
米暗号資産法案に「まさかの司令塔不在」 ホワイトハウス顧問が軍事訓練へ、成立期限ギリギリの大ピンチ
米国初の包括的な暗号資産規制を目指す「クラリティ法案」が、上院通過の正念場を迎えている。ところが交渉のキーマン、パトリック・ウィット氏が7月末から軍事訓練のため数カ月間離脱することが判明。後任にはハリー・ジョン副局長が入る見通しだが、法案成立まで残された時間はあまりにも少ない。

米国の暗号資産業界に、思わぬ“司令塔不在”の危機が訪れようとしている。
暗号資産市場構造法案「デジタル資産市場明確化法」、通称「クラリティ法案」をホワイトハウス側で取り仕切ってきたパトリック・ウィット氏が、7月末から休職に入ることが分かった。数カ月にわたる軍事訓練に参加するためだという。暗号資産専門メディア「クリプト・イン・アメリカ」が報じた。
ウィット氏は昨年8月から、大統領デジタル資産諮問委員会の事務局長を務めている。
報道によれば、同氏は7月24日をもって一旦ホワイトハウスでの業務を終え、その後、ジョージア州陸軍州兵の法務部門である法務総監部、通称「JAG」の訓練に入る予定だ。
この訓練を修了すれば、ウィット氏は州兵の法務将校として勤務する資格を得ることになる。
デジタル・チェンバーのコーディ・カーボーン最高経営責任者(CEO)は火曜日、次のように語った。
「パトリックは今月末から軍務休暇を取ることについて、すべての関係者に対し、以前から率直かつ正直に説明してきた」
問題は、その離脱時期である。
クラリティ法案は、米国の暗号資産市場に初めて包括的な規制枠組みを導入することを目指す重要法案だ。

Source: Patrick Witt
しかし同法案が上院を通過できる期間は、刻一刻と狭まっている。米議会は8月8日から休会に入る予定で、多くの関係者がこの日を事実上のタイムリミットとみている。
コインテレグラフは、ホワイトハウスとウィット氏本人にコメントを求めた。
ウィット氏はこれまで、暗号資産業界と銀行業界の代表者の間に立ち、市場構造法案を巡る交渉を前進させるうえで中心的な役割を担ってきた。
争点となっているのは、ステーブルコインの保有者に利回りを付与する仕組みや、公職者の倫理規定を巡る対立などだ。
一歩間違えれば、銀行業界と暗号資産業界が真っ向から衝突しかねない難題である。その調整役が、法案成立直前のタイミングで数カ月間現場を離れることになる。
ウィット氏の不在中は、大統領デジタル資産諮問委員会のハリー・ジョン副局長が職務を引き継ぐ見通しだ。
ただし、クリプト・イン・アメリカの取材に応じた関係者によれば、ウィット氏自身も軍事訓練の期間中、可能な範囲で法案成立に向けたプロセスに関与し続ける意向だという。
米国の暗号資産規制を大きく左右するクラリティ法案。残された時間はわずかだ。
果たしてウィット氏不在の穴を埋め、議会休会前に法案を成立させることができるのか。ワシントンでは、時間との戦いが始まっている。

