ビットコイン、イーサリアム、そして暗号資産市場全体が、8日午前にかけて反発した。過去1週間にわたって続いた下落相場の末、ようやく買い戻しの動きが入った格好だ。
8日午前11時25分までの24時間で、ビットコインは3%上昇し、6万3168ドル、約1013万円をつけた。イーサリアムは6.5%高の1687ドル、約27万円。ソラナも4.7%上昇し、66.3ドル、約1万600円となった。
市場関係者は、今回のビットコインの反発について「典型的な売られすぎ後の自律反発」とみている。
プレスト・リサーチのアソシエイトリサーチャー、ミン・ジョン氏はこう語る。
「今朝のビットコインの約5%反発は、先週の急落を受けて市場が売られすぎの状態に入っていたことが一因とみられる」
ただし、反発したとはいえ、ビットコインは過去1週間でなお約15%下落している。他のリスク資産と比べても出遅れが目立つ。ジョン氏は、週末のうちに相当量の悪材料がすでに価格に織り込まれていた可能性があると指摘する。
この1週間、ビットコインは2カ月超ぶりの安値まで沈んだ。暗号資産現物ETFからの大規模な資金流出、「決して売らない」との物語を掲げてきたストラテジーによるビットコイン売却、そして米国とイランをめぐる緊張の継続。複数の悪材料が重なったためだ。
ビットコインが部分的に値を戻すなか、ストラテジー会長のマイケル・セイラー氏は日曜、同社のビットコイン取得履歴を示すチャートを投稿した。添えられた言葉は「さらに点を加えるには良いタイミングだ」。市場では、同社が翌週にも新たなビットコイン購入を開示する可能性を示す合図として受け止められている。
韓国株、急落
一方、ビットコインの反発と時を同じくして、韓国株式市場では大きな下落が起きた。韓国市場はここ数週間、テクノロジー株主導の大相場に沸いていた。
8日朝、韓国の代表的な株価指数であるKOSPIは取引開始後に8%超下落。市場の売買を一時停止するサーキットブレーカーが発動した。
下落を主導したのは半導体関連株だ。サムスン電子は7.3%安、SKハイニックスは4%安となった。
BTSEの最高執行責任者(COO)、ジェフ・メイ氏はこう分析する。
「米国とイランの紛争が長期化するリスク、高い原油価格、利上げ懸念が市場の重荷となり続けるなか、トレーダーはテクノロジー株へのエクスポージャーを減らしている可能性がある」
韓国では、個人投資家の株式市場と暗号資産市場の参加層が重なっている。そのため、国内株からデジタル資産へ大規模な資金移動が起きたのではないかとの見方も出た。だが、アナリストらはその可能性は高くないとみている。
ゼウス・リサーチのアナリスト、ドミニク・ジョン氏はこう述べる。
「KOSPIの急落がビットコインの反発を引き起こしたわけではない。ただ、リスク市場を動かしている同じマクロ要因を浮き彫りにしている。株式市場は恐怖を織り込み、ビットコインは深い売られすぎ、ショートカバー、そして機関投資家の楽観の再燃から恩恵を受けた」
プレストのジョン氏も、KOSPIの急落がビットコインの反発に一定の影響を与えた可能性はあるとしつつ、その影響は限定的だったとみる。
「KOSPIの下落は、全体的なリスク心理にある程度影響した可能性がある。ただ、その弱さの多くは、週末の暗号資産価格にすでに反映されていたと考えられる」
8日朝のアジア株式市場では、ほかの主要市場も軟調だった。日経平均株価は4%下落、台湾のTAIEXは4.25%安、上海総合指数は1%安となった。
アナリストによれば、デジタル資産も伝統的な株式市場と同じマクロ経済の逆風にさらされている。米国の4月求人件数が約2年ぶりの高水準となったことを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ観測が強まっているためだ。
地政学リスクもくすぶり続けている。週末にはイランがイスラエルに向けて弾道ミサイルを発射し、イスラエルが報復空爆に踏み切った。米国の外交努力も足踏みを余儀なくされている。
ジョン氏は、ビットコインの今後についてこう語る。
「ビットコインが重要な6万ドル、約960万円のサポートゾーンを上回っている限り、強気の構造は維持されている。広い上昇トレンドはまだ生きており、勢いが続けばさらなる上値余地もある」
ただし、最大のリスクは市場の外側にある。
「地政学的緊張の高まりやマクロ環境の悪化が進めば、確立されたサポート水準であっても簡単に圧力を受ける。市場心理は急速に変わり得る」
