
英国が暗号資産税制を大転換 DeFi利用者に朗報、「貸しただけ」で課税される理不尽がついに終了へ
英国政府が暗号資産レンディングや流動性プールの税制を大幅に見直す。2027年からは「No Gain, No Loss(利益・損失なし)」ルールを導入し、資産を貸しただけではキャピタルゲイン課税が発生しない仕組みへ。約70万人に影響する大型改正の裏側と、暗号資産業界が歓迎する理由を解説する。

英国が暗号資産税制を大転換 「貸しただけ」で税金はもう払わない
英国政府が、暗号資産投資家にとって長年の悩みだった税制へ大なたを振るう。
英国の税務当局であるHMレベニュー・アンド・カスタムズ(HMRC)は7月14日、暗号資産レンディング(貸し出し)やDeFi(分散型金融)の流動性プールに関する税制を見直し、2027年4月6日から「No Gain, No Loss(利益・損失なし)」方式を導入すると発表した。
これにより、一定条件を満たすレンディングや流動性プールへの預け入れは、その時点ではキャピタルゲイン税(譲渡益課税)の対象にならない。
実際に資産を売却し、経済的な利益を確定させたタイミングまで課税が先送りされる。
「貸しただけで課税」が最大の問題だった
従来の英国税制では、暗号資産をレンディングプロトコルや流動性プールへ預ける行為が、「資産を処分した(Disposition)」と見なされるケースがあった。
つまり、
- ビットコインを売っていない
- 現金も受け取っていない
- 実際には資産を運用しているだけ
にもかかわらず、税務上は売却と同じ扱いとなり、キャピタルゲイン税の計算が必要になる可能性があった。
HMRCは今回、
「税制を実際の経済実態に近づけ、公平性を高める」
として制度変更の理由を説明している。
約70万人が影響 税率は最大24%
今回の改正は、およそ70万人の個人投資家や信託へ影響すると見込まれている。
英国では2025〜26年度時点で、暗号資産の譲渡益に対するキャピタルゲイン税率は、
- 基本税率対象者:18%
- 高所得者:24%
今回の制度変更は税率を引き下げるものではない。
「いつ課税されるのか」を変更する制度改革だ。
DeFiにも適用 AMMも対象
新ルールでは、以下のようなケースが「No Gain, No Loss」の対象となる。
- 同一種類の暗号資産によるレンディング
- 暗号資産の借り入れ
- 自動マーケットメーカー(AMM)を利用した流動性プール
つまり、多くのDeFiユーザーが利用する主要な運用方法が対象となる。
Aave創業者「正しい方向だ」
DeFiレンディング大手アーベ(Aave)の創業者兼CEO、スタニ・クレチョフ氏はXで、
「これは正しい方向性だ。業界からのフィードバックによって、他の方法では納税者への事務負担が極めて大きくなることが示された」
と歓迎した。
実際、DeFiでは資産を何度も預け替えたり、流動性プールを移動したりすることが珍しくない。
そのたびに譲渡益を計算しなければならない現行制度は、投資家だけでなく税務処理の面でも大きな負担となっていた。
一方で英国政界では「暗号資産マネー」を巡る騒動も
税制改革が進む一方、英国政界では暗号資産業界との関係を巡る騒動も起きている。
リフォームUK党首のナイジェル・ファラージ氏は先週、議員を辞職したことで補欠選挙が実施されることになった。
ファラージ氏は、暗号資産業界とも関係が深い億万長者クリストファー・ハーボーン氏から670万ドル(約10億円、1ドル=150円換算)の献金を受けていたと報じられている。
さらに、暗号資産カジノとの関係が指摘される詐欺罪の有罪判決を受けたジョージ・コットレル氏からも資金援助を受けていたという。
こうした状況を受け、ソラナのコミュニティ団体「スーパー・チームUK」のリーダー、スティーブン・ニューナム氏は、8月13日に予定されるクラクトン選挙区の補欠選挙へ無所属で立候補すると表明した。
同選挙には、ごみ箱型ヘルメット姿で知られる風刺候補「カウント・ビンフェイス」ことコメディアン兼作家のジョン・ハーベイ氏も立候補を予定しており、異色の選挙戦となりそうだ。

