
トランプ政権「暗号資産捜査をやめろ」?司法省トップ候補が上院で猛批判
米司法省トップへの就任を目指すトッド・ブランチ氏が上院公聴会で集中砲火を浴びた。暗号資産犯罪の捜査チーム解体、バイナンス創業者CZ氏への恩赦、そしてトランプ一族の暗号資産ビジネスとの関係まで――司法の中立性を巡る論争が再び激化している。

米司法省(DoJ)のトップ就任を目指すトッド・ブランチ司法長官代行が7月15日、上院司法委員会の承認公聴会に臨み、暗号資産政策を巡って民主党議員から厳しい追及を受けた。
特に焦点となったのは、ブランチ氏が副司法長官時代の2025年4月に司法省の暗号資産犯罪専門チームを解散させたことだ。民主党は、この決定がトランプ政権と暗号資産業界との密接な関係を後押ししたと批判している。
「司法省が暗号資産業界の捜査をやめた」
公聴会の冒頭、民主党トップのディック・ダービン上院議員はブランチ氏を厳しく非難した。
ダービン氏は、
「司法省の暗号資産犯罪捜査チームを解体し、業界に対する刑事捜査を停止させた」
と批判。
さらに、この判断によってトランプ大統領とその一族が関与する暗号資産事業「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」が大きな恩恵を受け、トランプ氏は関連事業から約14億ドル(約2,072億円、1ドル=148円換算)を得たと主張した。

Todd Blanche speaking at his confirmation hearing before the Senate Judiciary Committee on Wednesday. Source: Associated Press
CZ氏への恩赦にも疑惑
ダービン氏はさらに、Changpeng Zhao(CZ)氏についても言及した。
同氏は、
「CZ氏がワールド・リバティ・ファイナンシャルへ20億ドル(約2,960億円)を流す取引を仲介し、その見返りとして大統領恩赦を受けた」
と疑惑を投げかけた。
CZ氏は2023年、Binanceにおけるマネーロンダリング対策(AML)違反に関連して有罪を認めている。
ダービン氏は、
「この政権の怪しい取引の裏側には、必ず暗号資産がある」
と強い言葉で政権を批判した。
共和党からも「CZ恩赦は気になる」
暗号資産を巡る質問は民主党だけではなかった。
共和党のトム・ティリス上院議員も、
「バイナンスCEOへの恩赦には懸念がある」
と述べ、ブランチ氏の見解を質した。
これに対しブランチ氏は、
「司法長官に正式就任した場合、恩赦の手続きについて見直す」
と回答し、具体的な評価は避けた。
「コードを書くことは犯罪ではない」
一方でブランチ氏は、トランプ政権下で進められてきた暗号資産政策の転換についても改めて説明した。
同氏は2025年、「訴追による規制(Regulation by Prosecution)を終わらせる」との方針を打ち出し、就任後はブロックチェーン開発者に対する捜査方針を大きく変更している。
今年4月のBitcoin 2026カンファレンスでは、
「ソフトウェアを開発しているだけのプログラマーや開発者で、第三者による犯罪に故意に加担していない限り、捜査や起訴の対象にはならない」
と発言。
従来のように、ミキサーやウォレット、ブロックチェーン開発者そのものを捜査対象とする姿勢から転換する考えを明確にしていた。
トルネード・キャッシュ事件は継続
もっとも、司法省が暗号資産関連事件の捜査を全面的にやめたわけではない。
現在も、違法行為への利用が疑われるサービスを巡る訴訟は続いている。
暗号資産ミキシングサービス Tornado Cash の共同創設者Roman Storm氏については、2025年の裁判で一部の罪状について陪審員の評決がまとまらなかったことから、連邦検察は今年中に再び裁判を行う見通しとなっている。

