
ビットコインに再び暴落警報 日銀利上げより怖い「クジラ売り」の正体
日銀利上げのたびに売られてきたビットコイン。平均下落率は22.5%――迫る金融政策決定会合は、再びBTC暴落の引き金となるのか。

2024年以降、ビットコイン(BTC)は日本銀行(日銀)の利上げ後に、4度にわたって大きな調整を経験してきた。下落率は18%から28%に及ぶ。こうした経緯から、市場の視線はいま、6月16日に予定される日銀の金融政策決定会合に注がれている。
ただ、足元のデータが示しているのは、ビットコインへの圧力が日銀の金融政策だけでは説明できないという現実だ。大口保有者、いわゆる「クジラ」による売りや、取引所への資金流入の方が、むしろ重しになっている可能性がある。
日銀利上げとビットコイン急落 歴史は繰り返すのか
日銀の政策とビットコインの関係が注目されるのは、日本がマイナス金利政策を解除して以降、利上げのたびにビットコインが大幅な調整に見舞われてきたからだ。
2024年3月19日の利上げ後、ビットコインは18%下落した。同年7月31日の利上げ後には18.5%下げた。
さらに2025年1月24日の利上げ後には約25%下落し、2025年12月19日の決定後には28%の調整を余儀なくされた。
4回の平均下落率は22.4%に達する。

BTC/USD, one-week chart. Source: Cointelegraph/TradingView
ただし、これらの売りがすべて同じ環境で起きたわけではない。2024年3月の調整は、現物ビットコインETF相場の中でビットコインが史上最高値を更新した直後に起きた。2024年7月の下落は、高値圏を下回る水準でのもみ合いが続いた後に発生し、円キャリートレードの急激な巻き戻しとも重なった。これはビットコインだけでなく、世界の市場全体に波及した。
2025年1月と12月の下落は、いずれも長い上昇相場の後に起きた。現物市場と先物市場の30日需要が縮小していた局面でもあった。

BTC: spot and perpetual futures demand growth contraction. Source: CryptoQuant
日銀政策とビットコインの関係は、しばしば「円キャリートレード」と結びつけて語られる。長年、投資家は低金利の円を借り入れ、その資金を株式や暗号資産など、より高いリターンを見込める資産に投じてきた。
日銀が利上げすれば、こうしたポジションの一部が解消される。結果として、リスク資産には売り圧力がかかる。2024年7月の利上げは、近年でも最大級のキャリートレード巻き戻しと重なり、ビットコインだけでなく世界市場全体の急落を招いた。
もっとも、同じ条件がいまも強く働いているとは限らない。日銀は2024年3月時点のマイナス0.1%から、すでに0.75%まで政策金利を引き上げている。同じ期間に、日本の10年国債利回りも0.63%から2.68%へ上昇した。

Japan's 10-year bond yield increase since 2024. Source: TradingEconomics
日本の借り入れコストは、すでにマイナス金利時代よりも高くなっている。そのため、追加利上げのインパクトは、超緩和政策からの最初の転換ほど大きくない。6月16日の会合は、新たな引き締め局面の始まりというより、すでに進行中の利上げサイクルの延長線上にある。
市場アナリストのクリプティック・トレーズも、円キャリートレードの再巻き戻しをめぐる懸念は過剰だと指摘する。同氏は、日本は2024年の時点でデフレ的な政策枠組みから実質的に離脱したとみている。
同氏はこう述べた。
「円キャリートレードは2024年以降、すでに死んでいる。市場にとっては大騒ぎするほどの話ではない」
重しとなるビットコインのクジラ売り
日銀会合は、トレーダーが注視するマクロイベントではある。だが、オンチェーンデータが示すより差し迫った圧力は、別のところにある。
暗号資産アナリストのモレノDVによると、6月初旬に売りが始まって以降、バイナンスでは100〜1,000BTC、1,000〜1万BTCを保有するウォレットからのビットコイン流入が増加している。その結果、同取引所に流入したクジラ資金の30日合計は66億ドル、約1兆560億円に膨らんだ。

Bitcoin whale to exchange flow. Source: CryptoQuant
この圧力は、すでに実際の損失確定にも表れている。短期および長期のクジラは、今回の下落局面で合計25億ドル超、約4,000億円の損失を確定した。大口保有者の一部が、すでにエクスポージャーを減らしていることを示している。
とりわけ脆弱なのは、短期のクジラだ。この層は5月初旬に約10日間だけ含み益に戻ったものの、現在は約160億ドル、約2兆5,600億円の含み損を抱えている。ポジションは損益分岐点に近く、価格が戻るたびに売りが出る火種になりかねない。
モレノDVは、こう分析している。
「これら3つの指標を合わせると、弱気相場の終盤に見られるストレス構造が浮かび上がる。クジラの降伏、弱含みの中での売り分散、そして引き金に指をかけたままの脆い短期保有者だ」

