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Yoshihisa Takahashi
執筆者:Yoshihisa Takahashiスタッフ編集者
Yoshihisa Takahashi
校閲:Yoshihisa Takahashiスタッフ編集者

「スマホ主役の時代は終わり 次の主役はAIエージェント」米クアルコム代表が語る未来とは

「スマホ主役の時代は終わり 次の主役はAIエージェント」米クアルコム代表が語る未来とは
ニュース

スマホ中心の時代が終わる。

そう言い切ったのは、半導体大手クアルコムのクリスティアーノ・アモンCEOだ。台北で開かれる世界有数のコンピューター見本市「コンピューテックス2026」の基調講演で、アモン氏はこう語った。

「2026年はエージェントの年だ」

ここでいうエージェントとは、人間の指示を待つだけのAIではない。自分で考え、計画し、作業を進めるAIだ。予定を整理する。情報を集める。ソフトを操作する。必要なら別の端末やサービスとも連携する。

要するに、スマホの中に入っていたアプリの集合体が、AI秘書に置き換わるという話だ。

これまでのデジタル生活は、スマホが中心だった。

LINEを見る。

メールを返す。

地図を開く。

写真を撮る。

予定を確認する。

決済する。

すべてスマホから始まった。アプリもOSも、スマホを前提に作られてきた。だがアモン氏は、その構造が変わるとみている。

「デジタルエコシステムの中心は、もはやスマホそのものではない」

では、何が中心になるのか。

AIエージェントだ。

スマホ、パソコン、スマートグラス、自動車、ウェアラブル端末。これらは今後、AIエージェントにつながる「入り口」に変わっていく。人間がスマホを開いてアプリを選ぶのではない。AIエージェントが状況を理解し、必要な端末やサービスを使い分ける。

これはかなり大きな転換だ。

いまのスマホやパソコンは、人間が操作して初めて動く。画面を開く。ボタンを押す。検索する。入力する。AIエージェントは違う。常に動き、文脈を覚え、裏側で仕事を進める。

アモン氏は、未来の端末には「2つの人格」が宿ると表現した。

ひとつは、人間が直接操作する人格。

もうひとつは、AIが裏側で動かす人格だ。

たとえば、ユーザーがスマホを触っていない間にも、AIは予定を調整し、必要な資料を集め、メールの下書きを作り、移動手段を探す。人間が「これをやって」と毎回指示しなくても、文脈を読んで先回りする。

これは、単なる音声アシスタントの進化ではない。

スマホの役割そのものを変える話だ。

これまでは、スマホが主役だった。

これからは、AIエージェントが主役になる。

スマホは、そのAIが使う端末のひとつになる。

その結果、端末の設計も変わる。

AIを常時動かすには、高性能で省電力な半導体が必要だ。すべてをクラウドに送れば、通信費も処理費用も膨らむ。反応も遅くなる。プライバシーの問題も出る。

だから、AIの一部は端末側で動かなければならない。スマホやパソコンの中でAIモデルを動かしつつ、重い処理はクラウドに任せる。端末とクラウドが役割分担する形だ。

アモン氏は、AIの未来は「クラウド対エッジ」の勝負ではないと言った。

勝負ではなく、協調だ。

軽い作業は端末で処理する。

重い作業はクラウドで処理する。

ソフトウェアが自動で判断する。

この仕組みが進めば、AI利用にかかる費用も下がる。AIが生成するトークン数も減らせる。つまり、AIをより安く、より速く、より身近に使えるようになる。

この変化はスマホだけで終わらない。

自動車、ロボット、工場設備、産業システムにも広がる。車は単なる移動手段ではなく、AIエージェントが動く空間になる。ロボットは単純作業だけでなく、周囲の状況を理解して動く。工場も、AIが現場のデータを見ながら最適化する。

さらにアモン氏は、将来の6Gにも触れた。

6Gは、単に通信を速くするだけではない。センサー機能を持ち、都市やインフラのリアルタイムなデジタルモデルを作るようになるという。道路、人の流れ、建物、車、設備。現実世界の情報がデジタル空間に映し出され、それをAIエージェントが使う。

つまり、AIはスマホの中だけにいる存在ではなくなる。

街を見る。

車を動かす。

工場を読む。

人の生活に寄り添う。

そういう存在になる。

アモン氏はこうも語った。

「エージェントは未来に来るものではない。すでにここにある」

この言葉は、半導体業界にとっても重い。

スマホ市場は長く成熟してきた。新機種が出ても、昔ほどの驚きはない。買い替え周期も伸びた。だがAIエージェントが本当に生活の中心になれば、端末の買い替え需要が再び生まれる。

スマホも、パソコンも、スマートグラスも、自動車も、AI対応を前提に作り直される。

これは、半導体業界にとって巨大な更新サイクルだ。

クアルコムにとっても大きな商機になる。同社はスマホ向け半導体で知られるが、今後はAI端末、自動車、PC、ウェアラブル、産業機器に市場を広げたい。AIエージェント時代が来れば、必要なのはクラウドの巨大GPUだけではない。手元の端末でAIを動かすチップも必要になる。

ここがクアルコムの狙いだ。

AIブームは、いままでエヌビディアを中心に語られてきた。巨大データセンター。GPU。クラウド。学習用の計算資源。だが次の段階では、AIをどう端末に入れるかが焦点になる。

AIをスマホで動かす。

AIを車で動かす。

AIをグラスで動かす。

AIをロボットで動かす。

その時、半導体の主戦場はデータセンターだけではなくなる。

アモン氏の発言は、スマホが消えるという意味ではない。スマホは残る。だが、主役ではなくなる。

主役はAIエージェントだ。

スマホは、AIが人間と接する窓のひとつになる。パソコンも同じだ。車も同じだ。スマートグラスも同じだ。

人間は端末を選ぶのではない。

AIが最適な端末を選んで動く。

そんな世界が近づいている。

もちろん、課題は多い。

AIが常に動けば、プライバシーの問題が出る。予定、会話、位置情報、仕事の内容。AIが生活を支えるほど、個人データを深く扱うことになる。端末の安全性も問われる。AIが勝手に誤った判断をすれば、被害も出る。

それでも、流れは止まりにくい。

人間が毎回アプリを開いて作業する時代から、AIが裏側で作業を進める時代へ。これは、スマホ登場以来の大きな変化になる可能性がある。

スマホが生活を支配した20年。

その次に来るのは、AI秘書が生活を動かす時代だ。

クアルコムCEOは、その号砲を台北で鳴らした。

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