
ビットコインが上がらない理由 トランプ氏のイラン発言とFRBの利下げ不安で暗号資産市場が失速
トランプ大統領のイラン和平合意をめぐる発言は強弱入り混じるものとなり、ケビン・ウォーシュFRB議長は金融政策の新たな針路をにじませた。地政学リスクと金融政策の不透明感が重なり、市場は再び不安定な値動きとなった。

米国株式市場は水曜日、下落して取引された。きっかけは、ドナルド・トランプ大統領が「イランとの覚書はまだ最終決定ではない」と発言したことだ。
投資家たちは、ホルムズ海峡を通る原油の流れがすぐには正常化しないのではないかと身構えている。そうなれば、インフレ圧力は再び強まる。株式市場とビットコイン(BTC)は、危うい局面に差しかかっているのだろうか。
米国とイランは金曜日、正式に合意文書に署名する見通しだ。これにより、60日間の交渉期間が始まる。トランプ氏は水曜日、この合意は市場を喜ばせるはずで、原油価格も下がる可能性があると述べた。
しかし、その一方で、イランが「行儀よくしない」場合には追加爆撃もあり得ると脅した。

US 5-year Treasury yield vs. crude Brent oil, USD. Source: TradingView
ブレント原油は100日ぶりの安値まで下落した。ただ、市場関係者は燃料価格の下落が長く市場を下支えするとは見ていない。米5年債利回りは4.16%で、2週間前とほぼ変わらなかった。
投資家は、米連邦準備制度理事会(FRB)が近く利下げに踏み切れるかどうかについて、自信を失いつつある。そのため、米国債にはより高い利回りが求められている。
インフレ再燃と、弱いビットコイン機関投資家需要
水曜日に発表された米小売売上高は、2025年5月から6.9%増となった。ただ、この伸びは、燃料などの商品価格上昇を反映したものとみられる。
同じ水曜日には、ケビン・ウォーシュ議長による初の米連邦公開市場委員会(FOMC)も開かれた。金利据え置きの決定は、おおむね予想通りだった。とはいえ、投資家はウォーシュ氏の考え方や、議長としての信頼性を見極めようとしている。

Nasdaq-100 futures (left) vs. Bitcoin/USD (right). Source: TradingView
ハイテク株中心のナスダック100指数は、過去最高値を2%下回る水準で推移した。一方、ビットコインは5月中旬以降、8万ドル(約1283万円)超の水準を維持できていない。
ビットコイン投資家の疑念の一因は、現物上場投資信託(ETF)への資金流入が乏しいことだ。さらに、国際取引所と比べたコインベース・プレミアムも見られない。これは、機関投資家の需要が弱いことを示すシグナルである。

Coinbase Bitcoin USD vs. international USDT prices. Source: TradingView & Cointelegraph
コインベースにおける米ドル建てビットコイン価格は、過去5週間にわたり、USDT建ての国際取引所価格に対してディスカウントで推移している。
一方、米国上場の現物ビットコインETFからは、6月に入ってこれまでに21億ドル(約3367億円)の純流出が発生している。さらに、ストラテジーの優先永久株「ストレッチ(STRC US)」の最近の弱さも、市場心理を一段と冷え込ませている。
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Strategy preferred perpetual equity Stretch (STRC US). Source: TradingView
STRCは保有者に11.5%の利回りを提供する商品だ。しかし、新株発行は固定価格の100ドル(約1万6033円)でしか行えない。
その結果、ストラテジーが毎月1億4200万ドル(約228億円)の現金配当を支払う余地は狭まっている。MSTR保有者の希薄化を招く形で追加の株式を発行するか、現在11億ドル(約1764億円)ある米ドル現金準備を取り崩すか、いずれかを迫られる格好だ。
ストラテジーが発行した優先株の総額は155億ドル(約2兆4851億円)に達している。
もちろん、ストラテジーが近いうちに保有ビットコインを売却せざるを得なくなるという証拠はない。
それでも、STRC価格の弱さは、同社の財務レバレッジに対する市場の信頼が低下していることを映している。仮にビットコインへの機関投資家資金が再び戻ったとしても、米国とイランの合意が本当に成立するのか、投資家はなお疑っている。
そのため、ビットコインが8万ドル(約1283万円)へ持続的に回復するには、もう少し時間がかかるかもしれない。

