
ビットコインもイーサリアムも危険圏 数千ウォレットに“資産流出”リスク発覚
複数のブロックチェーンにまたがる数千の暗号資産ウォレットが、弱いリカバリーフレーズ生成によって危険にさらされている可能性がある。

数千もの暗号資産ウォレットが、資金を抜き取られる危険にさらされている。原因は、本来よりも弱いリカバリーフレーズが生成されていたことにある。ブロックチェーンセキュリティ企業コインスペクトは、この脆弱性を「イル・ブルーム」と名付けた。
コインスペクトが日曜日に公表した開示によれば、危険にさらされているウォレットは、ビットコイン、イーサリアム、ポリゴン、ルートストック、トロン、ソラナにまたがる。問題の核心は、一部のソフトウェアウォレットでリカバリーフレーズを生成する際に使われた「弱い乱数」、つまり安全性の低い疑似乱数生成器にあるという。
「もし最近、あなたの許可なく資金が移動していたなら、この脆弱性が原因かもしれない」
コインスペクトはそう警告している。
この脆弱性は、早ければ2018年に生成されたウォレットにも影響している。特に、知名度の低いモバイル向けソフトウェアウォレットで発生しているケースが多いという。
5月27日以降、露出したウォレットから少なくとも500万ドル、日本円で約8億1000万円相当が抜き取られている。ただし、追加のネットワークやアドレスでも被害が起きていた可能性があり、リスクにさらされているウォレット数はさらに多い恐れがある。

A snapshot of one analyzed address set as of June 30. Source: Coinspect
コインスペクトは現段階で、進行中の攻撃手法の詳細は公表していない。一方で、ユーザーが自分のアドレスが危険にさらされている可能性があるか確認できるウォレットチェックツールを公開している。
「コインスペクトによるイル・ブルームのウォレット弱乱数リスク警告を、われわれは注意深く監視している」
スローミストは月曜日、Xにそう投稿した。
データによれば、5月27日の攻撃では、脆弱性のある2114ウォレットのうち431ウォレットが被害を受け、合計310万ドル、日本円で約5億円相当の暗号資産が流出した。さらに日曜日には、露出したウォレットから200万ドル、約3億2000万円相当が移動している。

The historical sum of stolen amounts per chain in the May 27 attack. Source: Coinspect
コインスペクトは次のように述べている。
「現時点の証拠からは、ハードウェアウォレットでシードを生成したユーザーは影響を受けていないと考えられる」
さらに同社はこう付け加えた。
「追加調査の結果、現在主流のソフトウェアウォレットの大半も脆弱ではないことが示されている。最も可能性が高いのは、あまり広く使われていないモバイル向けソフトウェアウォレットでシードを生成したユーザーだ」
弱いウォレットシードが招く“悪夢”
この種の脆弱性は、過去にも何度か表面化している。
2023年には、レジャーのセキュリティチームが、トラスト・ウォレットのブラウザ拡張機能で生成されたウォレットシードが総当たり攻撃に弱いことを発見した。
欠陥は、新規アドレスを作成する際のエントロピー生成にあった。これにより、生成され得るニーモニックの組み合わせはおよそ40億通りに制限されていた。やる気のある攻撃者であれば、数台のGPUだけで1日もかからず攻撃を実行できる可能性があったという。
ただし、トラスト・ウォレットは資金が盗まれる前にこのバグを修正した。
同じ2023年には、暗号資産ウォレット「リブビットコイン・エクスプローラー」の脆弱性によって、秘密鍵への総当たり攻撃が行われ、90万ドル、約1億5000万円相当の暗号資産が盗まれる事件も起きている。

