米商品先物取引委員会(CFTC)のマイケル・セリグ委員長が、バイデン前政権下のCFTCについて、暗号資産交換業者ジェミナイの共同創業者を「政治的に標的にした」と主張した。
セリグ氏は火曜日、CNBCのインタビューに出演。自身の下でCFTCは、執行行政を「本来あるべき基準に戻そうとしている」と語った。念頭にあるのは、バイデン政権下で進んだとされる暗号資産業界への強硬姿勢である。
セリグ氏自身も、ドナルド・トランプ米大統領に指名された政治任用の委員長だ。その点を認めながらも、最近報じられたCFTC職員の削減については、「ロー・フェア(法的手段を使った政治的攻撃)に関与していた人物」を対象にしたものだと説明した。
「バイデン政権は、暗号資産業界やその他多くの業界に対して、連邦機関を武器化した」
セリグ氏はそう断じたうえで、こう続けた。
「彼らは、ウィンクルボス兄弟のような人々を政治的に狙った。それは許されることではない。われわれは、その誤りを正している。最初からやり直す。政府機関は、ロー・フェアのために使われるべきではない」

Michael Selig in Tuesday interview. Source: CNBC
500万ドルの和解金、取り消し申請へ
セリグ氏率いるCFTCは先週、ジェミナイとの**500万ドル(約8億円)**の和解について、連邦裁判所に取り消しを求めた。この和解は2025年1月、CFTCがトランプ政権下に入る前に成立していたものだ。
ジェミナイの共同創業者であるタイラー・ウィンクルボス氏とキャメロン・ウィンクルボス氏は、それぞれ100万ドル(約1億6000万円)をトランプ氏の2024年大統領選キャンペーンに寄付していた。その後、両氏はホワイトハウスで開かれたイベントにも出席。ステーブルコイン関連法案「GENIUS法」の署名式にも姿を見せている。
セリグ氏は、具体的な事実関係については「現在進行中の訴訟なので踏み込まない」としながらも、次のように述べた。
「重要なのは、CFTCが政治的に人々を標的にするために使われたのであれば、それを元に戻すということだ。われわれは新たに始める」
元CFTC委員長は「極めて異例」
一方で、過去に成立した和解について、CFTCが自らの立場を覆そうとする動きには、驚きの声も出ている。
元CFTC委員長のティモシー・マサド氏は、ジェミナイのようにすでに和解済みの案件で、規制当局が方針を反転させようとするのは「極めて異例」だと指摘した。
コインテレグラフはジェミナイにコメントを求めたが、記事公開時点で回答は得られていない。CFTCの広報担当者は、裁判所が取り消しを認めた場合でも、当事者間では「500万ドルの制裁金はジェミナイに返還されない」ことで合意していると説明した。
ひとり体制のCFTC、予測市場にも強硬姿勢
現在、セリグ氏はCFTCの唯一の委員であり、同時に委員長でもある。2025年には、キャロライン・ファム前暫定委員長を含む幹部の辞任や退任が相次ぎ、CFTCの指導部は空席だらけとなった。
そのなかでセリグ氏率いるCFTCは、カルシやポリマーケットといった予測市場プラットフォームをめぐり、個別州の規制よりも連邦商品法が優先されるとの立場を取っている。ミネソタ州など、予測市場の制限や禁止を試みる州・地域に対しては、CFTCが訴訟を起こしている。

Source: Polymarket
本来、CFTCは5人の委員で構成される機関だ。多くの米議員はトランプ大統領に対し、超党派の規制当局者で委員会を埋めるよう求めてきた。しかし火曜日時点で、大統領は新たな人事を発表していない。
バイデン政権下の“暗号資産包囲網”を、トランプ政権の規制当局が巻き戻す――。
ジェミナイをめぐる和解取り消しの動きは、その象徴的な一幕となりつつある。

