
EUが暗号資産に本気の鉄槌 MiCA違反なら売上12.5%没収、バイナンスも締め出し危機
欧州銀行監督機構(EBA)は金曜日、MiCA違反企業への制裁金枠組み案を公表した。規制に従わない「重要トークン」発行体は、年間売上高の最大12.5%を吹き飛ばされる可能性がある。

欧州銀行監督機構(EBA)は金曜日、欧州連合(EU)のデジタル資産規制に違反した暗号資産発行体に対し、制裁金を科すための包括的な枠組みを公表した。歴史的な規制体系の仕上げに入るEUが、暗号資産業界に対して一段と強硬な執行姿勢を見せた格好だ。
6月26日に公表された意見募集文書では、EBAが「重要」とみなすトークンの発行体が規制に違反した場合、数百万ユーロ、つまり日本円で数億円規模にもなり得る制裁金を科すための標準的な手順が示された。
パリに本拠を置く同監督当局は、厳格な2段階プロセスを採用する方針だ。まず違反行為の基本的な重大性を評価し、そのうえで、違反を悪質化させる事情や、逆に情状酌量にあたる事情を加味して、最終的な制裁金を決める。
これは、EUの画期的な暗号資産規制「暗号資産市場規則(MiCA)」に、いよいよ牙が備わり始めたことを意味する。MiCAは、これまで自由奔放に動いてきた暗号資産業界に秩序をもたらすために導入された規制だ。デジタル資産に関する世界初の包括的な規制制度であり、トークン発行体や暗号資産サービス事業者に対し、銀行並みのコンプライアンス、消費者保護、自己資本の確保を求める。単一欧州市場にアクセスしたいのであれば、その条件を飲め、というわけだ。
規制違反への代償は、明確に「罰」として設計されている。EBAの意見募集文書によれば、最終的な制裁金は、重要資産参照型トークンの発行体については年間売上高の12.5%、重要電子マネートークンについては年間売上高の10%に達する可能性がある。あるいは、違反によって得た利益の2倍という上限も設定される。いずれも、世界最大級のデジタル資産事業者であっても無視できない水準にすることで、違反を抑止する狙いがある。

Cover screenshot of European Banking Authority's 14-page consultation paper.
Source: EBA
この制裁金枠組みの導入は、欧州のデジタル資産業界にとって極めて重要な局面で行われた。7月1日という重要な期限を目前に控えているからだ。
来月初めまでに、暗号資産企業はEU加盟各国の規制当局から正式なライセンスを取得しなければ、27カ国からなるEU域内で合法的にサービスを提供したり、ステーブルコインを販売したりすることができなくなる。これまで多くの事業者が、各国ごとの比較的緩いルールのもとで営業を続けることを可能にしていた移行猶予期間は、ここで終わる。
7月1日までに規制上の「パスポート」を確保できない企業は、事業を完全に停止せざるを得なくなる恐れがある。さもなければ、無許可での公募開示や組織運営上の不備といった、EBAの新たな枠組みがまさに処罰対象として想定する違反行為を引き起こすリスクを抱えることになる。
バイナンス、EU事業に「一時停止」 ライセンス取得に失敗
世界最大の暗号資産取引所運営会社であるバイナンスは先週、EU域内の利用者に対し、主要サービスへのアクセスを制限すると通知した。同社は7月1日の期限までに、加盟国からMiCA認可を取得できなかった。ギリシャでのMiCAライセンス申請を取り下げたことが背景にある。
ユーザーがSNSで共有した取引所からの通知によれば、制限にはEU域内の新規ユーザー登録の停止や、EU拠点アカウント向けの一部サービス制限が含まれる。これらは7月1日から適用されるという。

Notice sent by Binance to customers in Poland. Source: IT_Tech_PL
一方、通知では、利用者が同日以降も資産を引き出すことは可能だと説明されている。文面には「すべてのデジタル資産は引き続き引き出し可能」と記されており、適用される規制要件に沿った対応だとしている。
コインテレグラフが日曜日に確認したディファイラマのデータによると、バイナンスでは申請取り下げの発表後、水曜日に19億6000万ドル、日本円で約3170億円の純流出を記録した。さらにその後2日間で、25億2000万ドル、約4076億円、そして14億6000万ドル、約2362億円の純流出が続いた。
EUの動き、米国型の「執行による規制」と鮮やかな対比
今回のタイミングは、EUがデジタル金融分野で世界的なルールメーカーの座を狙う戦略を浮き彫りにしている。米国で見られてきた、いわゆる「執行による規制」とは対照的だ。
ライセンス義務化が始まるまさにその時点で、当局は明確な金銭的ペナルティを提示した。ブリュッセルから市場に向けたメッセージは明白である。寛容の時代は、正式に終わったのだ。
業界には、9月28日までの3カ月間、EBAの制裁金算定方法に対して修正を求める意見提出の機会が与えられている。とはいえ、7月1日のライセンス期限は目前に迫っている。最終的な制裁金ガイドラインが法的に正式化されるよりもはるか前に、経営陣は容赦のないコンプライアンス環境を生き抜かなければならない。

