
イーロン・マスク氏、テスラとスペースXの合併に前向き 時価総額550兆円の巨大企業誕生か、ビットコイン保有量は3万BTC超に
マスク氏がテスラとスペースXの合併構想を支持。スペースXのAI事業売上高が前年同期比約9.3倍に急増するなか、実現すれば宇宙開発、電気自動車、AIを統合する巨大企業が誕生する。両社のビットコイン保有量も合計3万BTCを超える見通しだ。

米実業家のイーロン・マスク氏が、電気自動車(EV)大手テスラと宇宙開発企業スペースXの合併構想に前向きな姿勢を示した。実現すれば、人工知能(AI)、宇宙開発、EV製造を一体化した企業価値約3兆5000億ドル(約554兆円)の巨大テクノロジー企業が誕生する可能性がある。
マスク氏は20日(火)に行われたスペースXの2026年第3四半期決算説明会で、両社の合併について「良い考えだと思うかと聞かれれば、答えはイエスだ」と語った。
マスク氏によると、スペースXとテスラは株主の要請を受け、それぞれ独立取締役で構成する特別委員会を設置。合併の可能性について協議を進めているという。ただし、マスク氏自身は両社に利害関係を持つ当事者であるため、協議には参加できないとしている。
合併が実現すれば、テスラはAIモデル「グロック(Grok)」を開発するスペースXAI(旧xAI)や、SNSプラットフォーム「X」と同じ企業グループに加わることになる。スペースXは今年2月にこれらの事業を傘下に収めている。
今回の合併構想が浮上した背景には、スペースXのAI事業の急成長がある。同社の第3四半期決算ではAI事業が最大の収益源となり、マスク氏の事業戦略において人工知能の重要性が一段と高まっていることが鮮明になった。
マスク氏は両社の連携によるメリットについて、次のように説明した。
「超知能ソフトウェアの開発、半導体設計、テラファブ、そしてロボット工学。さらにスター マインド衛星網を活用した大量の物資の軌道投入や通信接続など、協力することで得られるものは非常に大きい」
一方、マスク氏は合併が確実に実現するとの見方には慎重な姿勢を崩していない。
「スペースXとテスラの合併は確実だと考えている人もいるようだが、それは言い過ぎだと思う」
両社の特別委員会は現時点で取引条件について合意に至っておらず、今後合意できる保証もないと強調した。
さらに、最大のハードルとして株主の承認を挙げた。
「最終的には株主の支持が必要になる。特にテスラ側では、投票した株主の50%ではなく、全発行済み株式の50%に相当する賛成票が必要だ。これは非常に高いハードルだ」
スペースXのAI事業が急成長、売上高は前年同期比約9.3倍
マスク氏の発言に先立って発表されたスペースXの2026年第3四半期決算では、売上高が前年同期比161%増の146億ドル(約2兆3100億円)に達した。
成長をけん引したのが、同社のAI事業部門「スーパーインテリジェンス」だ。
同部門の第3四半期売上高は76億ドル(約1兆2000億円)に達し、前年同期比830%増という驚異的な伸びを記録。売上高は前年同期の約9.3倍に膨らみ、スペースX最大の収益部門となった。
同社によると、急成長の背景には、新たなクラウドサービス契約の稼働開始、AI開発ツールを手がけるカーソル(Cursor)の買収、そしてAIモデル「グロック」の普及拡大がある。
特にグロックについては、企業向けサービスから一般消費者向けまで利用が広がっており、AIエージェントとしての採用が進んでいるという。
宇宙開発企業として知られてきたスペースXだが、今回の決算は、AI事業が同社の収益構造を大きく変えつつあることを示している。
合併すればビットコイン保有量は3万BTC超、世界6位の規模に
テスラとスペースXの合併は、暗号資産市場にも大きな意味を持つ。
両社はいずれも多額のビットコイン(BTC)を企業資産として保有しており、合併によってその保有分が一つの企業グループに集約される可能性があるためだ。
両社の四半期報告書によると、2026年6月30日時点でスペースXは1万8712BTC、テスラは1万1509BTCを保有していた。
この数字を単純合算すると、合計保有量は3万221BTCに達する。
両社が合併した場合、公開企業としてのビットコイン保有量は暗号資産取引所ブリッシュ(Bullish)を上回り、世界6位の規模になる計算だ。
もっとも、合併は現段階では検討段階にとどまる。実現には取引条件の合意や株主の承認など複数のハードルが残されており、今後の協議の行方が注目される。

