
ネットフリックス資金17億円をドージコインに全ツッパ『47RONIN』監督に実刑30カ月
カール・リンシュ氏は、ネットフリックス番組の制作費として受け取った資金を、ドージコインや株式、高級品の購入に流用したとして、2年6カ月の実刑に服することになった。

キアヌ・リーブス主演の映画『47RONIN』で知られるハリウッド監督、カール・リンシュ氏が、ネットフリックスからだまし取った1100万ドル(約17億9000万円)を暗号資産や株式、さらには高級品に費やしたとして、2年6カ月の実刑判決を受けた。
マンハッタンの連邦裁判所は月曜日、リンシュ氏に対し、禁錮30カ月を言い渡した。同氏は2025年12月、詐欺やマネーロンダリングなどの罪で有罪評決を受けていた。
マンハッタン連邦検事のジェイ・クレイトン氏は月曜日の声明で、こう断じた。
「リンシュ被告は、自身が制作していたテレビ番組の資金に充てると偽り、サブスクリプション型の動画配信サービスから1100万ドルを引き出し、数百万ドルを盗み取る計画を実行した」
さらにクレイトン氏は、こう続けた。
「被告はその資金を番組制作に使う代わりに、極めて投機性の高い株式オプションや暗号資産に危険な賭けを行い、さらに自分のための高級品に数百万ドルを費やした。本日の判決は明確な警告である。詐欺は許されない」
リンシュ氏は計7件の罪に問われ、最大で90年の禁錮刑に直面していた。本人は無罪を主張し、弁護側は精神的な健康問題も抱えていたと訴えていた。
今回の判決により、2025年3月の逮捕から15カ月に及んだ一連の事件は、ひとまず幕を閉じることになる。検察は裁判資料の中で被害企業を「ストリーミング・カンパニー1」と表記していたが、複数の報道では、これがネットフリックスであると特定されている。

Source: US Attorney SDNY
ドージコイン一発勝負で2700万ドルを稼ぐ
2025年3月の起訴状と、2023年11月のニューヨーク・タイムズによる報道によれば、ネットフリックスは当初、リンシュ氏のSFドラマ『ホワイト・ホース』、のちに『コンクエスト』と改題された作品に対し、4400万ドル(約71億5000万円)を提供していた。
しかしリンシュ氏は、作品を完成させるには追加資金が必要だと申し出る。これを受け、ネットフリックスは2020年3月、さらに1100万ドル(約17億9000万円)を送金した。
ところがリンシュ氏は、この追加資金のうち1050万ドル(約17億円)を株式市場での賭けに回した。製薬会社やS&P500のオプション取引に手を出し、わずか数週間でその約半分を失ったという。
その後、リンシュ氏は残った資金のうち400万ドル超(約6億5000万円)を暗号資産取引所クラーケンに移し、ミームコインであるドージコイン(DOGE)に全額を投じた。
この賭けは、結果だけ見れば大当たりだった。ニューヨーク・タイムズが確認した口座明細によると、リンシュ氏は2021年5月にドージコインを売却し、約2700万ドル(約43億9000万円)を得たという。

Carl Rinsch giving an interview in 2013 for his feature directorial debut film 47 Ronin. Source: YouTube
だが、ここから先が問題だった。
起訴状によれば、リンシュ氏はドージコインで得た利益を元手に、約1000万ドル(約16億2000万円)を私的な支出や高級品に費やした。内訳は、クレジットカードの支払いに180万ドル(約2億9000万円)、ネットフリックスを訴えるための弁護士費用に100万ドル(約1億6000万円)、家具や骨董品に380万ドル(約6億2000万円)、ロールス・ロイス5台とフェラーリに240万ドル(約3億9000万円)、時計や衣類に65万2000ドル(約1億600万円)という具合である。
結局、リンシュ氏は番組を完成させることも、ネットフリックスから受け取った制作資金を返還することもなかった。
検察は5年の実刑を求刑
リンシュ氏は、通信詐欺1件とマネーロンダリング1件で有罪となった。いずれも法定刑は最大20年の禁錮である。さらに、不法収益に由来する財産を用いた金銭取引5件についても有罪となり、こちらは各件で最大10年の禁錮刑が科され得る罪だった。
検察側は6月中旬に提出した量刑意見書で、リンシュ氏に5年の実刑を科すよう求めていた。一方、リンシュ氏側は、収監を伴わない刑を主張していた。
弁護側は、リンシュ氏が精神的な問題を抱えていたと説明した。友人や家族も裁判所に書簡を送り、事件当時の前後で同氏の振る舞いが変わっていったと訴えた。さらに、キアヌ・リーブス氏もリンシュ氏を支援する書簡を裁判所に提出していた。
判決では、2年6カ月の実刑に加え、3年間の保護観察、1100万ドル(約17億9000万円)の没収、そして700ドル(約11万円)の義務的特別賦課金が命じられた。
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