
アーベがモナド参入 1500万ドルの“ばらまき”でDeFi流動性を奪いにいく
アーベは、モナド上で12種類の資産に対応するV3融資プロトコルをローンチした。モナド側は、流動性の構築と利用拡大に向け、初年度に1500万ドル(約24億1500万円)のインセンティブ拠出を約束している。

分散型金融(DeFi)プラットフォームのアーベは、レイヤー1ブロックチェーンのモナド上にV3融資プロトコルを展開した。ローンチ時点で12種類の資産に対応し、モナドの融資エコシステムを一気に押し広げる格好だ。
アーベは木曜日、初期マーケットでUSDT0、USDC、アーベのGHOステーブルコイン、USDe、mUSD、AUSD、WETH、cbBTC、wstETH、weETH、syrupUSDC、sUSDeをサポートすると発表した。
今回の展開は、アーベにとってチェーンリンクの「スマート・バリュー・リキャプチャー」を初日から有効化した初の導入事例でもある。これにより、清算時に発生する価値の一部を、プロトコル側に還元できるようになる。
この展開によって、アーベのマルチチェーン融資ネットワークはさらに拡大する。モナドのユーザーや開発者にとっては、すでに実績のある借入市場、アーベのGHOステーブルコイン、そして初期利用を後押しする流動性インセンティブにアクセスできるようになる。
アーベのガバナンス提案によれば、モナドはイーサリアムのアプリケーション環境と互換性がある。既存のソリディティのコントラクトやイーサリアム向け開発ツールを、最小限の変更で利用できるという。

Monad's total value locked as of Thursday. Source: DefiLlama
アーベ導入で問われるモナドの「流動性獲得力」
アーベのガバナンス文書によると、モナド財団は稼働開始後12カ月間で1500万ドル(約24億1500万円)のインセンティブを拠出することを約束している。
さらに同財団は、1000万GHO(約16億1000万円相当)を取得し、6カ月超にわたって保有することにも同意した。一方、アーベDAOもモナド上での普及を支援するため、50万GHO(約8050万円相当)のインセンティブを拠出する。
こうしたインセンティブは、初期流動性を立ち上げるうえでは大きな助けになるだろう。だが問題は、その“補助金”が薄れた後も、ユーザーの活動が残るかどうかである。
ラマリスクのリスク評価によれば、モナドのメインネットは2025年11月24日にローンチした。6月8日時点の預かり資産総額(TVL)は約3億5950万ドル(約579億円)だったという。
同評価では、モナドは立ち上がりこそ力強かったものの、その後のネットワーク利用は圧縮され、流動性も既存の有力プロトコルに集中していると指摘された。
ラマリスクは、モナドの運用実績がまだ短いことを理由に、保守的な初期パラメータを採用する形で今回の展開を支持した。
今回のローンチは、機関投資家がトークン化資産をDeFi融資市場に持ち込む動きを強めるなかで実現したものでもある。
6月には、スタンダードチャータードが、トークン化資産のDeFi流入によってアーベへの預け入れが増える可能性があると指摘した。アーベの預け入れ残高は、2025年10月のピーク時に約750億ドル(約12兆750億円)に達していた。
また4月には、セントリフュージが、トークン化米国債、プライベートクレジット、AAA格のローン担保証券をモナドに持ち込む計画を明らかにした。これらは融資、担保、二次市場での取引に活用される想定だ。
もっとも、セントリフュージは自社の資産がアーベに統合されるとはまだ発表していない。それでも今回のアーベ導入により、モナドには実績ある融資の受け皿ができた。今後エコシステムが育っていけば、トークン化資産を支える基盤となる可能性もある。

