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William SubergライターCharles Bennett監修編集者

ビットコインが8万ドル回復 米利上げ・円買い介入・現物需要不足が今週の焦点に

マーケット公開日2026年9月9日

ビットコインは5月以来となる8万ドル超えの週足終値を記録した。ただし、米インフレ指標、FRBの利上げ観測、日本の円買い介入、そして現物需要の弱さが市場の重しとなっている。

ビットコイン(BTC)は、5月上旬以来となる8万ドル(約1227万円)超えの週足終値を記録した。だが、その背後では米インフレを巡る不穏な空気が濃くなっている。

今週の焦点は、米生産者物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)だ。9月16日に予定される米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利判断を前に、市場は再びインフレ指標に神経をとがらせている。

一方、日本では過去最大規模の為替介入が明らかになった。市場関係者からは、日本が今後も円安阻止のために米国債を売却できるとは限らないとの声も出ている。

ビットコインのテクニカル面では、スーパー・トレンド指標が2025年末以来となる「買い」シグナルを点灯させた。前回の弱気相場からの回復局面をなぞる形だ。

米CPI・PPIが今週発表 市場は0.25%利上げを織り込む

米国のインフレ指標が、今週の市場の主役に戻ってきた。先週発表された雇用統計が予想を上回り、暗号資産やリスク資産に圧力をかけたためだ。8月のPPIは木曜日、CPIは金曜日に発表される予定だ。

前回のCPIは前月比0.1%、前年同月比3.4%と市場予想に一致した。6月に続き、インフレの鈍化を示す内容だった。だが、FRB議長のケビン・ウォーシュ氏は、これだけで金融政策を見直す根拠にはならないと釘を刺している。

ウォーシュ氏は8月下旬のジャクソンホール経済シンポジウムで、FRBが重視する個人消費支出(PCE)価格指数にも触れながら、こう述べた。

「これらの広範なインフレ指標はいずれも数年前のピークから大きく低下している。しかし、ここ数年の進展はより緩やかだ。今夏のPCEやCPIは予想より良かったが、基調的なトレンドが意味ある形で改善したとは私には言えない」

この発言を受け、市場では9月16日の次回会合でFRBが利上げに動くとの見方が強まった。CMEグループのFedWatchツールによると、0.25%の利上げを見込む確率は58.4%となっている。

Fed target rate probability comparison for September FOMC meeting (screenshot). Source: CME Group

利上げ懸念をさらに強めたのが、先週の米雇用統計だ。非農業部門雇用者数は8月に16万2000人増加し、事前予想の5万6000人を大きく上回った。過去分も上方修正された。

雇用市場が強ければ、FRBが金融緩和に急ぐ理由は薄れる。コアインフレ率が2%目標をなお上回るなか、市場はタカ派的な金利見通しを維持している。

これは、FRB理事のクリストファー・ウォラー氏が利上げ停止の継続を支持し、ドナルド・トランプ米大統領が先週、FRBに利下げ圧力を改めてかけたにもかかわらずだ。

トランプ氏はトゥルース・ソーシャルへの投稿でこう訴えた。

「FRB理事会は、偉大な新リーダーのもとで賢くならなければならない。たまには愛国者になれ。高金利は米国を極めて不利な立場に置いている。私はそんなことを許さない」

PPIとCPIは、いずれもFOMC前の金利見通しを変え得る材料だ。インフレ指標の発表時には、暗号資産市場でもボラティリティが高まりやすい。

投資リサーチ会社モザイク・アセット・カンパニーは週末の分析で、強い雇用統計は株式市場にとって悪材料だけではないと指摘した。

「市場の初期反応は金利見通しに集中しているが、経済にとっての好材料は企業収益にとっても好材料であるはずだ。今回の雇用統計は、経済が堅調なペースで拡大していることを示す最近のデータに加わるものであり、今後の強気相場を支えるだろう」

ただし同社は、季節要因が追加のハードルになる可能性にも触れた。9月は伝統的に株式市場にとって最もパフォーマンスが悪い月であり、11月の米中間選挙に向けて第4四半期はさらに不安定になりやすいという。

日本の円買い介入、過去最大規模に

市場参加者の視線は、日本円にも向かっている。日本政府の新たなデータから、過去最大規模の為替介入の実態が明らかになったためだ。

日本の財務省は月曜日、7月末から外貨準備が795億7000万ドル(約12.2兆円)減少したと発表した。これは過去最大規模の円買い介入を反映したものだ。介入の結果、円は対ドルで155円近辺まで上昇し、月曜日のアジア時間の取引でも同水準を維持していた。

伊藤忠総研のチーフエコノミスト、武田淳氏はブルームバーグに対し、こう語った。

「日本は外債と預金の両方を使った可能性があるが、最も可能性が高いのは米国債の売却だ」

USD/JPY one-day chart. Source: Cointelegraph/TradingView

この動きは、円相場にとどまらない影響を持つ。米国の長期債利回りはすでに上昇圧力にさらされており、米財務省は9月9日から始まる緊急措置を発表している。

日本が将来の為替介入資金を確保するために米国債を売却すれば、ワシントンから否定的な反応を招く可能性がある。円安が再燃した場合、日本銀行と財務省は板挟みになりかねない。

日本総合研究所のエコノミスト、西村明里氏はこう指摘した。

「そうなれば、財務省と日本銀行は今後動きにくくなる」

Polymarket probabilities for BOJ rate decision on Sept. 18. Source: Polymarket

市場では、9月の日銀会合での利上げも織り込まれている。日本の政策金利はすでに1.0%と1995年以来の高水準にある。ポリマーケットのデータでは、0.25%の利上げ確率は現在98%となっている。

暗号資産市場は、ドル円やそれに関連するニュースに敏感だ。円キャリートレードや市場全体の流動性に長期的な影響を与える可能性があるためである。

ビットコイン、現物市場の勢いはまだ不足

ビットコインが8万ドル(約1227万円)近辺の短期レンジを抜け出すには、現物市場からの参加がさらに必要だとの分析も出ている。

オンチェーン分析プラットフォームのクリプトクアントは、過去1週間の上昇局面では、デリバティブ取引所の未決済建玉(OI)が急増していたと指摘した。これは、急な値動きを主導したのがデリバティブ勢だったことを示している。

クリプトクアントは、BTC/USDが直近で8万2000ドル(約1258万円)を上回った9月3日の値動きについて、こう分析した。

「合計未決済建玉は252億ドル(約3.87兆円)から275億3000万ドル(約4.22兆円)へ増加した。単一セッションで23億ドル(約3528億円)、9.24%の増加だ。1時間足では、価格とOIがUTC午前9時ごろからほぼ同時に拡大し始め、新規ポジションが強く流入したことを示している」

同社はまた、ビットコインの実現キャップがOIの伸びに追いついていないとも指摘した。実現キャップとは、BTC供給量を各コインが最後にオンチェーンで移動した価格で評価した総額である。

「結論は明確だ。今回の上昇には現物およびオンチェーンの参加もあったが、主なドライバーはデリバティブだった。OIの拡大、積極的な買い、プラスの資金調達率、レバレッジの上昇によって、実現されたオンチェーン資本よりも先物に大きく依存した構造が生まれた」

Cointelegraphは以前から、現物需要の不足がBTC価格の持続的なトレンド転換にとって大きな障害になっていると報じてきた。先月、BTC/USDが投資家を含み益圏に戻すと、利益確定売りが急増した。

クリプトクアントは、30日ローリングベースで現物需要が先物需要からますます乖離しており、依然としてマイナス圏にあると警告する。

「先物需要が上昇を主導している一方で、現物需要は引き続きマイナス傾向を示している。これは良いシグナルではない。現物需要なしに強気ラリーは成立しないからだ。反発にもかかわらず、現物BTCの流出はさらに増えている」

Bitcoin demand growth comparison (screenshot). Source: CryptoQuant

先週、Cointelegraphは、見かけ上の需要が再びマイナスに転じたことも報じた。これは、休眠状態だったBTC供給の増加が新規発行量を上回ったことを示している。

BTC価格、4カ月ぶりに8万ドル超の週足終値

TradingViewのデータによると、ビットコインは日曜日に8万ドル(約1227万円)をわずかに上回り、5月11日の週以来の高い週足終値を記録した。

BTC/USD one-week chart. Source: Cointelegraph/TradingView

ただし、8万ドルは依然として明確なサポートにはなっていない。強気派はこの水準を継続的に維持できておらず、すぐ上には売り手側の流動性が積み上がっている。

CoinGlassの最新データでは、流動性は8万560ドル(約1236万円)付近に集中している。厚い抵抗帯が形成され、BTC/USDを狭いレンジ内に押しとどめている格好だ。

BTC liquidation heatmap. Source: CoinGlass

オンチェーン分析企業グラスノードは先月、大きな流動性帯がビットコインの長期的な値動きを左右する重要要素になると指摘した。特に、8万3000ドルから8万6000ドル(約1273万〜1319万円)のゾーンが注目されている。

グラスノードは定期ニュースレター「The Week Onchain」の最新版でこう述べた。

「上昇の勢いは途中のショート注文を飲み込んだが、8万3000ドルから8万6000ドルに位置するショート清算の密集地帯には届かなかった」

さらに同社はこう続けた。

「スポット価格の下には、6万ドルから6万3000ドル(約920万〜966万円)にかけて、ロング清算の燃料となる帯が手つかずで残っている。価格は現在、この2つの境界の間で取引されている」

Bitcoin futures liquidation heatmap. Source: Glassnode

市場参加者の間では、現在の保ち合いがどの方向に抜けるのかが焦点となっている。

トレーディングツール「マーケッツ・スナイパー」の開発者であるジェシー・オルソン氏は、BTC/USDが2023年8月の強気チャート・フラクタルを繰り返しているとみている。同氏は、7万6000ドル(約1166万円)近辺が短期的な反転ポイントになり得ると指摘した。

BTC/USD one-day chart. Source: Jesse Olson on X.com

スーパー・トレンドが買いシグナル 2023年初の回復局面と酷似

日曜日の週足終値により、ビットコインの古典的なトレンド指標が2025年11月以来初めて緑に転じた。

週足ベースでBTC/USDはスーパー・トレンドラインを上回って終値を付け、「買い」シグナルを発した。

スーパー・トレンドは、平均真の値幅(ATR)データと倍率を使い、価格とスーパー・トレンドラインの関係から単純な買い・売りシグナルを算出する指標だ。

ビットコイントレーダーにとって週足は特に重要だ。過去、弱気相場の最中に価格がスーパー・トレンドラインを上回って週足を終えたことはない。

前回、スーパー・トレンドが赤から緑に転じたのは2023年1月中旬だった。当時、ビットコインは1万5600ドル(約239万円)で底を打ってから、すでに2カ月が経過していた。

逆に、この指標が緑から赤に転じた場面では、その後に長期的な下落トレンドが始まっている。

BTC/USD one-week chart with supertrend data. Source: Cointelegraph/TradingView

このシグナルは、ビットコインがすでに5万7000ドル(約874万円)でマクロの底を打ったとの見方を支える材料の一つになっている。

8月には、BTC/USDが2025年末以来初めて50週指数平滑移動平均線(EMA)を上回って月足を終えた。過去の例では、これは長期的な強気トレンドへの反転において重要な意味を持ってきた。

この記事はCointelegraphの編集方針に従って作成されており、情報提供のみを目的としています。投資アドバイスや推奨を構成するものではありません。すべての投資および取引にはリスクが伴います。読者は独自に調査を行うことを推奨します。

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