
暗号資産を匿名で送る時代は終わり?オーストラリア、7月1日から全送金に本人情報ルール
7月以降、オーストラリアで事業を展開する暗号資産取引所は、すべての出金・入金について、利用者に追加情報の入力を求めることになる。

オーストラリアの暗号資産取引所の利用者は、まもなくすべての送金において、これまでより厳格なルールに直面することになる。同国の「トラベルルール」が7月1日(水)に施行されるためだ。これにより、オーストラリアはEU、米国、英国などと同様の規制枠組みに足並みをそろえることになる。
7月以降、オーストラリア国内で規制を受ける暗号資産取引所を通じて暗号資産を送受金する場合、利用者は追加情報の提供を求められる。たとえば、暗号資産の送金先または受取元となる人物の氏名、利用するプラットフォーム名などだ。
暗号資産取引所スウィフトエックスで詐欺・金融犯罪対策部門を率いるギャビー・ルイス氏は、コインテレグラフに対し、大半の取引所利用者にとって「影響はごく限定的なものになるはずだ」と語った。
「必要な情報を一度入力すれば、その後は将来の利用に備えて保存されます」
今回の規則は、オーストラリアを、すでに数年前からトラベルルールを導入している他国と同じ水準に引き上げるものだ。国際的な政策立案機関である金融活動作業部会(FATF)は、2019年にこのルールの適用対象を暗号資産にも拡大していた。
暗号資産の利用者の間では以前から、このルールによって技術本来の匿名性が損なわれるのではないか、また暗号資産の送金履歴と個人情報がひも付いたデータが流出するリスクがあるのではないか、との懸念が根強い。
ただ、ルイス氏はこう指摘する。
「トラベルルールは暗号資産に特化したものではありません。すでに金融サービス全般に適用されているルールであり、シンガポール、米国、ニュージーランド、英国などでも導入されています。オーストラリアもそれに続く形です」
このルールの目的は、暗号資産の送金の追跡可能性を高めることで、マネーロンダリング、テロ資金供与、詐欺を防ぐことにある。執行を担うのは、同国の金融情報機関であるオーストラリア取引報告分析センター、通称オーストラック(AUSTRAC)だ。
規制対象の暗号資産取引所から、コールドストレージ・ウォレットのような自己管理型アドレスへ送金する場合も、利用者はそのアドレスが自分のものであると確認し、申告する必要がある。
ルイス氏はこう説明する。
「基本的には、そのウォレットが本人のものかどうかを簡単に確認するという話です。追加手続きが主に発生するのは、別の相手方や別の取引所が関わる送金です」
オーストラリアのトラベルルールには最低金額の基準がない。つまり、金額の大小にかかわらず、すべての送金について取引所は情報を収集しなければならない。これは、フランス、オランダ、日本など、最低基準額を設けていない国々と同じ対応だ。

Source: Sam Green
一方で、国によっては報告対象となる最低金額を定めている。たとえば米国では、3,000ドル、日本円で約48万8,000円以上の送金についてのみ情報収集が行われる。
オーストラリアで事業を展開する一部の暗号資産取引所は、すでにトラベルルールの導入を始めている。クラーケンは3月31日から、コインジャーは火曜日から対応を開始した。
オーストラリア議会が2024年に成立させたこのルールをめぐって、最近、オンライン上の暗号資産ユーザーからは賛否入り交じる反応が出ている。
あるレディットユーザーは今月初め、こう書き込んだ。
「この新ルールで、匿名で暗号資産を送ることはもう忘れたほうがいい」
別のレディットユーザーも6月上旬、こう不満を漏らしている。
「新しいトラベルルールは常軌を逸している。今は全部コールドストレージに移そうかと考えている」
これに対し、あるレディットユーザーは「そもそも規制対象のプラットフォームは匿名ではなかった」と反論した。
さらに別のユーザーも、こう書き込んでいる。
「当局がすでに関心を持つような活動に関わっていない限り、あなたが思っているほど大きな問題ではない」
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