ステーブルコイン発行企業テザーは、評価額5000億ドルでの資金調達に向け、投資家に対し今後2週間以内の出資コミットメントを求めている。需要が不足すれば調達を延期する可能性があるとされる。
エルサルバドル拠点のテザーは昨年後半から新規の資金調達を模索しているが、評価額に対する懸念から投資家の反応は慎重だという。ジ・インフォメーションが関係者の話として報じた。期待水準に達しない場合、調達は先送りされる見通しだ。
5000億ドルという評価額は、世界最大級の金融機関の一角に位置づけられる規模であり、米国ではJPモルガン・チェースを除くすべての銀行を上回る水準となる。JPモルガンの時価総額は約7945億5000万ドル、2位のバンク・オブ・アメリカは約3528億6000万ドルだ。
テザーのステーブルコインUSDTは現在、時価総額1840億ドルで世界最大のステーブルコインとなっている。同社はこのほか、金連動のテザーゴールド(XAUT)やユーロ連動のテザーEURTも展開している。
資金調達計画を巡る動き
ブルームバーグは昨年9月、テザーが最大200億ドル規模の資金調達を検討しており、企業価値は約5000億ドルに達する可能性があると報じた。非公開で約3%の持分を売却し、150億ドルから200億ドルを調達する案が検討されており、キャンター・フィッツジェラルドが主幹事を務めるとされた。
これに対し、テザーのパオロ・アルドイノCEOは、ステーブルコイン、流通拡大、AI、コモディティ取引、エネルギー、通信、メディアなど複数の事業領域を大幅に拡張するため、一部投資家からの資金調達を検討しているとXで説明した。
一方、アルドイノ氏は2月のコインテレグラフへのコメントで、最大200億ドル調達との報道については、あくまで仮定シナリオであり、具体的な計画ではないと否定した。ただし、同社の利益水準をOpenAIなどのAI企業と比較し、5000億ドル評価の妥当性は擁護している。
初の本格監査へ
一方で、フィナンシャルタイムズによると、テザーはUSDTの財務状況に関する初の完全監査を実施するため、KPMGを起用したとされる。PwCも内部システム整備を支援しているという。
これまで同社は、BDOイタリアによる準備金証明に依存してきたが、完全監査では資産や負債、内部統制を含むバランスシート全体の精査が行われることになる。

