
「絶対に売らない」はずでは?セイラー氏がビットコイン売却を正当化した理由
ストラテジーによる最近のビットコイン売却は、セイラー氏が掲げてきた「決して売らない」という信条と矛盾するようにも見えた。だが同氏は、この判断こそが同社のデジタル信用ビジネスの仕組みを示していると説明する。

「ビットコインは売らない」――。
そう言い続けてきた男が、なぜ売却を認めるのか。ストラテジーのエグゼクティブ・チェアマン、マイケル・セイラー氏が、同社による最近のビットコイン売却について口を開いた。
セイラー氏は、ビットコインを売却できる余地を持つことは、「デジタル信用」を発行し続けるために必要だと主張した。
ストラテジーは6月1日、米証券取引委員会(SEC)への提出書類で、2022年以来初めてとされるビットコイン売却を開示した。同社は32BTCを売却しており、これはセイラー氏が長年掲げてきた「ビットコインは決して売るな」という信条と矛盾するようにも見えた。
しかし、BTCプラハ・カンファレンスでコインテレグラフの取材に応じたセイラー氏は、ビットコインを保有する財務戦略企業にとって、必要な場合に保有分を売却できる能力は不可欠だと説明した。配当を支払う証券や、ビットコインを裏付けとする信用商品を支えるためだ。
「会社の方針が『ビットコインは売らない』というものなら、その信用には価値がなくなり、株式にも価値がなくなる」
セイラー氏はそう語ったうえで、こう続けた。
「この会社はデジタル信用を売る事業をしている。その信用は資本によって裏付けられている。そして、ビットコインこそが資本なのだ」

Cointelegraph’s Ciaran Lyons (left) and Strategy founder Michael Saylor (right) at BTC Prague. Source: Cointelegraph
セイラー氏は、ストラテジーの優先株STRCのような商品を「デジタル信用」商品だと位置づけた。これらの商品は、同社のビットコインのバランスシートを使って信用債務を支える仕組みだ。
ストラテジーにとって、こうした証券は、さらなるビットコイン取得のために資金を調達する主要な手段となっている。
「デジタル信用」は160兆円規模の好機
セイラー氏は、デジタル信用市場について、金融における次なる「1兆ドル規模」、すなわち約160兆円規模の機会だと述べた。これにより、利回りを生むデジタルマネー商品が可能になるという。
「私はビットコインを資本のデジタル変革だと見ている。STRCは信用のデジタル変革だ」
セイラー氏はそう語り、デジタル信用商品は最大8%の利回りを提供できると説明した。これは、従来の普通預金口座の3〜4倍に相当するという。
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セイラー氏によれば、デジタル信用商品は人々の信用市場に対する見方を変える可能性がある。同時に、数十億ドル、つまり数千億円規模の資金をビットコインのエコシステムに呼び込むことにもつながるという。
同氏は、サターンやエイピックスといったプロジェクトを、デジタル信用市場の上に構築された利回り商品として挙げた。
だが、その一つはすでに耐久力を試されている。
6月4日、エイピックス・ファイナンスの配当裏付け型合成ステーブルコイン「apxUSD」は、一時0.90ドル、約144円までペッグを外した。このとき、ビットコインは6万3000ドル、約1008万円を下回って取引され、STRC株も額面100ドル、約1万6000円を下回っていた。
エイピックスによれば、ステーブルコインの主要な担保資産であるSTRCの下落により、プロトコルの準備金価値が低下したという。同社はまた、ビットコイン価格の下落、流動性の薄さ、デリバティブ主導の市場力学も、ペッグ外れの要因として挙げた。
記事執筆時点で、apxUSDは0.96ドル、約154円で取引されており、本来の1ドル、約160円のペッグを下回っていた。

At press time, apxUSD traded at $0.96, below its $1 peg. Source: Coingecko
セイラー氏へのインタビュー全編は、今後数日以内にコインテレグラフのYouTubeチャンネルで公開される予定だ。

