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Martin YoungライターFelix Ng監修編集者

セイラー氏の「ビットコイン買い増し戦略」に限界か ストラテジー初売却で市場動揺

最新ニュース公開日2026年6月5日

グレースケールによれば、同社のレバレッジを効かせたビットコイン戦略は現在、圧力にさらされている。今後、ストラテジーがこれまでのようにBTCを買い続ける余力は限られ、場合によってはさらなる売却に追い込まれる可能性もあるという。

マイケル・セイラー氏率いるストラテジーの“ビットコイン買い増しモデル”に、ついにきしみが見え始めた。

グレースケールによれば、同社のレバレッジを効かせたビットコイン戦略は現在、圧力にさらされている。今後、ストラテジーがこれまでのようにBTCを買い続ける余力は限られ、場合によってはさらなる売却に追い込まれる可能性もあるという。

「世界最大級のBTC保有企業の一つが方針を変えたことは、市場心理の重しになっている」

そう指摘したのは、グレースケールのリサーチ責任者、ザック・パンドル氏だ。

ストラテジーは月曜日、32BTCを売却した。同社が保有する84万3706BTCから見れば、ごくわずかな量にすぎない。だが、市場を揺さぶるには十分だった。売却後、ビットコイン価格は16%下落している。

同社はさらに、1億2800万ドル、日本円で約204億8000万円相当の株式も売却した。ストラテジー株はその後12.8%下落し、木曜日には2カ月ぶり安値となる126ドル、約2万160円まで沈んだ。

ビットコインの下落は、ストラテジーの売却とSTRCの下落後に加速した。チャートが映し出すのは、投資家心理の変化だった。

BTC losses accelerated after Strategy sold and STRC declined. Source: Google Finance

パンドル氏が特に警戒するのは、同社の変動利率型優先株「ストレッチ(STRC)」への影響である。

ストレッチは、本来1株100ドル、約1万6000円前後で取引され、11.5%の配当を支払う設計になっている。しかし現在はその水準を下回り、約95ドル、約1万5200円で取引されている。これは、投資家がより高い利回りを求めていることを意味する。

問題はここからだ。

ストラテジーが投資家をつなぎ留めるために配当を引き上げれば、同社の現金支出は増える。資金繰りの負担が重くなれば、BTC売却を迫られる可能性が高まる。そして売却がさらなる価格下落を招く。いわば、負の連鎖である。

「ストラテジーのレバレッジ型ビジネスモデルは圧力下にあり、それがBTC市場全体のボラティリティを高めている」

パンドル氏はそう述べた。

さらにグレースケールは、現在のSTRCとMSTRの株価水準では、ストラテジーが追加でトークンを積み増す能力は「限定的」になるとみている。

関連記事では、セイラー氏がビットコイン下落を軽視する一方、ストラテジーには110億ドル、約1兆7600億円の含み損が発生しているとも報じられている。

著名な金投資家で、ビットコイン批判派として知られるピーター・シフ氏も、木曜日にXで同様の見方を示した

もしストラテジーがSTRCを100ドルに戻すため配当を引き上げざるを得なくなれば、同社は「より早く現金を使い果たし、支払い原資を確保するためにビットコイン売却を前倒しすることになる」というのだ。

パンドル氏は最後に、長期的にはレバレッジをかけた企業のバランスシート上にあるビットコインが減り、より分散された企業保有へ移ることが、ビットコイン市場全体にとって健全だと締めくくった。

「ビットコインのエコシステムの長期的な健全性を考えれば、レバレッジ型のデジタル資産トレジャリー企業のバランスシート上にあるBTCが減り、より多様な企業のバランスシートに分散されることは、前向きな要素だと考えている」

それでも、セイラー氏のストラテジーに弱気一色ではない

ただし、市場の見方は一枚岩ではない。

暗号資産ソフトウェア企業シグナルプラスのパートナー、オーガスティン・ファン氏は金曜日、コインテレグラフに対し、市場は今回の下落について、ストラテジーの最近の売却やSTRCの額面割れを理由にしていると説明した。

だが同氏はこうも語る。

「現実には、最も熱心な支持者でさえ、構造的に強気でいられる理由を失いつつある」

今後の焦点は、MSTRをめぐる状況に集まる。セイラー氏が配当支払い、STRC、そしてデジタル資産トレジャリー保有分とのバランスをどう取りながら、流動性の圧力を処理するのか。市場はそこを見ている。

一方、コインエックスのチーフアナリスト、ジェフ・コー氏は、ストラテジーによる初のビットコイン売却が今週の売りの「重要な心理的きっかけ」になったと指摘した。

しかし、同氏は市場の反応ほど悲観すべき動きではないともみている。むしろ、同社により大きな柔軟性を与えるものだという。

「ビットコイン売却をめぐる柔軟性が高まることは、ストラテジーがあらゆる市場環境で一方向の買い増し戦略を強いられるよりも、バランスシート上のリスクをより慎重に管理する助けになる」

かつて“売らない男”として知られたセイラー氏の戦略は、いま初めて本格的なストレステストを受けている。

ビットコインを買い続ける伝説は、ここからどこまで続くのか。市場は固唾をのんで見守っている。

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