
セルシウス元CEOの「懲役12年を取り消せ」に米検察が猛反論 約77億円没収、市場取引も永久禁止
破綻した暗号資産レンディング大手セルシウスの元CEO、アレックス・マシンスキー氏が求めた有罪判決と刑期の取り消しに、米検察が「根拠なし」と真っ向から反論した。本人は弁護士を付けず、FTXや元側近に責任を向けている。

破綻した暗号資産レンディングプラットフォーム、セルシウスの元CEOであるアレックス・マシンスキー氏が、詐欺と市場操作をめぐる懲役12年の判決を白紙に戻そうとしている。だが、その一手に米ニューヨーク南部地区連邦地検(SDNY)が「待った」をかけた。
金曜日に提出された書面で、同地検のジェームズ・マクドナルド検事とアリソン・ニコルズ連邦検事補は、裁判所に対し、マシンスキー氏による有罪判決と刑期の取り消し申し立てを棄却するよう求めた。
検察側によれば、マシンスキー氏が並べた法的主張の多くは「理由がない」。弁護人から十分な支援を受けられなかったとの訴えについても、真正面から反論している。
マシンスキー氏は5月、弁護士を付けず、自ら法廷で争う「本人訴訟」で手続きを進めると裁判所に通知した。その後、暗号資産取引所FTXや、セルシウスの元最高収益責任者であるロニ・コーエン・パヴォン氏に関する主張を盛り込んだ判決取り消しの申し立てを提出していた。
検察側は、こう切り捨てた。
「マシンスキー氏は、これら根拠のない申し立てを裏付ける宣誓供述書すら提出していない。したがって、この申し立ては審理や追加の事実調査を行うことなく棄却されるべきだ」
さらに、次のように続けた。
「彼は不満を延々と並べ、セルシウスで起きた問題を他人の責任にし、量刑審理ですでに示された証拠を蒸し返している。事実上、自分は無実だとまで主張してはいないものの、弁護士が特定の主張を展開しなかったことに責任を負わせている」
火曜日時点で、事件を担当する裁判官は検察側の書面に対する判断を示していない。
マシンスキー氏は2025年5月、セルシウスで使われた「相場操縦的かつ欺瞞的な手段」に関連する商品詐欺と証券詐欺について罪を認め、禁錮144カ月、すなわち懲役12年を言い渡された。
一方、コーエン・パヴォン氏は、政府によればマシンスキー氏に対する捜査・訴追に「多大な協力」をした人物だ。同氏は5月、すでに勾留されていた期間を刑期とみなす判決を受けた。
セルシウスは2022年、テラフォーム・ラボの崩壊を発端とする暗号資産市場の急落に巻き込まれ、相次いで破綻した企業のひとつとなった。
米当局は2023年、マシンスキー氏とコーエン・パヴォン氏を起訴。その後、両氏はいずれも罪を認めた。
量刑言い渡しの際、マシンスキー氏には4800万ドル(約77億3000万円)の没収が命じられた。さらに米連邦取引委員会(FTC)との別の和解では、1000万ドル(約16億1000万円)を支払うことにも同意している。
マシンスキー氏、商品市場から永久追放
米商品先物取引委員会(CFTC)は6月、マシンスキー氏について、同委員会の監督対象となる市場での取引を永久に禁止したと発表した。
CFTCの訴訟は、2022年のセルシウス崩壊を受けて起こされた一連の法的手続きのうち、最後まで残っていた案件のひとつだった。
ただし、米証券取引委員会(SEC)がマシンスキー氏に対して起こした民事訴訟は、なお決着していない。SECが同氏を共同創業者として提訴したのは2023年。裁判所は最初の訴状提出から数カ月後、セルシウス本体に対する判断を下していたが、マシンスキー氏個人をめぐる手続きは続いている。
SECは7月30日、同委員会の弁護士とマシンスキー氏が「和解協議を行っている」と報告した。
規制当局は、進捗状況を報告する書面の提出まで60日間の猶予を裁判所に求めている。決着があるとしても、早くて9月末となる見通しだ。

