フランス南部モンペリエ近郊で、配達員を装った男が仮想通貨投資家を銃で脅して金銭を奪おうとした事件が発生した。
フランスの地元メディアActu.frによると、容疑者は4月11日、仮想通貨投資家の住宅に侵入し、拳銃を取り出して投資家夫婦と子どもたちを部屋に押し込めた。その後、もみ合いの中で発砲があったが、父親が容疑者を取り押さえた。
負傷者は出ておらず、警察当局の捜査により25歳の容疑者が特定され逮捕された。現在は起訴されており、単独犯かどうかについて捜査が進められている。
この事件は、いわゆる「レンチ攻撃」の増加の中で発生した。レンチ攻撃とは、脅迫や暴力を用いて仮想通貨保有者に資金やシードフレーズの提供を強要し、デジタル上のセキュリティ対策を回避する手口を指す。今年に入りフランスでは少なくとも41件の仮想通貨関連の誘拐や不法侵入が報告されており、被害が拡大している。
フランスで「レンチ攻撃」が頻発
フランスでは約2.5日に1件のペースでレンチ攻撃が発生している計算となる。2025年にはこうした事件が75%増加し、世界全体で72件が確認され、数百万ドル規模の損失が発生したが、単一国としてはフランスが最多だった。
フランスのテックメディアであるGeneration-NTによれば、警察やサイバーセキュリティ専門家は、犯罪グループの一部が流出した顧客データから標的リストを作成している可能性を疑っているという。流出データから仮想通貨を多く保有する人物やその住所といった情報が特定されているとみられる。
こうした懸念は、仮想通貨企業でのデータ流出によってさらに強まっている。1月にはハードウェアウォレットメーカーのレジャーが、決済パートナーであるGlobal-eでの情報漏えいにより、一部の顧客の氏名や連絡先、注文情報が流出したと発表した。これにより、実住所と結びついた仮想通貨利用者のリストが新たに形成された形だ。

偽警官や身代金目的の誘拐も
フランスでは、偽の警察捜査を装った犯行や身代金目的の誘拐も相次いでいる。2月には、仮想通貨起業家のパートナーから仮想通貨を脅し取る目的で判事とその母親を誘拐したとして、6人の容疑者が逮捕された。3月の別の事件では、警察官を装った犯人がフランス人夫婦に対し、暴力をちらつかせて約100万ドル相当のビットコインの送金を強要したとされる。
フランス当局は、仮想通貨犯罪がコードを狙った攻撃から物理的な攻撃へと移行しつつあると指摘している。パリ・ブロックチェーン・ウィークでジャン=ディディエ・ベルジェル担当相は、仮想通貨保有者向けの予防プラットフォームを立ち上げたほか、内務省と連携し、デジタル資産に関連する誘拐や不法侵入の増加に対応する広範な対策を進めていると述べた。

