
「イーサリアムは電気を食う」は大ウソ?消費電力99.96%減、ソラナより圧倒的に省エネと判明
ケンブリッジ大学の最新調査で、イーサリアムは主要なプルーフ・オブ・ステーク型ブロックチェーンのなかでも、時価総額あたりの電力消費が極めて少ないことが判明した。年間消費電力量ではソラナを下回り、2022年の「マージ」以前と比べれば実に99.96%減。“暗号資産は環境破壊”という批判は、もはやイーサリアムには当てはまらないのか。

ケンブリッジ大学が公表した最新研究で、イーサリアムの「省エネぶり」が明らかになった。
主要なプルーフ・オブ・ステーク(PoS)型ブロックチェーンを比較したところ、イーサリアムは、時価総額に対する電力消費量が最も少ない部類に入ったという。一方、ネットワーク全体の電力消費量だけを見れば、調査対象となったPoSネットワークの多くを上回っている。
ケンブリッジ・オルタナティブ・ファイナンス・センターの推計によると、イーサリアムの年間消費電力量は約7.87ギガワット時(GWh)だ。
これを時価総額で調整すると、時価総額100万ドル(約1億6200万円)あたりの消費電力量は約33キロワット時(kWh)。今回調査されたPoSネットワークのなかでは、BNBチェーンに次いで2番目に低い数字だった。

Illustration of post-merge Ethereum consumption. Source: Cambridge
ソラナの電力消費量はイーサリアムの「8.5倍」
対照的に、最も多くの電力を消費していたのがソラナだ。
ソラナの年間消費電力量は約13.48GWh。時価総額100万ドルあたりでは約283kWhに達し、イーサリアムのおよそ8.5倍となった。
比較対象となったネットワーク全体の年間消費電力量は、合計で約38GWhだった。
今回の報告書は、イーサリアムが「マージ」を完了した後の環境負荷を分析したものとして、これまでで最も詳細な調査の一つとされる。政策当局や投資家にとっても、各ブロックチェーンの持続可能性を比較するための、より新しい判断材料となりそうだ。
「マージ」で消費電力は99.96%減
イーサリアムは2022年9月、「マージ」と呼ばれる大型アップグレードを実施した。
それまで採用していたプルーフ・オブ・ワーク(PoW)型の合意形成方式を廃止し、PoSへと移行。この変更により、イーサリアムの電力消費量は約99.96%も減少した。
マージ以前は、大量の電力を使う高性能コンピューターを動かし、マイナー同士が計算競争を繰り広げることでネットワークを維持していた。
しかしマージ後は、イーサ(ETH)をステーキングする「バリデーター」がネットワークの安全性を担保する仕組みに変わった。電力を大量消費するマイニング競争そのものが、事実上なくなったのである。
イーサリアムの電力消費を「ノード単位」で測定
今回、ケンブリッジ大学は、イーサリアムの主要ソフトウェアクライアントを組み合わせた20通りの環境を用意し、ノードが接続地点でどの程度の電力を消費するのかを測定した。
その結果、一般家庭に置かれる標準的な機器では消費電力が約18ワットだったのに対し、高性能ワークステーションでは約153ワットに達した。
家庭で稼働するノードと、専門業者が運営するホスティング型ノードの構成比を踏まえると、1ノードあたりの平均消費電力は約105ワットと推計された。
ケンブリッジ大学が確認できたフルノードは約8522台。このうち64%がクラウドや企業向け施設で稼働し、残る36%が一般家庭の回線を使っていた。
問題は「仕組み」ではなく、電気を作る方法へ
ケンブリッジ大学によれば、現在のイーサリアムが排出する温室効果ガスの量は、ブロックチェーンの仕組みそのものよりも、ノードに電気を供給する地域の電源構成に左右される。
調査では、イーサリアムが使用する電力のうち、再生可能エネルギーと原子力によるものが約56.4%を占めた。一方、化石燃料由来の電力は43.6%だった。
つまり、PoS移行後のイーサリアムでは、電力消費量そのものよりも、「その電気が石炭や天然ガスで作られたのか、それとも再生可能エネルギーや原子力で作られたのか」が、環境負荷を決める大きな要因になっている。
かつて暗号資産業界には、「大量の電気を食い潰す環境破壊産業」との批判がつきまとっていた。
だが、少なくとも現在のイーサリアムについては、そのイメージは大きく修正する必要がありそうだ。

