
暗号資産だけに新税?イリノイ州の0.2%取引税に業界激怒
「株式にも、債券にも、デリバティブにも、こんな州レベルの金融取引税は全米のどこにも実質的に存在しない」。a16zの法務責任者、マイルズ・ジェニングス氏は、暗号資産だけが狙い撃ちされていると批判した。

米イリノイ州が、州民に関わる暗号資産取引に対して0.2%の「特権税」を課す方針を固めた。JB・プリツカー州知事が火曜日、559億ドル(約8兆9,400億円)規模の新たな州予算案に署名したことで、暗号資産業界の反発を押し切るかたちとなった。
問題となっているのは、登録済みプラットフォーム上で行われるすべてのデジタル資産取引に適用される取引税だ。対象は「デジタル資産事業活動」と広く定義されており、その射程はかなり広い。
暗号資産業界団体のクリプト・カウンシル・フォー・イノベーション(CCI)は火曜日、上院法案3019号の第3条について「項目別拒否権」を行使するようプリツカー知事に求めていた。
「これは、イリノイ州民がデジタル資産を使うというだけで不当に重い負担を課す、前例のない税制を生み出すものだ。州外へイノベーションと開発者を追い出すことになる」
同団体はそう警告した。
イリノイ州には、ゼロ・ハッシュ、ジャンプ・クリプト、ビットノミアル、エイペックス・クリプトなど、暗号資産業界で知られる企業が拠点を置いている。米税務会社BDO USAによれば、この広範なデジタル資産税は、州内に十分な顧客活動を持つ場合、州外企業にも影響を及ぼす可能性がある。
この措置は2027年1月1日に施行される予定だ。従来の税制とは異なり、所得や利益、キャピタルゲインの有無にかかわらず、デジタル資産の利用者に課税する州はイリノイが唯一となる見通しだ。州内で営業するデジタル資産ブローカーには、登録義務と新たな報告義務も課される。

「郵便ではなくメールだから課税するようなもの」
CCIは、この税制について、取引処理に使われる技術だけを理由にデジタル資産を狙い撃ちするものだと批判している。
同団体はこう訴えた。
「ブロックチェーン上で行われたという媒体だけを理由に取引へ課税するのは、手紙ではなく電子メールで送られたという理由で通信に課税するようなものだ」
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さらにCCIは、タイミングの悪さも指摘した。業界はすでに連邦レベルのデジタル資産・消費者保護法、いわゆるDACPAへの対応を迫られている。加えて、連邦議会では暗号資産に関する全国的な税制枠組みの検討も別途進んでいるからだ。
デジタル・チェンバーも6月3日、同様の書簡を送り、デジタル資産特権税法に反対した。
同書簡ではこう記されている。
「金融サービスがブロックチェーンへ移行しつつあるまさにその時に、この税はデジタル資産の利用を妨げる。イリノイ州民を進歩とイノベーションから締め出し、州内に存在するブロックチェーン企業や暗号資産企業を州外へ追いやることになる」
「暗号資産だけが狙い撃ちされている」
a16zクリプトの政策責任者兼法務責任者であるマイルズ・ジェニングス氏は水曜日、Xへの投稿で、この法律は米国でも最も反暗号資産的な法律の一つだと批判した。
「株式、債券、デリバティブに対して、これに相当する州レベルの金融取引税は、全米のどこにも実質的に存在しない」
ジェニングス氏はそう述べたうえで、こう続けた。
「つまり、暗号資産だけが狙い撃ちされているということだ。これは複数の連邦法に違反している」
さらに同氏は、イリノイ州の姿勢をこう非難した。
「ブロックチェーンがイリノイ州の普通の人々にもたらし得るイノベーションやコスト効率を受け入れるのではなく、州は暗号資産を使いたい起業家や市民を罰しようとしている」
今回の暗号資産税は、登録義務やコンプライアンス要件と一体化されたかたちで盛り込まれた。だが、それは単独の政策というより、財政赤字を埋めるための大型予算パッケージの一部でもある。
この法案により、プリツカー知事の2027会計年度向け559億ドル(約8兆9,400億円)予算を支えるため、新たに8億ドル(約1,280億円)超の税収が見込まれている。
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