
“ガチホ企業”ストラテジーがBTC売却を容認 セイラー氏の戦略は崩れたのか
「ビットコインを売らない男」として知られるマイケル・セイラー氏率いるストラテジーが、新たな資本戦略を打ち出した。配当原資の確保に向けてビットコイン売却を可能にし、25億5000万ドル、約4126億円の準備金と自社株買いに備える一方、STRCの配当率は12%へ引き上げる。

ビットコインをひたすら買い増す――。そんな強烈な看板で知られてきたストラテジーが、ついに新たな資本戦略へと舵を切った。
同社は、保有するビットコインの一部を現金化し、配当原資や現金準備、自社株買いに充てる新たな枠組みを導入する。もっとも、長期的にビットコインを中核資産とする方針は維持する構えだ。
ストラテジーは月曜日、米証券取引委員会(SEC)に提出した8-K書類で、「デジタル・クレジット・キャピタル・フレームワーク」を発表した。この枠組みには、ビットコインの現金化プログラムに加え、STRC優先株の配当方針の変更が含まれている。
同社はSTRCの年間配当率を従来の11.5%から12%へ引き上げた。さらに、優先証券とクラスA普通株であるMSTRについて、それぞれ別個の買い戻しプログラムも承認した。
ストラテジーによれば、同社は現金準備の積み増し、配当や債務コストの支払い、さらに自社株買いの資金に充てるため、最大12億5000万ドル、日本円で約2023億円相当のビットコインを売却する可能性があるという。
この提出書類が出された背景には、同社を取り巻く荒れ模様の相場がある。MSTR株は年初来で約50%下落。さらにSTRCの価格は金曜日、一時71.25ドル、約1万1530円まで下落し、額面に対して28.75%のディスカウントとなった。グレースケールのリサーチ責任者ザック・パンドル氏は先週、ストラテジーは現金支払い義務を賄うため、30億ドル、約4854億円相当のビットコインを売却すべきだと指摘していた。
ただ、月曜日のナスダック取引開始前には、投資家の買いが入り、MSTR株は5.5%超上昇していた。
現金準備は約4100億円に
新たな枠組みの柱となるのが、同社の現金準備である。ストラテジーによれば、この準備金は25億5000万ドル、約4126億円まで拡大しており、優先株配当と利払いの約17カ月分を賄える水準だという。
新方針の下では、この準備金は配当と利払いにのみ使用できる。また、取締役会が別途承認しない限り、最低でも12カ月分の支払いを賄える水準を維持しなければならない。

Source: Michael Saylor
ストラテジーのエグゼクティブ・チェアマンであるマイケル・セイラー氏は、現在の現金準備に12億5000万ドルのビットコイン現金化枠を組み合わせることで、同社は最大38億ドル、約6148億円の配当カバーを確保できると説明した。これは約26カ月分に相当する。
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セイラー氏はさらに、「ストラテジーはMSTRの発行について、特に株価がmNAVの1倍近辺で取引されている場合、引き続き規律ある姿勢を維持する」と述べた。
6月はビットコイン購入なし それでも保有額は巨額
世界最大の上場ビットコイン・トレジャリー企業であるストラテジーは、日曜日までの1週間に新たなBTCを取得しなかったことも明らかにした。
これにより、同社のビットコイン保有量は84万7363BTCで変わらない。取得総額は641億ドル、約10兆3700億円。平均取得価格は1BTCあたり7万5651ドル、約1224万円である。
直近では、ビットコインは1BTCあたり約6万18ドル、約971万円で取引されていた。
同社は6月に入ってから、差し引きで3625BTCを積み増している。月初には3657BTCを購入し、その一方で32BTCを売却していた。

Source: SEC
同時に、同社はMSTR株1267万株を売却し、純額で約11億5000万ドル、約1861億円を調達したことも開示した。
「ビットコインを売らない会社」として市場の注目を集めてきたストラテジー。その看板は今も掲げたままだが、配当、利払い、株価防衛という現実の資本市場の圧力を前に、同社の戦略は明らかに一段階、実務的な局面へ入った。

