
ビットコイン、8万7000ドル突破も正念場 米国債5%超で上昇継続に逆風
ビットコインは2026年第3四半期に43%上昇し、2017年以来の好調な四半期となった。一方、米国債利回りが5%を超える中、リスク資産への資金流入には逆風が強まっている。米雇用統計の悪化で10月の利上げ観測は後退したものの、上昇継続は容易ではないとの見方が出ている。

ビットコイン(BTC)は2017年以来で最も好調な第3四半期を終えた。しかし、米国債利回りが5%を超え、投資家にとってリスク資産以外の魅力的な選択肢となる中、上昇基調を維持するのは難しくなる可能性がある。
暗号資産市場分析会社デルファイ・デジタルは最新の週次レポートで、ビットコインが第3四半期に43%上昇し、先週まで3週連続で上昇したと指摘した。
ただし、デルファイは「上昇は明確な抵抗線にぶつかりながら進んでいる」と分析。9月の米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げや、数十年ぶりの水準まで上昇した米国債利回りをその要因として挙げた。
「政府債券がリスクなしで5%を超える利回りを提供するなら、あらゆるリスク資産は資金を引きつけるために、より高い魅力を示さなければならない」とデルファイは指摘している。
それでもビットコインは、これまでのところこの逆風を乗り越えている。その一因となっているのが、いわゆる「通貨価値希薄化(デバシメント)取引」への関心の高まりだ。
これは、政府による借り入れの拡大や通貨供給量の増加が続けば、ドルの購買力が低下するとの見方に基づく投資戦略だ。
暗号資産に特化したベンチャー企業アーチ・キャピタルのマネージングパートナー、バネッサ・グレレ氏は、投資家が連邦政府の財政赤字や政府の利払い負担の増加に注目するようになっていることを踏まえ、「デバシメント取引には低金利は必要ない」と指摘した。
こうした環境の中、ビットコイン価格は先週、一時8万7000ドル(約1305万円)を突破したものの、その後は下落に転じた。
8月中旬以降では35%超上昇している。米財務省が市場の流動性を支えるため、10年債や20年債を対象とする長期国債の買い戻しを倍増させる計画を発表した直後から上昇が加速した形だ。
一部の投資家は、この動きについて債券市場のひっ迫を緩和し、借り入れコストを抑える狙いがあるとみていた。その後、国債買い戻しの規模は3倍に拡大した。

弱い雇用統計で利上げ観測後退
ビットコインを取り巻く金利環境は、予想を下回る米雇用統計を受けて、さらに緩和的になる可能性がある。
9月の米雇用者数はわずか2万9000人の増加にとどまり、予想の8万人を大きく下回った。米労働統計局(BLS)が公表した最新の非農業部門雇用者数に関する統計によるものだ。統計を受け、10月にFRBが再び利上げするとの見方は大きく後退した。
弱い雇用統計は、労働市場が冷え込んでいるとの兆候をさらに強めた。FRBにとっては、再度の利上げを急がずに様子を見る余地が広がった格好だ。
もっとも、今回の雇用統計が発表される前から、FRB当局者は利上げを急いでいない姿勢を示していた。
9月の経済見通しでは、政策当局者は年内に追加利上げを1回行うとの見通しを示していた。しかし、その後、一部の当局者からは慎重な対応を求める声が出ている。
今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁も、FRBは次の利上げを急ぐ必要がないとの認識を示した。
ウィリアムズ氏は先週の講演で、「9月の会合で行った政策対応を踏まえれば、急ぐ必要はない」と述べた。
CMEグループのフェドウォッチ・ツールでは現在、10月の利上げ確率は約24%となっている。1週間前には75%を超えていたが、雇用統計を受けて大幅に低下した。

