米商品先物取引委員会(CFTC)が、長年続けてきた“ある慣行”に終止符を打った。
訴訟で和解する際、被告側が当局の主張を公に否定することを禁じる、いわゆる「ノー・ディナイ・ルール」である。CFTCは水曜日、この方針を撤回すると発表した。1998年に導入されたこのルールについて、同委員会は「CFTCが自らへの批判を封じようとしている、との誤った印象を与えていた可能性がある」と説明している。
これは、米証券取引委員会(SEC)が5月に同様の方針を撤回した流れに続くものだ。SECは5月18日、和解した個人や企業が当局の主張を公に否定することを禁じてきた長年の方針を撤廃した。従来のSECルールは1972年から続いていた。
CFTCのマイク・セリグ委員長は、こう述べた。
「ほぼ30年にわたり、委員会は、被告がCFTCの主張を公に否定しないと約束しない限り、和解に応じてこなかった。政府全体の規制当局の流れに沿って、ノー・ディナイ方針を撤回できることをうれしく思う」
このルールには、CFTCやSECから執行措置を受けた暗号資産企業から批判が上がっていた。企業側は、当局の主張を飲み込まなければ和解できない仕組みは、言論の自由を制限するものだと訴えてきた。

Source: CFTC
CFTCによれば、今回の方針転換により、執行案件の和解交渉でより柔軟な対応が可能になるという。
ただし、何でも自由に否定できるようになるわけではない。CFTCは、すでに締結されたノー・ディナイ条項については今後執行しない一方で、案件によっては、被告側に一定の事実関係や責任を認めるよう求める可能性は残している。
トランプ政権下で、CFTCとSECは、バイデン政権時代に暗号資産企業へ向けられた執行措置を相次いで見直している。
その象徴が、暗号資産取引所ジェミナイをめぐる案件だ。CFTCは木曜日、ジェミナイとの500万ドル、約8億円の和解を取り消すよう裁判所に求めた。セリグ委員長はこの案件について、「政治的に狙い撃ちされたものだった」と主張している。ロイターによれば、ジェミナイは2025年1月、ビットコイン先物事業をめぐる虚偽説明疑惑に関連して500万ドルの制裁金を含む和解に応じていた。
ただ、この“巻き戻し”は、規制当局としては異例の動きでもある。
オバマ政権下でCFTC委員長を務めたティム・マサド氏は、コインテレグラフに対し、同委員会が過去の和解を覆そうとする判断について「極めて異例だ」と語った。

