
破綻セルシウス債権者に出口か ビットコイン採掘企業がAI転身でナスダック上場へ
セルシウスに連なるビットコイン採掘企業が、ナスダックへの直接上場を目指している。採掘インフラをAIと高性能計算向けに転用するなか、破綻劇の後始末は、新たな成長物語へと衣替えしつつある。

ビットコイン採掘企業からAIインフラ企業へと衣替えを進めるアイオニック・デジタルが、ナスダックへの直接上場を申請した。かつて破綻した暗号資産レンダー、セルシウスの債権者にとっては、再建計画を通じて受け取った株式を公の市場で売却できる道が開かれる可能性がある。
米証券取引委員会(SEC)に月曜日に提出された登録届出書によれば、登録株主は、予定ティッカー「IOND」のもとで、最大1080万株のクラスA株を売却できる見通しだ。
アイオニックは2024年、破綻したセルシウスの再建手続きの一環として、セルシウス・マイニングの資産を取得するために設立された。同社は今回の提出書類で、2025年から、純粋なビットコイン採掘企業から、人工知能(AI)や高性能計算(HPC)の需要に応える、より広範なデジタルインフラ企業へと軸足を移し始めたと説明している。
今回のナスダック直接上場案では、アイオニックが新たな資金を調達するわけではない。目的は、既存株主のために公開市場をつくることだ。そこには、破産再建計画を通じてアイオニック株を受け取った旧セルシウス債権者も含まれる。
ビットコイン採掘施設をAI向けに転用
アイオニックのAI転換の中核にあるのが、テキサス州ウォード郡にある234メガワット規模の施設だ。もともとはビットコイン採掘用に開発された拠点である。
2025年10月、同社はこの施設をAIインフラ企業エヌスケールに貸し出した。契約期間は126カ月で、契約済み収益は約20億ドル、日本円にして約3252億円にのぼる。
アイオニックによれば、必要な電力容量と承認を確保できれば、契約はさらに89メガワット分拡大される可能性がある。その場合、契約済み収益は約26億ドル、約4228億円に膨らむという。
この転身は、同社の業績にもすでに表れ始めている。月曜日に提出されたSEC書類によれば、アイオニックは2026年第1四半期に、デジタルインフラのリース収益として4400万ドル、約71億5000万円を計上した。一方で、ビットコイン採掘収益は前年同期比82%減の740万ドル、約12億円に落ち込んだ。ウォード郡の施設を転用し、稼働中の採掘機を減らしたことが響いた格好だ。

Ionic Digital’s reported revenue. Source: SEC filing
今回の届出に先立ち、アイオニックは金曜日、4億ドル、約650億円の株式私募を完了している。同社は調達資金を一般的な企業目的に充てるとしており、アンディ・スチュワート最高経営責任者(CEO)は、デジタルインフラ資産の継続的な開発を支えるものになると述べた。

