
ビットコインに救世主はいない ストラテジーが349億円分売却で市場心理は“過去最悪”へ
ビットコイン強気派のマクロ経済学者リン・オールデン氏は、現在の市場心理について「私が見てきた中で最も弱い」と指摘した。マイケル・セイラー氏率いるストラテジーが3588BTC、約2億1600万ドル相当を売却したことも明らかになり、企業財務戦略に支えられてきた相場の危うさが改めて浮き彫りになっている。

ビットコインはいま、かつてないほど冷え込んだ市場心理にさらされている。
そう警鐘を鳴らしたのは、ビットコインに詳しいマクロ経済学者、リン・オールデン氏だ。今週、ストラテジーが2億1600万ドル、約349億円相当のビットコインを売却したことが明らかになるなか、オールデン氏は「ビットコインは自力で立たなければならない」と語った。
「ビットコインを救ってくれる何かが来るとは思っていません」
オールデン氏は火曜日、ジャーナリストでビットコイン教育者でもあるナタリー・ブルネル氏とのインタビューでそう述べた。ビットコインの長期的な成功は、外部からの起爆剤ではなく、ビットコインそのもののファンダメンタルズにかかっているという見立てだ。
「この資産は、自らの価値だけで生き残らなければならない」
オールデン氏はそう強調した。新たな需要の波に頼るのではなく、流動性があり、許可を必要とせず、価値を保存し送金できるというビットコイン本来の性質こそが問われている、というわけだ。
この発言が出た背景には、今回のビットコイン相場で機関投資家の採用や、企業による財務資産としてのビットコイン保有が大きなテーマになってきたことがある。月曜日に提出されたストラテジーの週次8-K報告書では、同社が3588BTCを売却したことが開示された。
ビットコイン市場心理、サイクル最低水準に
オールデン氏は、今回の下落局面は2022年の弱気相場とは違う感触があると語った。当時、ビットコインは一時1万6000ドル、約258万円まで下落したが、それでもビットコイン投資家の熱量は比較的強く残っていた。
だが今回は違う。
「私が個人的に見てきた中で、ビットコインに対する市場心理は最も低い水準です」
オールデン氏はそう述べた。背景にあるのは、相場を支えてきた物語の失速、企業主導色が強まった市場サイクル、そして投資家の失望だ。
同氏の基本シナリオでは、ビットコインが今年中に過去最高値を更新する可能性は高くない。ただし、ビットコイン特有のボラティリティを踏まえれば、急騰の余地がまったくないわけではないとも認めている。
オールデン氏が望む基本シナリオは、「新たな安値を掘らないこと」だという。テクニカル面では、「横ばいから下」ではなく、「横ばいから上」を示す形になってほしいとした。
STRCには需要あり ただしレバレッジの罠も
マイケル・セイラー氏率いるストラテジーは、世界最大のビットコイン保有企業として知られている。しかし相場が冷え込むなか、同社にはこれまで以上に厳しい視線が向けられている。投資家は、ビットコインを裏付けにした資本構造や、優先株商品のリスクを再評価し始めている。
オールデン氏は、ストラテジーの優先株STRCについて、ビットコインを直接保有せず、ビットコインの極端な値動きを丸ごと背負いたくない投資家にとっては一定の役割があると述べた。

Source: Matthew Sigel
一方で、STRCは市場最大級の優先証券になっているとしつつ、高利回りのビットコイン連動商品は、投資家に追加のレバレッジを取らせやすいとも警告した。
また、ストラテジーが最近、準備金カバレッジの再構築や追加的な安全策の導入に動いたことについては、市場ストレスへの合理的な対応だと評価した。ただし、商品の長期的な成否は、結局のところビットコイン価格の動向に左右されるとも付け加えた。
ビットコイン改変論にオールデン氏が異議
オールデン氏は、ビットコイン改善提案110、いわゆるBIP-110についても言及した。BIP-110は、画像保存などに使われるデータ量の大きい取引を制限し、ネットワーク上のスパムを減らすことを狙う提案だ。
しかしオールデン氏は、ビットコインのルールを急いで変えようとする動きには基本的に慎重だと述べた。一部の提案は、ネットワークをより複雑にしたり、既存の安全装置に影響を与えたりする可能性があるという。

同氏は、プロトコル変更をめぐる技術的な賛否については今後分析するとしながらも、一部の提案が一般向けに説明される際の語り口を批判した。
ビットコインのプロトコル変更を「存亡に関わる問題」と位置づけるのは、事態を大げさに見せすぎている――。
オールデン氏はそう指摘し、そのような見せ方を「誤ったマーケティング」だと切り捨てた。

