
ビットコイン急落は終わりの始まりか パワーロー分析が示す底値圏と先物市場の警告
ビットコインは5万8000ドル(約939万円)まで沈み、パワーローモデルが示す「過去の底値圏」に差しかかった。だが、先物市場の数字は、BTCにもう一段安の影を落としている。

ビットコイン(BTC)が5万8000ドル、日本円で約938万6000円まで下落したことで、相場は長期のパワーローモデルが過去に「サイクルの底」と見なしてきたゾーンに入った。
もちろん、このデータだけで「底打ち」と断言できるわけではない。だが、2014年以降、ビットコインが大きな安値をつけてきた価格帯に、現在のBTCが再び差しかかっていることは確かだ。
デリバティブ市場のデータや清算水準を見ると、次の重要な下値支持線は5万5000ドル、約890万円。一方、上方向では6万5000〜6万8000ドル、約1051万8000〜1100万4000円のレンジが、次の大きな注目ポイントになっている。
パワーロー分析では、5万8000ドルは「歴史的レンジ内」
アナリストのジョバンニ氏によるビットコインのパワーローモデルでは、ネットワークの長期的なトレンド価格は13万5000ドル、約2184万6000円付近に置かれている。
つまり、今回の5万8000ドルへの下落は、史上最高値からおよそ54%下、さらに長期トレンドから1.22標準偏差ほど下に位置することになる。
同氏の見立ては実にシンプルだ。2012年、2015年、2019年、2020年、2022年の過去のサイクル安値はいずれも、似たような統計的レンジの中でつけられてきた。そう考えれば、今回の下落も、ビットコインの長期成長シナリオが崩れたというより、過去の弱気相場の深い底値圏に近づいた動きと見ることができる。

Bitcoin price deviation based on the power-law trend. Source: X
同モデルでは、よく参照される「マイナス1シグマ」の支持線は6万8000ドル、約1100万4000円付近にある。一方、より強固な歴史的フロアは5万5000ドル、約890万円付近だ。
ジョバンニ氏はさらに、ビットコインが1万7000ドル、約275万1000円を下回る水準で1年以上推移しない限り、このパワーローモデルそのものが無効になったとは言えないとも指摘している。
もう一つの指標も、同じ方向を示している。ビットコインのパワーロー分位点は6.2%まで低下した。これは、パワーローモデルに照らした場合、現在のBTCが過去の観測値の約94%よりも割安な水準にあることを意味する。
チャート上では、2015年、2020年、2023年のサイクル安値でも似たような数値が確認されている。つまり、現在の市場は、過去にもめったに現れなかった「割安ゾーン」を再訪しているというわけだ。

Bitcoin power-law quantile regression chart. Source: Checkonchain
注目すべきBTC価格ライン
ビットコインは、バイナンスでの激しい売りに押され、年初来安値となる5万8000ドル、約938万6000円まで下落した。
時間足ベースのテイカー売り出来高は21億ドル、約3398億2000万円に達し、ニューヨーク市場の寄り付き後の次の1時間でもさらに19億ドル、約3074億6000万円の売りが出た。これは、5月4日以来、同取引所で最大規模の時間足ベースの売り圧力となった。

Bitcoin taker sell volume on Binance. Source: CryptoQuant
この急落により、BTCのロングポジションは3億ドル超、約485億5000万円分が清算された。その後、価格は6万ドル、約970万9000円付近まで反発している。
この6万ドル水準は、いまや重要な意味を持つ。日足終値で6万ドルを回復できれば、1時間足、4時間足、日足で形成されつつあるRSIの強気ダイバージェンスが維持されるからだ。価格が安値を切り下げる一方で、売りの勢いが弱まっていることを示すシグナルである。

BTC/USDT, one-day chart. Source: Cointelegraph/TradingView
先物トレーダーのバイザンティン・ジェネラル氏も、これに近い見方を示している。同氏によれば、5万8000ドルへの下落によってレバレッジをかけたロング勢は一掃され、その一方で新たなショート勢が呼び込まれた。
同氏は、日足終値で6万ドルを上回れば、ビットコインがひとまず局所的な底を打ったとの見方が強まると述べている。
そうなれば、市場の視線は上方向にたまった巨大な流動性へと向かう。6万5000ドル、約1051万8000円付近には、40億ドル超、約6472億8000万円相当のショート清算が集中している。一方、5万5000ドルを下回る水準にある清算額は約10億ドル、約1618億2000万円にとどまる。
つまり、上方向と下方向の清算額には、およそ4対1の偏りがある。もし自律反発が起きれば、次のターゲットは6万8000ドル、約1100万4000円付近の内部流動性となり得る。この水準には、日足のフェアバリューギャップも重なっており、トレーダーにとってもう一つの注目ゾーンとなっている。

BTC liquidation map. Source: CoinGlass
一方で、日足終値が6万ドルを下回るようなら、短期・長期の双方のチャートで弱気バイアスが強まる。その場合、次の焦点は5万5000ドル、約890万円になる。
この水準は、ビットコインが2024年9月につけた週足レンジ安値と、実現価格である5万4000ドル、約873万8000円付近が重なる場所でもある。
実現価格とは、オンチェーン上の全コインの平均取得価格を追跡する指標だ。2014年以降、主要なビットコイン弱気相場の底では、この実現価格が支持線として機能してきた。
そのため、売り圧力が続く場合、5万4000〜5万5000ドル、約873万8000〜890万円の領域は、トレーダーが最も警戒すべき価格帯となる。

Bitcoin’s realized price. Source: X

