
19歳が偽メールで約9200万円荒稼ぎか 暗号資産で資金洗浄した欧州フィッシング集団を摘発
ベルギー当局によれば、欧州のフィッシング集団は被害者から57万2000ドル超(約9270万円)を盗み取り、その犯罪収益を暗号資産を通じて洗浄していたという。

ベルギー当局は、欧州をまたぐフィッシングおよび資金洗浄ネットワークの中核人物とみられる19歳の容疑者を逮捕した。
この組織は、偽の政府機関メールや電話を使って被害者をだまし、遠隔操作ソフトをインストールさせる手口で、50万ユーロ超、すなわち57万2000ドル相当、日本円にして約9200万円を盗み取った疑いがある。ユーロ建てでは約9200万円、ドル換算でもほぼ同水準の被害額となる。
当局は、アントワープ市内のAirbnbで容疑者を拘束した。現場では、別の容疑者も見つかっている。木曜日に公表された警察報告によれば、連邦司法警察は2026年3月に捜査を開始した。当時、この地域ではフィッシング攻撃への対応が優先課題となっていた。
主犯格とされる容疑者は、予審判事のもとに送られ、逮捕状が発付された。このグループは、いわゆる「マネーミュール」と呼ばれる資金運び役や現金運搬役を使い、犯罪収益を暗号資産を通じて洗浄していたという。
今回の捜査は、フィッシング犯罪において暗号資産が複数の役割を果たし得ることを示している。とりわけ、不正に得た資金を洗浄する手段として利用されるケースが目立つ。
暗号資産被害の主役となるフィッシング
フィッシングは、暗号資産投資家にとっても重大な脅威となっている。ハッケンによれば、2026年第1四半期に発生した暗号資産関連の損失4億8200万ドル、約781億円のうち、フィッシングとソーシャルエンジニアリング攻撃による被害は3億600万ドル、約496億円に達した。
フィッシング攻撃やソーシャルエンジニアリング詐欺は、暗号資産業界に長くつきまとう難題である。攻撃者は、プロトコルのコードそのものではなく、人間の行動や心理の隙を突く。いかにスマートコントラクトが堅牢でも、最後に狙われるのは人間というわけだ。
5月25日には、オンチェーンアナリストの「b-block」が、詐欺師らがグーグル上で分散型取引所ユニスワップを装った悪質なフィッシング広告を出稿し、被害者から40万ドル超、約6480万円を盗み取ったと警告した。
データ集計サイトのディファイラマは、「グーグル上の偽広告は、フィッシング攻撃の一般的な発生源だ」と指摘している。暗号資産サイバーセキュリティ団体のセキュリティ・アライアンスも4月、3月にグーグル検索上でのフィッシング活動が「大幅に増加した」と報告していた。
ブロックチェーンセキュリティ企業サーティックの「スカイネット」レポートも、北朝鮮と関連づけられる悪意ある攻撃者にとって、フィッシングとソーシャルエンジニアリングが主要な攻撃手段になっていると強調している。

DPRK hacking playbook. Source: CertiK
サーティックは、2022年に発生したローニン・ブリッジの6億ドル、約972億円流出事件についても、偽のリンクトイン採用担当者と、マルウェアを仕込んだPDFを使ったスピアフィッシング攻撃によるものだったと分析している。
暗号資産の世界では、資金の移動は速く、国境も薄い。だからこそ、犯罪者にとっては格好の逃げ道にもなる。今回のベルギーの事件は、フィッシング、現金運び役、そして暗号資産による資金洗浄が一体化した、現代型サイバー犯罪の縮図と言える。

