AIバブルの熱狂が、いよいよ暗号資産市場にも火をつけるのか――。
ビットメックス共同創業者として知られるアーサー・ヘイズ氏の投資会社、メイルストロームは、ワールドコインのトークン「WLD」が今後数カ月で最大800%上昇する可能性があるとの見方を示した。WLDは、AIブームに乗るための“暗号資産版プロキシ銘柄”だというのだ。
メイルストロームのリサーチャー、ルーカス・ルパート氏は水曜日、こう指摘した。
「AIメガIPOがやってくる。そして市場は、最もわかりやすい代替投資先の一つを見落としているように見える」
米国ではAIブームがいよいよ本番を迎えている。オープンAIは5月22日、米証券取引委員会(SEC)にIPO目論見書を非公開で提出。2026年9月の上場を目指し、600億ドル(約9兆6000億円)の調達、最大1兆ドル(約160兆円)の評価額を狙っている。
一方、ライバルのアンソロピックも月曜日、上場申請書のドラフトを非公開で提出した。同社は5月28日、新たに650億ドル(約10兆4000億円)を調達し、評価額が9650億ドル(約154兆4000億円)に達したと発表していた。
米株式市場では今週、S&P500種株価指数が史上最高値を更新した。相場を押し上げたのは、サンディスク、マイクロン、シーゲイト、ウエスタンデジタルといったAI関連・メモリー関連銘柄の急騰である。
だが、ルパート氏は、この熱狂がWLDの価格にはまだ十分に織り込まれていないと見る。企業による買い増しと、トークンのロック解除スケジュール変更が、反転上昇の引き金になり得るという。
WLDは、ワールドコインを支えるネイティブトークンだ。ワールドコインは、オープンAIのサム・アルトマンCEOが共同創業した暗号資産プロジェクトで、AIボットと実在する人間を区別するためのグローバルなデジタルID・金融ネットワークの構築を目指している。
WLD急騰を呼ぶ「二つの火種」
WLDの価格は2月以降、下落基調が続いてきた。3月にはトークンの私募売却を受け、下げ足がさらに速まった。
ワールドコインは3月、取引所を介さない相対取引でWLDを民間投資家に直接売却し、6500万ドル(約104億円)を調達した。このうち2500万ドル(約40億円)分は6カ月間ロックされている。
ところが、買い手たちはトークンのロック解除前にWLD価格が下落するリスクに備え、無期限先物市場でWLDをショートしてヘッジした。ルパート氏はこれを「教科書通りのショートの重し」と表現している。
ただし、この機械的かつ一時的な売り圧力をひっくり返す材料が二つあるという。
一つ目は、エイトコ(ORBS)の存在だ。同社は小型の上場企業ながら、すでに2億8300万WLDを保有している。さらに貸借対照表上には約1億4400万ドル(約230億円)の現金がある。もしこの資金を使い、ショートが積み上がったWLDを追加購入すれば、価格上昇がさらなる買いを呼ぶ「反射的なループ」が起きる可能性がある、とルパート氏は見る。
二つ目は、ワールドコインのロック解除スケジュールだ。現在は毎日トークンが市場に放出されているが、7月24日にはこの放出量が43%減少する予定だ。これにより、主要な売り圧力の一つが大きく和らぐ可能性がある。
「AI相場」の蚊帳の外に置かれたWLD
ルパート氏はこう述べている。
「資本はアンソロピックやオープンAIへのエクスポージャーを猛烈に追い求めている」
AI企業の評価額は数千億ドル、あるいは1兆ドル規模に達している。一方で、WLDのロック解除済み時価総額は20億ドル(約3200億円)にとどまる。AI関連の評価額という物差しで見れば、これは「小型株」にすぎない。ルパート氏は、そこに「非対称な上昇余地」があるとみる。
「WLDは頻繁に動く銘柄ではない。だが、動く時は激しく動く」
メイルストロームは、WLDが8月までに5ドル(約800円)へ到達すると予測している。現在水準から見れば、約800%の上昇にあたる。
この分析ノートが出たタイミングで、WLDは時価総額上位100銘柄の中で最も好調な暗号資産となっている。過去1週間で約60%上昇し、木曜日早朝の取引では24時間で約30%急騰。価格は0.55ドル(約88円)を上回った。Cointelegraphも、WLDが過去1週間で急伸したと報じている。

WLD has surged over the past week. Source: TradingView

