
ビットコイン大暴落は「もう後半戦」突入か 弱気相場の出口が見え始めた?専門家は2〜3年で4050万円を予想
最高値から半値まで沈んだビットコインだが、下落の勢いには異変が表れ始めている。リアル・ビジョンのジェイミー・カウツ氏は「弱気相場の大部分を通過した」と分析。一方、2030年の1億6200万円到達説には慎重な姿勢を示し、量子コンピューターという新たな脅威にも警鐘を鳴らした。

ビットコイン(BTC)の長い“冬”にも、ようやく終わりの気配が見えてきたのかもしれない。
リアル・ビジョンの暗号資産部門チーフアナリスト、ジェイミー・カウツ氏によると、ビットコインは弱気相場の後半戦に入りつつあり、これまで市場を容赦なく押し下げてきた下落圧力にも、徐々に衰えが見え始めているという。
「弱気相場で起きる値動きの大部分は、すでに通過しつつあると思います。もちろん、まだ終わったわけではありません。ただ、少なくとも後半には近づいているのではないでしょうか」
カウツ氏は、コインテレグラフの番組「トレード・シークレッツ」のインタビューで、そう語った。
最高値2040万円から半値に転落
カウツ氏は現在のビットコイン相場を、「ごく典型的で、ありふれた弱気相場」と表現している。
ビットコインは現在、6万3000ドル前後、約1020万円で取引されている。2025年10月につけた史上最高値12万6100ドル、約2043万円からは、およそ50%も値下がりした計算だ。
最高値で飛びついた投資家にとっては、資産がほぼ半分に溶けたことになる。目も当てられない惨状だが、カウツ氏は、今回の下落が過去の暗号資産バブル崩壊ほど悲惨なものにはならない可能性も指摘している。
ビットコインの価格変動率、いわゆるボラティリティーは、前回の市場サイクルと比べて約50%低下しているからだ。値下がりはしているものの、過去の弱気相場ほど荒々しく崩れているわけではない。
なお、ビットコインは過去30日間では4.45%上昇している。

Bitcoin is up 4.45% over the past 30 days. (CoinMarketCap)
「過去と同じ」は通用しない
もっとも、「過去のサイクルと同じなら、そろそろ底だ」と安易に考えるのは危険だ。
カウツ氏は、市場が歴史上のパターン通りに、行儀よく動くことはほとんどないと警告する。
「市場は結局、勝手に動くものです。そして現時点では、すべてのトレンド指標が明らかに弱気を示しています」
つまり、下落相場の終盤に近づいている可能性はあっても、チャート上では依然として“買えば勝てる相場”には戻っていないということだ。
ただし、暗闇の中にも、かすかな光は見え始めている。
カウツ氏によれば、長期の時間軸で見ると、価格の下落と勢いを示す指標との間に「強気のダイバージェンス」が表れ始めている。
「モメンタムの長期的な時間軸で、強気のダイバージェンスが出始めています。これは、下落の加速、正確に言えばマイナス方向の勢いが弱まっていることを示しています。ただし、テクニカル分析の観点から弱気相場を脱したという意味ではまったくありません」
要するに、ビットコインはまだ坂道を転げ落ちている。しかし、そのスピードは少しずつ落ちている――という状態だ。
下落の原因は「世界的なカネ不足」だけではない
ビットコインが2025年第4四半期に下落した原因について、市場参加者の多くは、世界的な流動性の縮小を挙げてきた。
各国で金融環境が引き締まり、市場に流れ込むカネが減ったため、リスク資産であるビットコインも売られた、という説明だ。
しかしカウツ氏は、それだけではないとみている。ブロックチェーン上の取引や利用状況を示す、オンチェーンの基礎的条件も悪化していたという。
「オンチェーン需要は、間違いなく価格を動かす要因です。世界的な流動性や景気循環とも、ある程度相関しています。そのオンチェーン需要も悪化し始めていました」
外から流れ込む投資資金が減っただけでなく、ビットコインのネットワーク内部でも需要が弱っていた。いわば、外患と内憂が同時に襲っていたわけだ。
2030年「1億6200万円説」には冷ややか
強気派の間では、ビットコインが2030年までに100万ドル、約1億6200万円へ到達するという景気のいい予測が飛び交っている。
代表的なのが、コインベースのブライアン・アームストロング最高経営責任者(CEO)や、アーク・インベストのキャシー・ウッドCEOだ。
だがカウツ氏は、この「1億円突破説」には慎重だ。
「私が取り組んでいたモデルでも、2032年から2033年ごろに100万ドルへ到達するという結果は出ていました。ただ、それは今後どれほどの通貨増発が必要になるかによって決まります」
つまり、ビットコインが100万ドルになるかどうかは、ビットコインだけの実力で決まるわけではない。各国政府や中央銀行がどれだけ通貨を発行し、その結果として法定通貨の価値が薄まるかにも左右されるということだ。
カウツ氏がより現実的だと考えているのは、今後2〜3年間の予測だ。
「今後2〜3年で、ビットコインが20万〜25万ドル程度に到達するという予測のほうが、私としては自信を持てます」
日本円にすれば、約3240万〜4050万円となる。それでも現在の約1020万円からは、3〜4倍近い上昇だ。
一方、それより先の価格については「非常に予測が難しい」とした。
AIはビットコインを買うのか
今後のビットコイン価格を左右する未知の存在として、カウツ氏が注目しているのが人工知能(AI)だ。
AIエージェントが人間に代わって経済活動を行うようになれば、それぞれのAIに対応する暗号資産ウォレットが大量に作られる可能性がある。
「AIがこの方程式に何をもたらすのかは興味深いと思います。AIエージェント向けのウォレットが増えていくなかで、彼らは何に価値を保存するのでしょうか。人間と同じ判断をするのでしょうか」
AIが報酬を受け取り、資産を保有し、サービスの代金を自動的に支払う時代が到来した場合、その“貯金先”としてビットコインが選ばれるのか。
もしAIによるビットコイン需要が本格化すれば、これまで人間だけを前提に作られてきた需給モデルそのものが、根底から変わる可能性がある。
量子コンピューターという「時限爆弾」
ただし、ビットコインの長期的な未来には、価格下落とは別の重大なリスクが潜んでいる。
量子コンピューターだ。
量子コンピューターの性能が飛躍的に向上すれば、現在ビットコインで使われている暗号技術が破られる可能性がある。カウツ氏は、この問題について、遅くとも2027年までにビットコインのコミュニティーが、より断固とした対応を取る必要があると訴えている。
「この問題に対して明確な動きがなければ、ネットワークをめぐって、ますます盛んに議論される問題になります。量子コンピューターによって、あらゆるものが危険にさらされる可能性がありますが、ビットコインは分散型ネットワークです。大規模なプロトコル更新を実施するだけでも、実際には5年かかるでしょう」
ビットコインには、命令一つでシステム全体を変更できる社長も中央管理者もいない。利用者、マイナー、開発者らの合意を形成しながら更新する必要があるため、脅威が現実になってから動き出したのでは遅いというわけだ。
カウツ氏は、量子コンピューターがビットコインに及ぼす危険性を軽視する開発者について、「この問題に関しては間違った側にいる」と厳しく批判した。
ビットコインの弱気相場には、ようやく出口が見え始めたのかもしれない。
しかしその先には、AIという巨大な追い風と、量子コンピューターという時限爆弾が待ち構えている。価格が底を打つかどうかだけを見ていればいい時代は、すでに終わりつつある。

