
トランプ大統領の「演説原稿」で1600万円荒稼ぎか プロンプター担当者に“インサイダー賭博”疑惑
トランプ米大統領が演説で「何を口にするか」を賭ける予測市場で、長年プロンプターを操作してきたスタッフが10万ドル超を稼いでいた疑いが浮上した。原稿を事前に知る立場を利用したのか。演説中に賭けを手じまう“神業”まで披露していたという。

ドナルド・トランプ米大統領の演説を陰で支えてきたスタッフに、とんでもない疑惑が持ち上がった。
トランプ氏が演説で使うテレプロンプターを長年操作してきた技術スタッフが、一般には公開されていない情報を利用し、予測市場カルシで10万ドル(約1624万円)を超える利益を得ていた疑いがあるというのだ。
米ABCニュースが16日、事情に詳しい関係者の話として報じた。
疑惑の人物は、ガブリエル・ペレス氏。2016年からトランプ氏のテレプロンプターを担当してきた技術アシスタントだ。
報道によると、ペレス氏はトランプ氏の演説内容に関連する十数件以上の市場で賭けを行い、合計10万ドルを超える利益を手にしたとされる。現在、米連邦当局との和解に向けた協議を進めているという。
演説中に売り抜ける“離れ業”
不審な取引を発見したのはカルシだった。
同社は監視システムを通じてペレス氏の取引を検知し、米商品先物取引委員会(CFTC)に報告したとされる。
問題となったのは、カルシが提供する「メンションズ」と呼ばれる市場だ。大統領などの公人が演説で特定の単語、表現、話題に言及するかどうかを予想し、金銭を賭ける仕組みである。
たとえば、「トランプ氏が演説中に“中国”という言葉を口にするか」といった契約を売買する。予想が当たれば利益が出るが、外れれば損失を被る。
ところが、演説原稿を事前に目にできる人物が参加していたとすれば、話はまるで違ってくる。
ABCニュースの情報源によると、トランプ氏が演説中、原稿に用意されていた文章を飛ばした際、ペレス氏はその場で保有ポジションを手じまうことがあったという。
つまり、賭けた単語をトランプ氏が口にしないと判断した瞬間、演説の途中で売り抜けていたというわけだ。
一般の参加者から見れば、まさに“答えを知っている人間”との勝負である。
一般教書演説やダボス会議も賭けの対象に
規制当局の調査では、約3カ月間に行われた十数件以上の演説に関連する賭けが確認されたと報じられている。
対象には一般教書演説のほか、世界経済フォーラムでのトランプ氏の発言も含まれていたという。
報道を受け、ホワイトハウスはペレス氏を無給の行政休職処分とした。
ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官によると、トランプ氏は今回の疑惑について「恥ずべき行為だ」と批判したという。
予測市場で相次ぐ“インサイダー疑惑”
予測市場ではここ数カ月、取引高が急増する一方、非公開情報を利用したインサイダー取引への懸念も強まっている。
3月には、予測市場ポリマーケットのトレーダー6人が、米国が2月末までにイランを攻撃すると正しく予想し、合計約100万ドル(約1億6240万円)を稼いだ。
ブルームバーグは分析企業バブルマップスの調査を引用し、テヘランで爆発が初めて報じられるわずか数時間前に、複数のウォレットが賭けを行っていたと報じている。
非公開情報にアクセスできる人物が取引していたのではないかとの疑念が浮上した。
別の事件では、ブロックチェーン調査員ザックXBTが分散型金融(DeFi)プラットフォーム「アクシオム」の従業員によるインサイダー取引疑惑を公表する直前、関連するオンチェーン調査の結果に賭けたウォレットが、120万ドル(約1億9488万円)を超える利益を得ていた。
さらに、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が拘束されるとの情報が公になる直前、その結果に正しく賭けた別のトレーダーが約40万ドル(約6496万円)を稼いだ事例も報告されている。
米議会も規制に動く
こうした事例が相次いだことで、議員や規制当局も予測市場への監視を強めている。
米下院デジタル資産小委員会の委員長を務める共和党のブライアン・スタイル議員は先月、議員本人とその近親者に対し、公共政策や政治的結果に関連する予測市場契約の取引を禁止する法案を提出した。
選挙、戦争、政府の政策、そして大統領の発言まで、あらゆる出来事が“賭けの対象”となる予測市場。
だが、結果を左右する情報に誰よりも近い人物まで参加できるのであれば、それは果たして公正な市場と呼べるのだろうか。

