
ビットコイン「5万ドル割れ」説が急浮上 強気派が見落とす4つの危険サイン
ビットコイン(BTC)の強気派は先週、13%に及んだ調整局面のなかで、心理的節目である6万ドル(約961万円)をなんとか守り抜いた。しかし、反発したからといって、下落リスクが消えたわけではない。米国とイランの緊張、そして利下げ期待の後退がリスク資産への投資意欲を冷やすなか、一部のトレーダーは「さらに深い崩落もあり得る」と警戒を強めている。

ビットコイン(BTC)の強気派は先週、13%に及んだ調整局面のなかで、心理的節目である6万ドル(約961万円)をなんとか守り抜いた。

BTC/USD daily chart. Source: TradingView
しかし、反発したからといって、下落リスクが消えたわけではない。米国とイランの緊張、そして利下げ期待の後退がリスク資産への投資意欲を冷やすなか、一部のトレーダーは「さらに深い崩落もあり得る」と警戒を強めている。
実際、ビットコインのバリュエーション指標やテクニカル指標のいくつかは、その見方を裏づけている。今後数週間で、BTCが5万ドル(約801万円)か、それを下回る水準を再び試す可能性があるというのだ。
ビットコインは平均生産コストである6万2650ドル(約1003万円)付近で推移しているが、下値としては電力コスト下限の5万120ドル(約803万円)まで下落するリスクがある。
グラスノードのMVRVバンドでは、BTCはすでに下限バリュエーション帯を下回っており、次の「割安圏」の目安は5万437ドル(約808万円)付近にある。
ビットコイン、平均生産コストを下回る危うい展開
警戒すべきシグナルのひとつが、ビットコインの生産コストモデルだ。これは、BTCの市場価格と、1BTCを採掘するためにかかる推定平均コストを比較するものだ。
カプリオール・インベストメンツ創業者のチャールズ・エドワーズ氏が示したモデルによると、ビットコインは現在、生産コストである約6万2650ドル(約1003万円)付近で取引されている。つまり、マイナーは平均すると、現在の価格ではほぼ損益分岐点にいるということになる。

BTC/USD weekly chart vs. production cost. Source: Capriole Investments
この水準は、過去にも長期的な価値判断の重要な目安として機能してきた。過去の弱気相場では、ビットコイン価格が生産コストと、より低い電力コスト推定値のあいだに入ったとき、強い買い需要が入りやすかった。
その下限は、チャートによれば現在5万120ドル(約803万円)付近にある。
言い換えれば、BTCはすでにマイナーのコスト面から見た重要な支持帯の上限を試している。売り手が現在の生産コスト付近を明確に下抜けさせれば、次の大きなバリュエーション上の床は、5万ドル前後の電力コスト水準になる可能性がある。
実現価格が示す「3万7500ドル底値」シナリオ
アナリストのフォリス氏が共有したチャートによれば、ビットコインの実現価格、つまり全BTC保有者の平均取得価格は、現在5万3600ドル(約859万円)付近にある。
歴史的に見ると、ビットコインは実現価格を下回らずに主要なサイクル底を形成したことがない。BTCは2011年に実現価格を約58%下回り、2015年には49%、2018年には47%、2022年には34%下回った。

Bitcoin realized price vs. spot price. Source: TradingView/Follis
下落幅は時代を経るにつれて浅くなっている。とはいえ、現在の実現価格から20〜30%下回るだけでも、底値圏はおよそ3万7500ドル(約601万円)から4万2800ドル(約686万円)のあいだになる。
今回のサイクルでは、ビットコインが実現価格を下回った日数は、いまのところゼロ日だ。これに対し、2022年は179日、2018年は140日、2015年は303日、2011年は122日だった。
このため、2026年第4四半期まで底打ちが持ち越される可能性もなお残る。6万ドルを明確に割り込めば、BTCはまず実現価格である5万3600ドル(約859万円)付近へ向かい、その後、5万ドルを下回る本格的な投げ売り局面への扉が開くことになる。
MVRVバンドも「5万ドル台」への下落を示唆
ビットコインのMVRV価格バンドも、5万ドル方向への一段安があり得ることを示している。
このモデルは、BTCの市場価格を、長期平均に対して割高か割安かを示すバリュエーション帯と比較するものだ。歴史的に、これらのバンドは大きなサイクルのなかで価格を引き寄せる磁石のように機能してきた。

Bitcoin MVRV extreme deviation pricing bands. Source: Glassnode
2021年の強気相場では、ビットコインは上限バリュエーション帯の近くで何度も天井をつけた。2022年の弱気相場では、価格は平均バンドを下抜け、その後、底を形成する前に下限バンドへと吸い寄せられていった。
2024年の調整局面でも、同じようなパターンが見られた。BTCは回復する前に、いったん下限のバリュエーション帯まで冷え込んだ。
現在、ビットコインは6万3000ドル(約1009万円)付近で取引されており、モデル上の下限バリュエーション帯である7万2035ドル(約1154万円)をすでに下回っている。次の大きな目安は、5万ドル近辺の「ディープバリュー」帯だ。
この水準は、ビットコインの実現価格である5万3600ドル(約859万円)にも近い。つまり、5万〜5万3600ドルのゾーンは、オンチェーン指標上の重要な支持帯として意識される。
したがって、6万ドルを明確に割り込めば、BTCが持続的な底を探る前に、この割安圏を再訪するとの見方は一段と強まる。
週足の弱気フラッグ崩れ、5万ドル割れも視野に
ビットコインの週足チャートでは、弱気フラッグが崩れた可能性がある。BTCは、50週単純移動平均線(SMA)である9万1700ドル(約1469万円)付近を回復できず、上昇型の持ち合いレンジから滑り落ちた。

BTC/USD weekly chart. Source: TradingView
現在、価格は200週SMAの6万2000ドル(約993万円)付近を試している。これは長期的に重要な支持線だ。週足終値で明確に下回れば、弱気の形が確認され、計算上の下落目標である5万ドル割れへの道が開くことになる。
週足の相対力指数(RSI)も、売られ過ぎの目安である30に近い水準まで低下しており、勢いの弱さを示している。BTCがすばやくフラッグの支持線を奪還できない限り、主導権はなお売り手にある、というのがチャートの語る冷徹な現実である。

