
コインベース、AIエージェントで暗号資産取引を自動化 支払いも可能に
コインベース・フォー・エージェンツは、ユーザーが暗号資産を「常時監視」せずに管理できるようにする新機能だ。AIエージェントが、売買や資金配分などを自律的にこなす。

米暗号資産交換所大手コインベースが、AIエージェントにユーザーの代わりに支払いや暗号資産取引を行わせる新ツールを発表した。暗号資産企業が、AIブームという大波に乗ろうとするなかでの一手である。
コインベースは木曜日、「コインベース・フォー・エージェンツ」を立ち上げると発表した。これは、チャットGPTやクロードのようなAIモデルをユーザーの取引口座と接続し、売買や投資戦略の実行を指示できるようにする仕組みだ。
AIエージェントは、コインベースのAI決済プロトコル「x402」を使って支払いもできる。つまり、人間が逐一操作しなくても、ボットが取引戦略を実行するために必要なデータサービスに料金を支払い、情報を集めることが可能になる。
暗号資産企業は、この技術を、AIエージェントが頻繁に行う少額・高頻度の取引を支える手段として売り込んでいる。高性能なAIモデルの登場により、AIエージェントの人気は高まり、トレーダーの間でも、自律的に投資戦略を実行させる動きが広がっている。
コインベースによれば、このツールは二つの形で利用できる。一つは、AIモデルがユーザー口座に接続するための「モデル・コンテキスト・プロトコル(MCP)」。もう一つは、開発者向けのコマンドライン・インターフェースだ。

Source: Coinbase
さらに同社は、アプリ内に組み込まれたAIエージェント「コインベース・アドバイザー」も導入したと説明している。これは、米証券取引委員会(SEC)および米商品先物取引委員会(CFTC)に登録された投資助言業者で、取引に関する助言を行えるという。
コインベースは、このツールにより、ユーザーは暗号資産を「常に手作業で監視することなく」管理できるようになるとしている。たとえば、資金を報酬プログラムに振り分けたり、定期購入を実行したりすることが可能だ。
同社は、こんな例を挙げている。
「たとえば、ETHを毎日最も有利な時間帯にドルコスト平均法で買いたいとします。エージェントに目標と期間を伝えるだけでいいのです。エージェントは過去30日分の時間足価格データを取得し、ETHが歴史的に最も安く取引されやすい時間帯を特定します。そして、その時間に20ドル(約3,200円)の成行買いを毎日実行するよう設定し、今後2週間にわたってスケジュールします」
もっとも、AIエージェントに投資を任せれば儲かる、というほど話は単純ではない。
先月発表された研究では、AIエージェントの利用者が損失を出しており、しかもエージェント自体も実際には完全に自律しているとは限らない、という結果が示された。
パンテラ・キャピタル、スタンフォード大学、アバ・ラボ、イニシアチブ・フォー・クリプトカレンシーズ・アンド・コントラクツの研究者らは、92万5000人超のトークン保有者を調査した。その結果、エージェントの財務部門は帳簿上3000万ドル(約48億円)の利益を上げていた一方、トークン保有者全体では1億9170万ドル(約307億円)の損失を被っていたという。
研究ではさらに、調査対象となった多くのプロジェクトについて、「自律的な取引執行を示す明確な証拠はまだない」と指摘した。かなりの割合のプロジェクトは、実態としては「基本的なAPI連携」にすぎないというのだ。
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それでも、コインベースは、AIエージェントが複数のサービスをまたいでやり取りし、決済を行う未来に賭ける企業の一つである。
ステーブルコイン発行企業のサークルは先月、AIエージェントがウォレットを利用し、サービスを発見し、自社トークンでプログラム可能な支払いを行えるツールを発表した。サークルのジェレミー・アレールCEOは、今後5年以内に数十億体のAIエージェントがステーブルコインを使うようになると予測している。
今月初めには、ステーブルコインとウォレット基盤を提供するクロスミントが、AIエージェントに対象のビザのクレジットカードやデビットカードを使わせ、支払いを可能にするサービスを開始した。
暗号資産投資会社キーロックは5月のレポートで、AIエージェントはすでに急速に「発達したエコシステム」を形成していると指摘した。同社によれば、2025年5月から2026年4月までの間に、AIエージェントは1億7600万件の取引を処理し、決済額は7300万ドル(約117億円)に達したという。

