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Sam BourgiライターRobert Lakin監修編集者

ビットコイン採掘からAIデータセンターへ IRENに3.4兆円の資金不足

最新ニュース公開日2026年6月20日

IRENは、上場ビットコイン採掘企業の中で最大となる211億ドル、約3.4兆円のAIインフラ資金不足を抱えると見込まれている。採掘施設をデータセンターへ転換するには、いかに巨額の資金が必要になるかを浮き彫りにしている。

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上場ビットコイン採掘企業が、いまや「AIインフラ企業」として値踏みされる時代になっている。だが、その看板を本物にするには、近い将来におよそ500億ドル、日本円で約8.0兆円もの資金が必要になる――。

ブロックスブリッジ・コンサルティングの最新ニュースレター「マイナー・ウィークリー」が紹介した新たな試算は、そんな厳しい現実を突きつけている。

同レポートは、ヴァンエックのデータをもとに、採掘業者が保有する電力資産をAI対応のデータセンターへ転換するには、長期の資金調達が不可欠だと指摘した。というのも、AI向けデータセンターは、従来のビットコイン採掘施設とは比べものにならないほど高いインフラ水準を求められるからだ。

「ビットコイン採掘施設は、比較的簡素な建物、モジュール型の設備、そして急な出力制限にも耐えられるASIC機器群があれば稼働できる。一方、AIやHPC、つまり高性能コンピューティング向け施設では、稼働率、冷却、電力の冗長性、ネットワーク、顧客サポートのすべてにおいて、より高い基準が求められる」

マイナー・ウィークリーはそう説明している。

このレポートが出たのは、ビットコイン採掘難易度が過去最大級の下落率を記録した直後だった。6月14日、採掘難易度は10.09%低下し、124.93兆となった。推定で毎秒100エクサハッシュ、つまり100EH/s分の計算能力がネットワークから離脱したことが背景にある。

採掘採算の悪化や、季節的な電力供給の制限も難易度低下の一因となった。ただ、マイナー・ウィークリーは、AIインフラへのシフトが進めば、採掘業者が電力容量をビットコイン生産ではなくデータセンターに振り向けるようになり、将来のハッシュレート成長そのものを変える可能性があるとみている。

なかでも最大の資金不足を抱えるのが、IRENだ。AIデータセンター構想を完全に実現するには、同社だけで211億ドル、約3.4兆円が必要になると推定されている。

これに続くのが、ライオット・プラットフォームズだ。資金不足額は72億ドル、約1.15兆円。さらにハイブ・デジタルが46億ドル、約7370億円で続く。

The estimated AI data center funding gap among public Bitcoin miners.
Source: MinerWeekly

バーンスタインは最近、IRENについて、上場採掘企業のなかで最もビットコイン採掘を捨て、AIクラウドインフラへ軸足を移す可能性が高い企業だと指摘していた。AI事業が完全に立ち上がった場合、年間売上高のランレートは37億ドル、約5930億円に達すると予測している。

ビットコイン採掘業者にのしかかる採算悪化

ビットコイン採掘業界は、この2年、じわじわと締め上げられてきた。最大の暗号資産であるビットコインは2024年に半減期を迎えたが、それ以降、ハッシュプライスの低下とBTC価格の弱さが、業界全体の利益率を圧迫している。

ハッシュプライスとは、計算能力1単位あたりで1日に得られる収益を示す指標だ。ビットコインが昨年10月に過去最高値を付けて以降、この数値は急激に低下している。

ジ・エナジー・マグは昨年12月のレポートで、同年第4四半期について、上場採掘企業にとって「史上最も厳しい利益率環境」だったと表現した。ハッシュプライスが1PH/sあたりおよそ35ドル、約5600円まで下がったことが理由だ。

状況は今年第1四半期にさらに悪化した。コインシェアーズの推計では、ハッシュプライスは1PH/sあたり約28ドル、約4500円まで低下した。この水準では、ビットコイン採掘業者の最大20%が赤字操業に陥っていた可能性がある。とりわけ旧世代の採掘機器を使っている業者や、電力コストの高い業者ほど苦境は深刻だった。

Bitcoin's hashprice has declined sharply over the past year.
Source: Hashrate Index

こうした逆風のなか、AIへの転身は、上場採掘企業にとってますます魅力的な選択肢になっている。すでに持っている電力インフラを、より高い利益率が見込める事業に転用できるからだ。

しかも、AIインフラの建設ラッシュが近く止まる気配はない。業界の象徴ともいえるエヌビディアは、AI関連投資の資金を確保するため、200億ドル、約3.2兆円規模の社債発行を計画していると報じられている。

ビットコイン採掘業者は、暗号資産の採掘者であり続けるのか。それとも、AI時代の電力地主へと姿を変えるのか。問われているのは、物語ではない。8兆円という、現実の資金である。

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