
中国、暗号資産を「スパイ活動の共犯者」と警戒 シンガポールの取引は55%増
中国当局が暗号資産について、マネーロンダリングやサイバー攻撃だけでなく、スパイ活動にも利用されていると警告した。一方、シンガポールでは暗号資産経済が55%以上拡大。韓国ではマーケットメイカー制度の導入が検討され、日本ではバイナンス・ペイがPayPay加盟店での暗号資産決済を可能にするなど、アジア各地で暗号資産をめぐる動きが相次いでいる。

中国
北京、暗号資産を「スパイ活動の共犯者」と警戒
中国国家安全部は、暗号資産が犯罪に利用されていることや、取引が実際には完全な匿名ではないことを強調し、暗号資産のリスクに対する警戒姿勢を強めている。
サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道によると、中国国家安全部はSNSに記事を投稿し、暗号資産がマネーロンダリングやサイバー攻撃を助長するために利用され、スパイ活動の「共犯者」となっていると主張した。
同部は、暗号資産が「海外の反中国敵対勢力」によって、金融秩序を混乱させ、国家安全保障を損なうために利用されることが多いとした。
また、暗号資産は多くの人が考えるほど匿名性が高くないと警告した。これは、当局に知られることなく資金を送受金できると誤解している外国のスパイ候補者に向けた、暗黙の警告とも受け取れる。
中国国家安全部によると、「海外の情報機関は、スパイとして勧誘しようとする人物に対し、暗号資産の流通は追跡が難しいと説明することで懸念を払拭しようとしていた」という。
メッセージは、「われわれはブロックチェーンを監視している」ということだ。
この警告はビットコインやイーサリアムなど大半の暗号資産に当てはまる一方、モネロ(Monero)やジーキャッシュ(Zcash)は正しく利用すれば完全なプライバシーを確保できる。
中国はこれまでにも暗号資産を何度も禁止してきた。2017年には取引所を包括的に禁止し、2021年にはマイニングも禁止。その後、暗号資産関連事業をすべて違法と宣言している。
シンガポール
シンガポールの暗号資産取引、55%増 地域全体は縮小
シンガポールの暗号資産経済は、2026年6月までの1年間で55.4%増加し、2840億ドル(約44兆8400億円)に達した。
チェイナリシスによると、地域全体の暗号資産経済が縮小するなか、シンガポールは中央・東南アジアおよびオセアニア(CSAO)で最大の暗号資産経済としての地位を取り戻した。
成長の多くは機関投資家向けプラットフォームの取引によるものだった。この分野は94%増加して600億ドル(約9兆4740億円)となり、少数のマーケットメイカー、店頭(OTC)取引会社、機関投資家向け証券会社に集中していた。
一方、チェイナリシスによると、CSAO全体の暗号資産経済は同期間に6.8%縮小した。
チェイナリシスはコインテレグラフに対し、「シンガポールの機関投資家向けプラットフォームのエコシステムにおける成長は非常に集中しており、新たなサービスが次々と参入するというよりも、既存のプラットフォームによる大規模な取引が中心となっていた」と説明した。

Total crypto economic activity in CSAO. Source: Chainalysis
韓国
韓国、暗号資産マーケットメイカーをついに容認か
韓国の金融委員会(FSC)は、デジタル資産のマーケットメイキング制度の導入を検討している。
背景には、今月初め、韓国の大手暗号資産取引所で日本円の価値に連動するステーブルコインが、ペッグ価格の4倍に達する価格で取引されたことがある。
暗号資産取引所アップビットは9月17日、円連動型ステーブルコイン「JPYC」の取引を開始した。
取引開始時の価格はJPYC1枚=12韓国ウォンだったが、わずか1時間後には37.6韓国ウォンまで上昇。市場価値の4倍を超える水準となった。
この急騰は、アップビットの流動性不足が原因とされた。
FSCのデジタル金融政策局長、ユ・ヨンジュン氏は、「デジタル資産市場の効率性と安定性を高めるため、マーケットメイキングなどの制度を導入する必要性についても検討する」と述べた。
現在の韓国の「仮想資産利用者保護法」には、市場操作規制についてマーケットメイキングを免除する規定がない。そのため、マーケットメイカーが韓国の暗号資産市場に流動性を提供することが妨げられている。
ムーンペイ、韓国で事業開始
米国の決済・インフラ企業ムーンペイ(MoonPay)は、韓国法人を設立した。
同社は現地の金融機関と連携し、送金、決済、資金決済、デジタル資産の流通などに取り組む。ただし、必要な認可はまだ取得していない。
日本
バイナンス・ペイ、日本のPayPay加盟店で100種類超の暗号資産を利用可能に
バイナンス・ペイ(Binance Pay)は23日から、日本を訪れる対象の海外ユーザーが、PayPayに対応する大半の加盟店で100種類を超える暗号資産を利用できるサービスを開始する。
サービスには、海外のQR決済サービスと日本国内のPayPay対応加盟店をつなぐ決済相互運用フレームワーク「HIVEX」が利用される。
バイナンス・ペイではテザー(Tether)のUSDt(USDT)をバックエンドの決済レイヤーとして利用。HIVEXがPayPayとの間で決済を行い、PayPayが加盟店に対して日本円で支払う仕組みだ。
バイナンスはコインテレグラフに対し、HIVEXを通じてPayPay対応加盟店を利用できる暗号資産決済サービスは同社が初めてだと説明した。
加盟店側が別途サービスへの参加を申し込む必要はないという。
PayPayは、日本全国の数百万カ所で利用されている日本のキャッシュレス決済サービスだ。大手チェーンや小売店、券売機、自動販売機、タクシー、公共交通機関などで利用できる。
PayPayは、HIVEXを通じて対応する海外決済サービスとして、中国、香港、台湾を中心に9つのサービスを掲載している。

Shibuya Crossing. Source: Jezael Melgoza
香港
香港当局、暗号資産企業の財務報告監督を強化
香港の規制当局は、認可を受けた暗号資産企業の財務報告や監査をめぐる協力を拡大するため、合意書に署名した。
香港証券先物委員会(SFC)と会計・財務報告局(AFRC)は、認可を受けた暗号資産企業を対象に、監査・保証業務で協力することで合意した。
両当局は、情報共有や案件の照会、相互支援、検査・調査の連携に向けた枠組みを構築する。
HSBC、新たな香港ドル建てステーブルコイン「RedCoin」を発行へ
HSBCは、香港ドルに連動する新たなステーブルコイン「RedCoin」の段階的な展開を計画している。
まず個人間送金や加盟店での決済から開始し、その後、法人や機関投資家向けの用途へと拡大する。
また、一般市民が暗号資産をだまし取られる被害を防ぐため、教育キャンペーンも開始する予定だ。

