
ビットコインETFから1日で約690億円流出「機関投資家が戻ってきた」は大ウソだった?
米国の現物ビットコインETFから約4億2466万ドル(約689億円)が一日で流出した。前週には8週間ぶりの資金流入で「底打ち期待」が高まっていたが、わずか数日で逆戻り。今年の流出額は約9410億円に膨らみ、ビットコイン市場では再び警戒感が広がっている。

米国で上場する現物ビットコイン上場投資信託(ETF)に、またも冷たい風が吹き始めた。
前週には久しぶりに投資マネーが戻り、「機関投資家がいよいよ買い始めたのではないか」との期待も広がっていた。ところが、その淡い期待は、わずか一週間で吹き飛んだ。
ソーソーバリューのデータによると、米国の現物ビットコインETFは月曜日、4億2466万ドル(約689億円)の純流出を記録した。7月に入ってからでは、最大の一日当たり流出額となった。
前週には、1億9740万ドル(約320億円)の純流入を記録していた。これは8週連続で続いていた週間ベースの資金流出をようやく止める動きであり、市場では「機関投資家の需要が回復し始めた」との観測が浮上していた。
だが、今回の大量流出によって、その回復が長続きしなかったことが浮き彫りとなった。
6月には過去最大の月間流出を記録したばかりだ。オンチェーンデータ上では、大口のビットコイン保有者による買い集めも確認されているが、ETFを通じた投資需要は依然として不安定なままだ。
今年だけで約9410億円が流出
米国の現物ビットコインETFからは、2026年に入ってからこれまでに、およそ58億ドル(約9410億円)が純流出している。
なかでも6月は悲惨だった。
投資家がETFから引き揚げた資金は、月間で45億1000万ドル(約7315億円)。現物ビットコインETFが始まって以来、過去最大の月間純流出となった。

Daily flows in US-listed spot Bitcoin ETFs since July 1. Source: SoSoValue
もっとも、資金流出が続いているからといって、ETFそのものが空っぽになったわけではない。
月曜日時点で、米国の現物ビットコインETFが抱える純資産総額は747億9000万ドル(約12兆1309億円)。運用開始以来の累計純流入額も508億5000万ドル(約8兆2479億円)に達している。
累計流入額が初めて500億ドルを超えたのは2025年7月だった。2024年1月の取引開始から、およそ1年半で到達したことになる。
それだけ巨額の資金が流れ込んできた一方、足元では投資家による利益確定やリスク回避の売りが優勢になっている。
「底打ち」はまだ確認できない
前週の資金流入を継続できなかったことで、ビットコイン相場が本当に底を打ったのかを巡る不透明感は、さらに強まっている。
市場関係者の間でも、「下落局面は終盤に近づいている」との見方がある一方、「さらに大きく下げる可能性がある」と警戒する声は根強い。
クリプトクアントのアナリスト、サニー・モム氏は、市場では相反するシグナルが出ていると指摘した。
2025年10月11日以降、米国の現物ビットコインETFから流出した資金は約100億ドル(約1兆6220億円)に迫っている。これは機関投資家の需要が弱いことを示唆する。

Source: Kyledoops
一方で、新たにビットコインを大量保有する「クジラ」の数は増え続けている。
モム氏は木曜日に公開した分析で、「市場全体にわたる明確な底打ちは、まだ確認されていない」と説明した。
クジラによる買い集めは、ビットコイン価格のさらなる下落を抑える可能性がある。しかし、それだけで持続的な相場回復が始まったと判断するのは早いというわけだ。

Crypto Fear & Greed Index. Source: Alternative.me
ビットコイン価格は年初から約30%安
記事公開時点のビットコイン価格は、1BTC当たり6万2589ドル(約1015万円)だった。
コインゲッコーのデータによると、これは年初の価格をおよそ30%下回る水準だ。
市場ではこれまで、現物ビットコインETFへの資金流入が、価格上昇を支える最大の材料の一つと考えられてきた。
しかし、ETFから数百億円単位の資金が一日で逃げ出す状況が続けば、相場の本格回復は遠のきかねない。
クジラは水面下でビットコインを買い集めている。だが、機関投資家のマネーは逃げ続けている。
果たして今の価格は「歴史的な買い場」なのか。それとも、まだ下落途中にすぎないのか。市場はいま、極めて危うい分岐点に立たされている。

