このサービスはVISA・インテリジェント・コマースと、決済インフラ企業ベーシス・セオリーの仕組みを利用する。AIエージェントは、利用者のカード番号そのものに触れることなく、あらかじめ設定された利用上限の範囲内で買い物を実行できる。クロスミントの公式発表でも、クロード・コード、オープンクロー、ヘルメス、ゾー・コンピューターなどのエージェント基盤で、安全にVISAカード決済を行えるとしている。
決済機能は、同社のツールロブスター・キャッシュを通じて利用できる。クロード・コード、オープンクロー、ヘルメス、ゾー・コンピューターといったプラットフォームに接続可能で、開発者は同社のAPIとドキュメントを使って、すぐに決済システムを組み込めるという。
クロスミント共同創業者のアルフォンソ・ゴメス=ジョルダナ氏は、コインテレグラフに対し、同社の決済インフラはカード決済とステーブルコイン決済の双方に対応していると説明した。
競合サービスの中には、新たに発行したバーチャルカードを使うものもある。しかしゴメス=ジョルダナ氏によれば、クロスミントは利用者がすでに持っているVISAカードをトークン化する方式を採用している。そのため、利用者はカードのポイントや特典を維持したまま、AIエージェントに一定範囲の支払い権限を与えられる。
「エージェントに決済機能を組み込もうとする開発者には、カード情報を標準的に扱う方法がありませんでした。そのため多くの開発者は、カード番号をそのままエージェント環境にさらすような回避策に頼らざるを得なかったのです」
ゴメス=ジョルダナ氏はそう語る。
同氏によれば、クロスミントは現在、VISA以外にもマスターカードやアメリカン・エキスプレスと連携し、AIエージェントによるカード決済対応を広げる取り組みを進めている。
人間がいない決済をめぐる競争
クロスミントの今回の発表は、AIエージェントに資金を持たせ、サービスへアクセスさせ、取引を完了させるという、より大きな潮流の一部だ。そこに人間が毎回介在する必要はない。いわば“人間不在の商取引”をめぐる主導権争いである。
この分野で先行しているのは、暗号資産関連企業だ。
今年2月、コインベースは「エージェンティック・ウォレット」を発表した。AIエージェントが同社のx402決済プロトコルを通じて、暗号資産を保有し、使い、取引できるようにする仕組みだ。
続いて3月には、ムーンペイがオープンソースのウォレットフレームワークを発表した。AIエージェントがひとつのウォレットから暗号資産を管理し、複数のブロックチェーン上で取引できるようにする狙いがある。
さらに5月には、サークルが一連のツールを公開した。AIエージェントがウォレットを持ち、サービスを見つけ、USDCを使ってプログラム可能な支払いを実行できるようにするものだ。
一方、伝統的な決済企業も黙ってはいない。
VISAは3月、AIエージェント向け決済ツールVISA CLIを導入。その後、トークン化された決済情報と利用制限を組み合わせ、AIエージェントが買い物を行えるようにするインフラインテリジェント・コマース・コネクトを発表した。VISA自身も、AIエージェントが消費者や企業に代わって安全に取引できる環境づくりを進めるとしている。
サークルのジェレミー・アレールCEOは今年初め、将来的には数十億体のAIエージェントがステーブルコインを決済に使う可能性があると予測した。自律的に動くソフトウェアには、それ専用の金融インフラが必要になる――というのが同氏の見立てだ。
AIが文章を書き、コードを書き、資料を作るだけの時代は終わりつつある。次に来るのは、AIが自ら買い、契約し、支払う時代なのかもしれない。クロスミントのAPIは、その危うくも現実味を帯びた未来に向けた、ひとつの号砲である。

Source: Cointelegraph
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