
暗号資産は量子コンピューターに破られるのか?アルゴランドが2027年までに本格対策へ
量子コンピューターが暗号技術を突破する――そんな未来の脅威に備え、アルゴランドは耐性を持つ新アカウントとコンセンサスメカニズムの導入に動き出している。

レイヤー1ブロックチェーンのアルゴランドが、量子コンピューターという“次なる脅威”に備えた計画を明らかにした。ネットワークの基盤インフラを2027年末までに更新し、広範な量子耐性を備えるというロードマップである。
アルゴランド財団の技術責任者であるブルーノ・マーティンス氏は木曜日、今回のアップデートについて、同ネットワークに「広範な量子耐性」を持たせることを目指すものだと説明した。アルゴランドはこの脅威について、すでに数年前から研究と準備を進めてきたという。
「世界中の政府、標準化機関、セキュリティ専門家たちは、量子コンピューターが今日のデジタルインフラを守っている多くの暗号システムを破るかもしれない未来に向けて、すでに準備を始めている」
マーティンス氏はそう語った。
アルゴランドは、量子コンピューターへの備えを進める最新の暗号資産プロジェクトとなる。利用者の間では、量子コンピューターが暗号資産エコシステムの根幹を支える暗号技術を破り、数十億ドル、つまり数千億円規模の価値が悪用の危険にさらされるのではないか、という懸念が高まっている。
量子コンピューターは、現在のスーパーコンピューターをはるかに上回る性能を持つとされる技術だ。まだ初期段階にあるとはいえ、グーグルの研究者らは3月に発表した論文で、ブロックチェーンを保護する暗号技術を破るために必要なリソースは、従来想定されていたより少なくて済む可能性があると指摘した。
その論文では、アルゴランドが最も量子コンピューター対応に近いブロックチェーンである可能性にも言及している。一方で、イーサリアムやソラナも、量子コンピューター時代に備えるための解決策を積極的に模索しているという。
マーティンス氏によれば、アルゴランドのロードマップには、量子耐性暗号を前提に設計された署名方式「ファルコン」に基づく新しいアカウントの導入が含まれる。

Source: Algorand
さらに、同ブロックチェーンは現在の暗号方式を使ったコンセンサスメカニズムも更新する予定だ。現在の方式は量子耐性を持たないためである。
あわせて、コンセンサスに参加するアカウントの運用方法も見直す。検討中の選択肢には、従来型の署名と量子耐性署名を組み合わせる「ハイブリッド型」の方式も含まれている。
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暗号技術に対する量子コンピューターの脅威は、政府や企業の間でも大きな懸念となっている。量子コンピューターが暗号を破れるほど強力になる前に、多くの企業が対策を進めているのだ。その時期は、早ければ2030年にも到来する可能性がある。
フランスのサイバーセキュリティ機関ANSSIは火曜日、量子耐性暗号を備えていないセキュリティ製品について、認証を停止すると発表した。企業に対し、2030年までに量子安全な製品だけを作るよう促す狙いがある。
米国家安全保障局、NSAもすでに動いている。2027年1月1日以降、すべての新しい国家安全保障システムに対し、同局の量子耐性アルゴリズムの使用を義務づける。量子耐性を持たないシステムについては、2030年末までに段階的に廃止しなければならない。
グーグルもまた、量子コンピューターのハードウェアと誤り訂正技術の進歩が急速に進んでいることを踏まえ、2029年を準備期限に設定している。
先月には、テゾスが量子コンピューター攻撃への耐性を持つ決済用ブロックチェーンの試作版を立ち上げた。ステーブルコイン発行企業のサークルも4月、自社のアーク・ブロックチェーンを量子対応にするためのロードマップを公表している。
さらに、カリフォルニア工科大学の研究者らは、実用的な量子コンピューターの実現には、これまで考えられていたよりもはるかに少ないリソースで済む可能性があると理論づけている。場合によっては、2030年より前に登場する可能性すらあるという。
暗号資産業界にとって、量子コンピューターはまだ“明日の危機”ではない。だが、アルゴランドをはじめとする各プロジェクトの動きは、もはや単なるSFの話として片づけられない段階に来ていることを物語っている。

