
ビットコインはなぜ上がった?米CPI悪化でもBTC反発、次は927万円か1091万円か
BTCの反発は、複数のテクニカル上のレジスタンスに阻まれ、勢いを失いつつある。これにより、6月中に6万ドル、日本円で約963万円を割り込む可能性が高まっている。

ビットコイン(BTC)は、米インフレ統計の発表直後に日中の下げを消し、約2.5%上昇して6万2410ドル、日本円で約1001万円まで値を戻した。見出しの消費者物価指数(CPI)が3年超ぶりの高水準に達したにもかかわらず、である。

BTC/USD hourly chart. Source: TradingView
5月の米インフレは市場予想通り
5月の米CPIは前年比4.2%上昇した。前月比では総合指数が0.5%上昇。食品とエネルギーを除いたコアインフレ率は、前年比2.9%、前月比0.2%の上昇だった。ロイターも、エネルギーやガソリン価格の上昇がCPIを押し上げた一方、コアインフレは比較的抑えられていたと伝えている。

US headline and core CPI. Source: Bureau of Labor Statistics/Yahoo Finance
物価上昇の主因は、エネルギーとガソリン価格の上昇だった。中東情勢の緊張が再燃し、原油価格が押し上げられたことで、インフレ懸念が再び市場に広がった。
一見すれば、この統計はビットコインにとって弱材料に見える。
インフレが高止まりすれば、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ期待は後退する。米国債利回りは高止まりし、金融環境は引き締まる。そうなれば、暗号資産を含むリスク資産には売り圧力がかかりやすい。
だが、今回BTCが上昇したのは、インフレの数字が「恐れていたほど悪くなかった」からだ。
エコノミストらは、すでに総合CPIが4.2%に達すると予想していた。実際の数字はその予想と一致し、市場が警戒していた「上振れサプライズ」は回避された。
トレーダーたちは、この統計だけでFRBが一段とタカ派姿勢を強めるほどではないと受け止めた。その結果、リスク資産を買い戻す余地が生まれたのである。
これにより、ビットコインは長期サポート帯から反発する機会を得た。具体的には、200週指数平滑移動平均線、いわゆる200週EMAと、6万〜6万2000ドル、日本円で約963万〜995万円の心理的な価格帯である。

BTC/USD weekly chart. Source: TradingView
ビットコインは強気反転に入ったのか
ただし、CPI後の反発だけで、ビットコインが本格的な強気反転に入ったと判断するのは早い。
テクニカル面では、BTCはなお短期の重要レジスタンスを下回っている。4時間足チャートでは、20期間単純移動平均線、そして50期間単純移動平均線が上値を抑えている。

BTC/USD four-hour chart. Source: TradingView
さらに、BTCは「ベアフラッグ」と呼ばれる弱気パターンの中で推移しているようにも見える。
ベアフラッグとは、急落後に価格が右肩上がりの平行チャネル内で反発する形だ。平たく言えば、この上昇は新たな上昇トレンドの始まりではなく、次の下落に向かう前の“ひと休み”にすぎない可能性がある。
テクニカル分析の定石では、価格がフラッグ下限のトレンドラインを割り込むと、ベアフラッグが確定する。その場合、下落目標は直前の下げ幅を、ブレイクダウン地点から下方向に測って算出する。
この見方に基づけば、6月のビットコインの弱気目標は5万7800ドル、日本円で約927万円付近となる。現在値から約7.6%の下落余地がある計算だ。
一方で、救済反発のシナリオも残る
反対に、BTCがレジスタンスの集中帯を明確に上抜ければ、弱気シナリオは後退する。
そのレジスタンス帯とは、20期間SMA、50期間SMA、そしてフラッグ上限のトレンドラインが重なる場所だ。ここを突破できれば、ベアフラッグの構造は弱まり、目先の下落シナリオは無効化される。

BTC/USD four-hour chart. Source: TradingView
その場合、ビットコインは6月中に6万4000〜6万8000ドル、日本円で約1027万〜1091万円のレンジまで回復を広げる可能性がある。この水準は、フィボナッチ・リトレースメントの0.236および0.318ラインとも重なる。
要するに、今回のCPIは「買い戻しの口実」にはなった。だが、それだけで上昇相場の再開を宣言するにはまだ材料が足りない。ビットコインは今、1000万円前後の攻防を続けながら、弱気の旗をへし折るのか、それとも再び下へ滑り落ちるのか。その分岐点に立っている。

