
ビットコイン6万ドル割れ警戒 現物ETFから資金流出、ハイテク株安も重荷に
ビットコイン現物ETFから流出した資金は19億ドル、約3040億円。ハイテク株も売りに押されるなか、「逃避先」のはずだったビットコインはヘッジ機能を失いつつあり、6万ドル、約960万円の大台割れが現実味を帯びてきた。

ナスダック100指数は6月10日までの7日間で7.5%下落し、時価総額にして2兆7000億ドル、日本円で約432兆円が吹き飛んだ。この規模は、ビットコイン(BTC)全体の時価総額の2倍を超える。高騰する原油価格がインフレ指標に再び火をつけるなか、トレーダーたちは警戒を強めている。焦点は、ビットコインが6万ドル、日本円で約960万円近辺のサポートを維持できるかどうかだ。

Nasdaq 100 futures (left) vs. Bitcoin/USD (right). Source: TradingView
イランで続く戦争は、北海ブレント原油を1バレル90ドル、約1万4400円超に押し上げた。投資家の間では、景気減速への懸念が広がり、金融引き締めが従来の想定より長引くとの見方が強まっている。雇用環境がどうであれ、消費に回せる資金は細っていく。
米労働省が木曜日に発表した生産者物価指数(PPI)は、2025年5月から6.5%上昇した。これは2022年以来の高水準である。CMEのフェドウォッチ・ツールによれば、トレーダーは9月までに米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに動く確率を40%と見込んでいる。1カ月前はわずか5%だった。
ビットコイン先物は木曜日、通常の現物市場に対するプレミアムが中立水準とされる4%を下回って取引された。強気のレバレッジ需要が乏しいことを示す数字だ。

Bitcoin 2-month futures annualized basis rate. Source: Laevitas
一方で、近日予定されているスペースX(SPCX US)の750億ドル、約12兆円規模の新規株式公開(IPO)は、申し込みが2倍超に達した。投資家がハイテク株の成長期待をまだ捨てていないことを物語る。
AIインフラ企業は、設備投資を続けるために巨額の資金を必要としている。これが、市場のネガティブな反応を一部説明している。グーグル(GOOG US)は800億ドル、約12兆8000億円の資金調達計画を発表。オラクル(ORCL US)とスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI US)もそれぞれ400億ドル、約6兆4000億円、70億ドル、約1兆1200億円の調達に続いた。金曜日に予定されているスペースX株のデビューは、今後のIPO市場の空気を決める試金石となりそうだ。

Selected AI sector stock performances. Source: TradingView & Cointelegraph
スペースXが1兆7700億ドル、約283兆円という評価額で史上最大のIPOを記録したことを踏まえれば、AIセクターを早くもバブルと断じるのは時期尚早だろう。
さらに、ドナルド・トランプ米大統領がイランへの攻撃計画を取りやめ、ホルムズ海峡の再開に向けた交渉再開を理由に挙げたことで、米株式市場は前向きに反応した。
ストラテジーの買い増し停止とビットコインETFからの資金流出
ビットコインの下落は、ストラテジー(MSTR US)が転換社債の圧縮を目的に、ビットコインの買い増しを一時停止したタイミングとも重なった。
その結果、同社の現金ポジションは配当支払いの7カ月分にまで低下。さらに、優先株「ストレッチ」(STRC US)は、追加の株式発行を可能にする100ドル、約1万6000円の水準から遠ざかった。

US-listed Bitcoin spot ETFs daily net flows, USD. Source: SoSoValue
6月に米国上場のビットコイン現物ETFから19億ドル、約3040億円が流出したことも、弱気ムードを強めた。ETFの資金フローは、機関投資家の需要を測る代理指標と見なされている。
現時点で、ビットコインを株式市場の急落に対するヘッジと呼ぶのは難しい。6万ドル、約960万円を割り込むさらなる調整の可能性は、排除できない。
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