
セルシウス訴訟、チェイナリシスへの請求の大半を棄却 「33億ドル監査」めぐる主張は継続
米連邦裁判所は、破綻した暗号資産レンディング企業セルシウスの訴訟管理人がチェイナリシスに対して起こした訴訟について、大半の請求を棄却した。一方、セルシウス幹部による受託者義務違反をチェイナリシスがほう助したとする請求については、審理を続けることを認めた。

米連邦裁判所は、破綻した暗号資産レンディング企業セルシウス・ネットワークの訴訟管理人がブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)に対して起こした訴訟について、大半の請求を棄却した。ただし、1件の請求については審理を継続することを認めた。
残ったのは、チェイナリシスがセルシウスの内部関係者による受託者義務違反をほう助したとする請求だ。
ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所のマーガレット・ガーネット判事は29日、チェイナリシス側によるこの請求の棄却申し立てを退けた。裁判所は、セルシウスが2020年に発表したプレスリリースに虚偽の記載が含まれていることをチェイナリシスが認識しており、その情報の拡散を支援したとする原告側の訴えには、十分な根拠があると判断した。
一方、その他12件の請求については、今後この訴訟で原告側が訴えを修正できない形で棄却した。
消費者保護法に関する3件の請求については、再提訴を妨げない形で棄却された。原告側には10月20日までに、これらの請求を修正して提出するか、修正しない意向を裁判所に伝える期限が設けられている。
暗号資産レンディング企業のセルシウスは、暗号資産市場が急落した2022年7月に破産を申請した。その1カ月前には出金を停止し、顧客は約47億ドル(約7410億円)の資産にアクセスできなくなっていた。
今回のチェイナリシスに対する訴訟は、債権者への資金返還を目指すセルシウスの財産管理手続きの一環として進められている。
チェイナリシスはコインテレグラフに対し、コメントできないと回答した。セルシウス側の訴訟管理人からは、記事公開時点までに回答がなかった。
セルシウスの訴訟、「33億ドルの監査」が焦点に
セルシウスは2020年、チェイナリシスに依頼し、同社の「リアクター(Reactor)」ソフトウェアを使って運用資産残高を算出した。その後、セルシウスはこの結果を「監査」として公表した。
チェイナリシスに依頼した経緯を報じた記事によると、裁判所が訴状の内容をまとめたところ、セルシウスの幹部は当初、リアクターを使って約11億8000万ドル(約1860億円)の資産を算出していた。その後、算出方法を変更したことで、金額は約33億ドル(約5200億円)まで増加したという。
2020年12月9日、セルシウスは「チェイナリシス・リアクターを利用し、33億ドルの資産を確認する『監査』を実施した」とするプレスリリースを発表した。
この「監査」は、セルシウスが2018年にサービスを開始して以降の取引、預金総額、出金総額などを基に算出されたものだった。
原告側は、チェイナリシスがこのプレスリリースの作成、編集、承認を支援したと主張。さらに、こうした作業を「監査」や「独立した検証」と表現することが虚偽、または重要な点で誤解を招く内容だとチェイナリシスが認識していたと訴えている。
ただし、これらの主張が事実として立証されたわけではない。チェイナリシスは訴訟そのものを全面的に棄却するよう裁判所に求めていた。
今回の訴訟を起こしたのは、ブロックチェーン・リカバリー・インベストメント・コンソーシアム(Blockchain Recovery Investment Consortium、BRIC)だ。
BRICはセルシウスの財産について訴訟管理人および回収管理人を務めており、セルシウスと一部の元顧客に代わって請求を追及している。

