
トランプ氏「イランはうまくいく」──ビットコイン市場が今週知っておくべき5つのこと
停戦はいまだ見えず、イラン情勢への不安が暗号資産市場を覆う。ビットコインは7万2000ドル(約1152万円)割れへ向かうなか、ドナルド・トランプ米大統領は「ただ座ってリラックスしていればいい」と、強気の姿勢を崩さなかった。

ビットコイン(BTC)は6月に入り、米国とイランの戦争が暗号資産市場の神経を逆なでするなか、新たな直近安値をつけている。
イランとの停戦期待は、軍事攻撃の再開で宙に浮いたままだ。それでもドナルド・トランプ米大統領は、「最後にはすべてうまくいく」と自信を見せている。
ビットコイン価格は5月の月足確定後、すぐに弱含みに戻った。市場では7万2000ドル、日本円で約1152万円付近の流動性が意識されている。
一方で、米雇用統計はビットコイン価格に追い風をもたらす可能性も残す。
ただし、ビットコインの長期保有者の動きは、2月につけた6万ドル、約960万円の安値が信頼できる底値だったのか、疑問を投げかけている。
センチメント分析では、楽観に傾きすぎたトレーダーのポジションが、次に一掃される可能性が指摘されている。
トランプ氏、イラン情勢に「ただ座ってリラックスしていればいい」
今週の暗号資産市場にとって、中東情勢は引き続き波乱要因だ。イラン標的への攻撃が報じられ、紛争は市場の視界から消えていない。
交戦の応酬を受け、ビットコイン価格は月足確定後すぐに売り圧力を受け、7万3000ドル、約1168万円を割り込んだ。

BTC/USD one-day chart. Source: Cointelegraph/TradingView
最新の情勢は、少なくとも60日間続くとされていた停戦合意の可能性にも、改めて疑問符を付けた。
「イランは本当に合意を望んでいる。そしてそれは米国と、われわれと共にある国々にとって良い合意になる」
トランプ米大統領は月曜日、トゥルース・ソーシャルへの投稿でそう書いた。
トランプ氏は、進展を妨げている理由として、イランそのものとの具体的な問題ではなく、米国内の政治的反対を挙げた。
そして、こう締めくくった。
「ただ座ってリラックスしていればいい。最後にはすべてうまくいく。いつもそうなのだから」

Source: Truth Social
ビットコインが熱にさらされる一方で、米株は暗号資産との乖離を続ける構えを見せた。S&P500先物は週明けに約0.25%高で始まった。
株式市場の上昇を支えている要因について、トレーディング情報を発信するモザイク・アセット・カンパニーは、AIに焦点を当てた。
同社は定期分析「モザイク・チャート・アラーツ」の最新版で、こう記している。
「ここ数週間、株式市場を動かしている物語はほとんど変わっていない」
「米国とイランの和平合意への楽観論が主要株価指数の上昇を促している。見出しの裏には実質的な中身がほとんどないが、それでもAIインフラ構築に関連する銘柄の上昇は止まっていない」
ビットコイン価格、流動性とCMEギャップのはざまで揺れる
6月第1週のビットコインは、米国とイランの戦争緊張がすぐさま価格に波及し、波乱含みのスタートとなった。
トレーディングビューのデータによれば、週足と月足が確定してからわずか数時間後、ビットコインは7万3000ドル、約1168万円を下回った。

BTC/USD one-hour chart. Source: Cointelegraph/TradingView
トレーダーのダーン・クリプト・トレーズ氏は、Xでの最新分析でこうまとめた。
「現時点では、価格は先週からの小さなレンジ内に閉じ込められている」
「およそ7万4200ドル、約1187万円が上値抵抗として価格を跳ね返し、7万2700ドル、約1163万円がサポートとして維持されている。短期的にはこの水準を見るべきだ」

BTC/USDT perpetual contract one-hour chart. Source: Daan Crypto Trades/X
トレーダーのCW氏は、価格が取引所の板上にある高流動性ゾーンを狙っていると指摘した。とりわけ、7万2000ドル、約1152万円に近い水準が意識されている。
同氏はこう付け加えた。
「ビットコインのクジラの買い板は7万2000ドルにあり、売り板は8万ドル、約1280万円にある」

BTC order-book liquidation heatmap. Source: CW/X
一方、週足終値そのものには、強気派にとって一筋の光もあった。トレーダー兼アナリストのレクト・キャピタル氏によれば、7万3000ドルは重要な水準だった。
同氏は週末、Xのフォロワーにこう語った。
「ビットコインが週足で7万3000ドルを上回って引けることができれば、ダブルボトムのブレイクアウト確認に一歩近づき、上昇トレンド継続を試す位置につく」
上値方向では、トレーダーのクリプヌエボ氏が、CMEグループのビットコイン先物に残る7万5000ドル、約1200万円付近の単独ギャップを、短期的な価格目標として挙げた。

CME Bitcoin futures 15-minute chart. Source: CrypNuevo/X
コインテレグラフが報じたように、CMEギャップは先週、先物市場が24時間365日取引へ移行したことで過去のものとなった。
クリプヌエボ氏は、低い時間軸で「W字型」の反転パターンを探していると述べている。
PMIがビットコイン価格押し上げの材料になるか
今週は、インフレ指標から雇用関連指標へと市場の視線が移る。トレーダーにとっては、労働市場が最大の焦点となる。
月曜日には、米供給管理協会、ISMが発表する5月の製造業購買担当者景気指数、PMIが控える。今週発表される主要PMIの一つだ。
ISMは今年初めから新たな上昇トレンドに入っている。それ以前には3年間にわたる縮小局面が続いていたが、それを終えると、すぐにビットコイン価格の追い風となった。
起業家で投資家のマーク・チャドウィック氏は、暗号資産の強気派にとって好材料となる見方を示した。景気循環に基づけば、最近のPMIは新たな上昇局面の前触れになり得るという。
同氏は、匿名アナリストのテックデブ氏のデータを添えて、Xにこう投稿した。
「拡大局面は、過去のアルトシーズンと完全に一致している。そして、われわれはまさに拡大しようとしている。データもそれを裏付けている。ISM PMIは3カ月連続で50を上回っている。50超えは拡大を意味する」

BTC/USD versus employment cycle. Source: Mark Chadwick/X
今週はさらに、米非農業部門雇用者数も発表される。インフレ上昇を背景に、労働市場の現状を示す重要な手がかりとなる。
ただし、モザイク・アセット・カンパニーは慎重な見方も示した。同社は、前週に発表された高い個人消費支出、PCEインフレ指標を読者に思い起こさせた。
「エネルギー価格の急騰によるインフレ押し上げが一時的なものだと期待していた投資家にとって、この報告には悪い知らせが含まれていた」
同社はそう続けた。
「食品とエネルギーを除くコア財の数字は2.8%上昇した。パンデミック後を除けば、数十年で最大級の上昇の一つだ」

US PCE index % change (screenshot). Source: Bureau of Economic Analysis
ビットコイン長期保有者が、新たな弱気相場の安値を生む可能性
ビットコイン保有者の動向を見る限り、2026年の弱気相場におけるBTC価格の底は、まだ先にあるのかもしれない。
オンチェーン分析プラットフォーム、クリプトクアントの新たな分析は、6万ドル、約960万円付近の数年ぶり安値からのビットコイン反発に疑問を投げかけている。
同社の寄稿者アブストラクトリュウ氏は月曜日、クイックテイクのブログ投稿でこう書いた。
「下落トレンド中の反発を底値と読むのは難しい。なぜなら、その最中でさえ、LTH、つまり長期保有者のUTXO比率は低下するのではなく、上昇し続けているからだ」
この投稿では、6カ月以上動いていないコインと、6カ月未満のコインに関わる未使用トランザクション出力、UTXOを比較している。前者は長期保有者のコインに分類される。
投稿はこう説明する。
「実現時価総額におけるUTXO年齢帯の比率を見ると、LTH、つまり6カ月以上の比率が増える方法は二つしかない。既存の保有分が使われないまま時間を経て古くなるか、STH、つまり短期保有者のコインが6カ月を超えてLTHに再分類されるかだ」
「どちらも、新たな需要が回転を復活させていることを示すものではない。だからこそ、比率の上昇だけを強気材料と読むのは難しい」

Bitcoin UTXO age data (screenshot). Source: CryptoQuant
つまり、BTC/USDが直近安値から2万ドル、約320万円反発したとしても、市場が新たな大底をつけない保証にはならない。大底を確認するには、長期保有者の活動が何らかの「分配」局面を通じて活発化する必要がある。
アブストラクトリュウ氏は説明用チャートを添えて、こう結論づけた。
「現時点で、青い丸で示した反発局面を通じても、LTH帯の比率はまったく低下していない」
「分配は始まっておらず、先月の反発もまた、デッド・キャット・バウンスだった可能性が高い。底はまだ入っていない」
ビットコイン市場に漂う「ロング偏重」──一掃が必要か
ビットコインには、強気に傾きすぎた賭けを背景に、「ロングスクイーズ」への懸念がつきまとっている。
週末の分析で、クリプトクアントの寄稿者ニノ氏は、プラス圏の資金調達率を、現在の市場で「警戒すべき」継続的なシグナルとして挙げた。
コインテレグラフが報じたように、資金調達率はネットでプラスに転じている。これは、トレーダーの間に「ロング偏重」のバイアスがあることを示す。
現在、3日間のローリングベースで見ると、資金調達率は年初以来の最高水準に近づいている。にもかかわらず、価格そのものは横ばいで推移している。
ニノ氏はこうまとめた。
「最近の市場観測では、資金調達率の72期間移動平均クラスターがプラス方向のバイアスを示しており、2026年1月下旬につけたピークを思わせる水準に近づいている」
「現在の価格停滞と組み合わせると、この動きは、持続的な上昇モメンタムにはまだつながっていないロングポジションの蓄積を示唆している可能性がある」

Bitcoin funding rate data (screenshot). Source: CryptoQuant
その意味するところは明確だ。価格は、ロングとショートのバランスを取り戻すために、ロング勢を清算させる形で新たな直近安値へ下落する可能性がある。
ニノ氏はこう付け加えた。
「したがって、短期的な見通しはやや慎重だ。市場が過剰なレバレッジを一掃する必要に迫られ、近いうちに下方向の動きが出る可能性がある」
暗号資産センチメント分析プラットフォームのサンティメントも、独自分析で、市場全体のムードが2026年に入って最も「一方的にポジティブ」になっていると表現した。
同社はこう警告している。
「現在の陶酔感は、ETFフローの弱気な状況とは鋭く対照的であり、注意を要する」

