暗号資産起業家ジャスティン・サン氏と関係が深い暗号資産取引所HTXが、トランプ家が関与するステーブルコイン「USD1」の上場廃止に踏み切った。背景にあるのは、ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)によるHTX関連アドレスの凍結をめぐる対立だ。
HTXは土曜日、こう声明を出した。
「ワールド・リバティ・ファイナンシャルのプロジェクトチームは最近、制裁順守に関する審査を理由として、特定のHTXオンチェーンアドレスに対し、一方的に凍結措置を講じたと発表した」
同社によれば、この措置により、対象アドレスに関連する一部WLFI資産のオンチェーン上の流通が制限されたという。HTXは、ユーザー資産を守るためとしてUSD1の上場廃止を決めた。
先月、英国は5月26日、HTXの旧称であるフォビ・グローバルについて、金融サービスを通じてロシア政府を支援したと疑う「合理的な根拠」があるとして制裁対象に指定した。
一方、HTXは、制裁対象となった法人「フォビ・グローバルS.A.」は「オンライン取引所HTXとは別個の存在」だと主張。したがって、その指定がHTXの取引プラットフォームに影響を及ぼすべきではないとしている。

Source: HTX
USD1の上場廃止は日曜日に発効した。USD1の入金および交換サービスはすでに停止され、ユーザーが保有するUSD1は、ステーブルコインのテザー(USDT)へ1対1の比率で交換される。完了時期や詳細については、別途発表するとしている。
さらにHTXは、WLFI/USDT、USD1/USDT、BTC/USD1、ETH/USD1の取引ペアも停止した。
HTXは、今回のアドレス凍結について、「十分な事前協議も、適切な契約上または法的根拠も、透明性ある開示も、適正手続きの順守もないまま行われた」と批判。ユーザーとその資産に対する権利侵害だとして、WLFIに凍結解除を求めている。
同社はさらに、ユーザーの正当な権利と利益を守るため、「法的救済の追求を含むが、それに限られない措置」を取る構えも示した。
ワールド・リバティ・ファイナンシャルには、米大統領ドナルド・トランプ氏と、長男ドナルド・ジュニア氏、次男エリック氏、三男バロン氏がアドバイザーとして名を連ねている。ただ、同社はHTXのアドレスを凍結したかどうかについて、公には説明していない。
同社は水曜日、Xにこう投稿していた。
「最近の制裁更新を踏まえ、ワールド・リバティ・ファイナンシャルは、リスクベースの制裁順守管理を維持している」
コインテレグラフは、ワールド・リバティ・ファイナンシャルにコメントを求めた。
ジャスティン・サン氏は、HTXを実質的に所有していると報じられ、同取引所のグローバル諮問委員会にも名を連ねている。そのサン氏は4月、ワールド・リバティを相手取り訴訟を起こしていた。訴状では、同プラットフォームが「正当な理由なく」自身のトークンを凍結し、さらに焼却、いわゆるバーンをちらつかせたと主張している。
これに対し、ワールド・リバティ側も5月、サン氏を名誉毀損で提訴した。同社は、サン氏がプラットフォームについて虚偽の発言を行い、さらにWLFIトークン販売条件に違反したと主張している。具体的には、禁止された移転、空売り、名義貸し購入があったとされる。
トランプ家の名を冠した暗号資産プロジェクトと、ジャスティン・サン氏系取引所の対立。制裁対応をめぐる“凍結”の一手は、ついに上場廃止という形で表面化した。

