
FRBが動けばビットコインも動く! 利上げ観測で大荒れ必至の“運命の一週間”
7月末、ビットコイン(BTC)は数々の“爆弾”を抱えたまま最終週へ突入する。米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げに踏み切るのか。インフレ指標「PCE」はどう出るのか。株との連動、そして“クジラ”の異変――。相場を根底から揺るがしかねない5つの要点を、これでもかとわかりやすく解説する。

ビットコイン(BTC)は7月末を目前に、いくつものボラティリティ(価格変動)要因を一手に抱え込んでいる。米連邦準備制度理事会(FRB)が国内のインフレにどう反応するのか――その一挙手一投足を、世界中のトレーダーが固唾をのんで見守っているのだ。
【今週の要点】
- FRBが最新の金利判断を下す。米国債利回りが急騰するなか、市場は9月の利上げを“本命視”している。
- 6月のPCEインフレ率は木曜に発表。前月は3年ぶりの高水準となる4.1%を記録した。
- 株式の上昇トレンドに“異変”の兆し――ビットコインとマクロ相場の連動が焦点に。
- クジラ(大口)の取引所への流入は6月から44%も冷え込んだ。
- 金利の行方をめぐり、市場の見方は真っ二つに割れている。
金利の行方、市場は「真っ二つ」
今週、市場の視線は再び米FRBに注がれる。ケビン・ウォルシュ議長が率いる連邦公開市場委員会(FOMC)が、7月29日(水)に最新の金利判断を発表するからだ。
地政学リスクの高まりと、しつこく居座るインフレ圧力――。この“合わせ技”がFRB政策の見通しを塗り替え、いったんは消えたはずの追加利上げの可能性が再びテーブルに戻ってきた。先週、米2年債利回りは4.3%まで上昇している。CMEグループの「フェドウォッチ・ツール」の最新データによれば、今週の利上げ確率は31%。そして9月会合での利上げ確率は、なんと50%にまで跳ね上がっているのだ。

Fed target rate probabilities (screenshot). Source: CME Group
もっとも、こうした利上げ観測は月曜未明にやや後退した。米国とイランが攻撃の応酬を一時停止したことで、原油価格が8%も下落したためである。利上げ確率はこれを受けて37.4%から33.7%へと低下した。今月上旬に発表されたPPI(生産者物価指数)が予想を下回ったとはいえ、中東情勢のなりゆきは、依然としてマクロ経済の見通しに“波乱の火種”を投げ込み続けている。

Fed target rate probability comparison for July FOMC meeting (screenshot). Source: CME Group
トレーディング専門のモザイク・アセット・カンパニーは、30年物米国債にも上放れ(上方へのブレイクアウト)の兆しがあると指摘する。長期債はいまや米政府の資金調達において以前ほど大きな役割を果たしていないとはいえ、これはFOMC後の記者会見でウォルシュ議長が言葉を選ぶ際、理屈のうえで“プレッシャー”を一段と強める材料になりかねない。
同社は定期ニュースレター「ザ・マーケット・モザイク」の最新号でこうまとめている。
「30年物米国債利回りもまた、重要なブレイクアウト水準を再び試している。5月には、2023年終盤以降レジスタンス(抵抗線)として機能してきた5%の水準をいったん上抜けたが、それは“ダマシ”に終わった」

US 30-year bond-yield data. Source: Mosaic Asset Company
そもそも、この最新の混乱が起きる以前から、新議長のウォルシュ氏は景気に対してハト派的な言葉を慎重に避け、FOMC後の声明も記者会見も、驚くほど短く切り上げてきた。当時、氏はこう述べている。
「インフレ率は、委員会が目標とする2%と比べて依然として高い水準にある。これは一部、エネルギーを含む特定の分野で価格上昇を招いた供給ショックを反映したものだ」
PCEインフレ率、「3年ぶり高水準」から低下か
FOMCとは別に、市場が木曜に注視するのが個人消費支出(PCE)指数だ。米イラン戦争がインフレ動向に与えた影響を占う、新たな手がかりとなる。6月分のこの指数は、現在3年ぶりの高水準に張り付いている。
PCEはトレーダーがFRBの反応を織り込み直すきっかけとなるため、リスク資産のパフォーマンスに“瞬間的な衝撃”を与えかねない。実際、6月の発表時には、ビットコインがマクロ的な安値である5万8000ドル(約950万円)近辺まで沈んだ経緯がある。
分析に先立ち、国際通貨経済ネットワーク(IMEN)は、PCEが5月の前年同月比4.1%と比べて緩やかに低下すると予想した。同ネットワークはX(旧ツイッター)にこう投稿している。
「米インフレ:我々は現時点で、6月のPCEインフレ率が前年同月比3.7%になると予想している」

US PCE inflation data (screenshot). Source: Bureau of Economic Analysis
ビットコインと株、「連動」はいまだ姿を消したまま
長めの時間軸で見ると、ビットコインと主要株価指数との相関は、ほとんど消え失せている。トレーディングビューのデータによれば、20週の遡及期間で見たBTC/米ドルとS&P500の日次相関は、3月以来の低水準――事実上“ゼロ”に近い。一方、ハイテク株の多いナスダック総合指数に対する相関係数は現在0.11で、これは2月中旬以来の水準だ。週足の相関はゆっくりとしか動かないものの、地政学やマクロの弱気材料が飛び出せば、両資産クラスが再び“歩調をそろえて”動き出す可能性は残っている。

BTC/USD one-week chart with rolling 20-week stocks correlation. Source: Cointelegraph/TradingView
いまのところ、米国の企業決算は予想を上回り続けている。とはいえ、歴史的に見て割高な水準にあることを踏まえれば、これが相場を潜在的な調整から守ってくれる保証はない。先週は複数の米ハイテク大手が大きく値を崩した。“マグニフィセント・セブン”は、週内にすでにアルファベット(GOOGL)とテスラ(TSLA)が売られていたこともあり、金曜までに合計5.3%下落している。
それでもコベイシ・レターは週末、この件についてこうコメントした。
「アルファベット(GOOGL)は、決算予想を大幅に上回り、利益率への“最大の貢献企業”となった。一方、これまでに決算を発表したS&P500構成企業の86%がEPS(1株利益)予想を上回り、80%が売上高予想を超えた。AIが歴史的な増益をけん引しているのだ」

S&P 500 net profit-margin data. Source: The Kobeissi Letter on X.com
モザイク・アセット・カンパニーは、金利環境が米国株に及ぼしかねないリスクを強調する。
「利回り曲線全体での金利上昇は、株価に圧力をかけ続ける恐れがある。S&P500やナスダックといった指数は6月初旬に天井を打ち、いまや重要なサポート(下値支持線)を次々と割り込んでいる。同時に、市場の値幅(マーケット・ブレス)は悪化しつつあり、季節性の地合いも強気の追い風から弱気の逆風へと変わりつつある。中間選挙の年の季節性は、平均リターンが低く、下落幅も大きくなる傾向があるのだ」
こうした新たなハードルが立ちはだかるなか、S&P500は強気の形状そのものを失いかねない、とモザイクは警告する。
「S&Pはすでに、50日移動平均線(黒線)という重要なサポートを一つ失った。もし三角保ち合いのトレンドライン・サポートが崩れれば、現在7000近辺にある200日移動平均線(緑線)を試す展開になりかねない。これは現在の水準から約5%の下落に当たる」

S&P 500 data. Source: Mosaic Asset Company
短い時間軸では、状況はなお流動的だ。米国とイランの敵対行為の“一時休止”が、リスク資産全般に強気の追い風を吹かせている。米WTI原油は週初に一時1バレル=83ドル(約1万3600円)まで下落した。かつては95ドル(約1万5600円)をうかがっていたにもかかわらず、である。
コベイシはこう応じた。
「市場は再び、和平合意を織り込み始めている」

CFDs on US WTI crude oil one-hour chart. Source: Cointelegraph/TradingView
“退屈な”BTC価格レンジ、「50カ月トレンドライン」を試す
日曜の週足終値を経て、ビットコインは新たな局所的高値を刻み、ビットスタンプで6万5680ドル(約1075万円)に到達した。とはいえ、依然として見慣れたレンジ内であり、BTC/米ドルは50カ月指数平滑移動平均(EMA)のトレンドラインと格闘している。かつて2022年の弱気相場を“なぞる”かのように、この線をレジスタンスへと反転させた経緯がある。

BTC/USD one-day chart with 50-month EMA. Source: Cointelegraph/TradingView
現在の相場について、トレーダー兼アナリストのレクト・キャピタルは、売り圧力の“ぶり返し”に注意を促す。
「ビットコインがレジスタンスにある間、出来高で売り手の優勢が強まるほど、ここから跳ね返される(反落する)可能性は高まる」
日曜、氏はXのフォロワーにこう警告した。さらに200週単純移動平均(SMA)を持ち出し、価格がこれと50カ月EMAとの“板挟み”になっていると表現する。
「ここでの値幅の圧縮が続くのは持続不可能であり、いずれ大きなボラティリティを強制的に引き起こすことになる。そしてもし売り手の出来高がこのペースで入り続ければ、この局所的なレジスタンス圏からの反落に先立って、売り手の出来高による(下方への)ブレイクアウトが起きる公算が大きい」

BTC/USD one-week chart. Source: Rekt Capital on X.com
バイナンスへの“クジラ流入”、6月中旬からほぼ半減
FOMC会合と暗号資産市場への影響について、オンチェーン分析プラットフォームのクリプトクアントは、主要取引所での売り圧力に“連鎖反応”が及ぶ可能性を見ている。
同社のデータによれば、クジラ(大口)からバイナンスへのBTC流入は6月12日以降で最大44%も減少した。一方、リテール(個人)の流入は22%の減少にとどまっている。
寄稿者のアムル・タハ氏は月曜のブログでこう記した。
「これにより、リテールの流入はクジラの流入のおよそ2倍の水準となり、その差は39億ドル(約6384億円)に達している。この乖離は、バイナンスへ送られるBTCの“顔ぶれ”が変わったことを示唆している。いまや個人投資家が、クジラよりも著しく活発に取引所へBTCを送っているのだ」

Bitcoin whale inflows to Binance (screenshot). Source: CryptoQuant
タハ氏は今回のFOMC会合を、あらゆる投資家層の市場へのスタンスを塗り替えかねない「重大なマクロの触媒」と位置づける。
「リテールの流入がクジラの2倍で推移するいま、水曜のFRBの判断は、この2つのBTC投資家層の乖離が続くのか、それとも収束に向かうのかを占う重要な“試金石”となり得る」

