
ビットコインは9月から爆上げする?「弱気相場はあと2カ月」説が浮上
ビットコインは約1000万円まで下落し、投資家の不安が再燃している。だが、チャートには弱気相場の終わりを告げる「デスクロス」が出現。米国とイランの戦争、ホルムズ海峡の封鎖、米インフレ統計という火種が渦巻くなか、市場では「9月にも次の強気相場が始まる」との大胆予測が飛び出した。

ビットコイン(BTC)は新たな週を波乱含みで迎えた。市場参加者は、再び襲いかかるマクロ経済の乱高下に身構えている。
今週、ビットコイン市場で押さえておくべきポイントは5つある。
ビットコインは6万2000ドル(約1007万円)付近まで押し戻された。だが、一部のトレーダーは早くも「9月には弱気相場が終わる」と予想している。
さらに、BTC価格の週足チャートでは新たな「デスクロス」が出現。通常は下落を示す不吉なサインだが、過去の例を見る限り、今回はむしろ弱気相場の終わりが近い可能性を示しているという。
一方、米国とイランの戦争が再び市場を揺さぶっている。イランが原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡を封鎖したことで、暗号資産や株式などのリスク資産には逆風が吹く。
今週は米国の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)も発表される。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)のケビン・ウォーシュ議長が議会で今後の金融政策を説明する予定だ。
そして、100~1000BTCを保有する中規模投資家の間では、大規模な売却が発生している。投資家層によって相場観が真っ二つに割れている格好だ。
ビットコインの底値は「9月か10月」なのか
ビットコインは現在、2024年第3四半期以来の安値圏をさまよっている。
ところが、市場では早くも「今年9月にも強気相場が復活する」との説が浮上した。
トレーダーのライカーは月曜日、Xへの投稿で、これまで常識とされてきたビットコインの「4年周期」に疑問を投げかけた。
ライカーが問題視したのは、2013年以降のBTC/ドル相場における強気相場と弱気相場の周期を比較したチャートだ。
ライカーによれば、市場の大多数は「2026年の弱気相場の底はまだ先にある」と考えている。
しかし、マーケットメーカーは群衆心理を先回りする。一般投資家が底値を待っている間に長期的な反発を始め、できる限り多くの投資家を買い場から締め出す可能性があるという。
ライカーは次のように予測した。
「多くの人は、次のビットコイン強気相場が2027年に始まると考えている。しかし、マーケットメーカーは群衆が何を考えているのかを完全に把握している」
「私は、ビットコインが今年9月か10月ごろに急騰を始めると予想している。そして大多数の投資家は買い場を逃すだろう。このチャートを信用するべきではない」
この予測が出てきた背景には、複数のBTC価格指標がある。

BTC/USD one-week chart comparison. Source: Ryker/X
これらの指標は、前回の弱気相場が終了した2022年末以来、初めて本格的な反転シグナルを点灯させ始めている。
ただし、過去の相場周期を単純に当てはめた場合、現在の弱気相場はまだ若すぎるとの見方もある。年内に反転するには早く、弱気相場の進行度は現在およそ70%にすぎないとの分析だ。
不吉な「デスクロス」は、むしろ底打ちの合図か
ビットコインは週足の取引終了直後から売り圧力にさらされ、一時6万2500ドル(約1015万円)付近まで下落した。

BTC/USD one-hour chart. Source: Cointelegraph/TradingView
これにより、6万4000ドル(約1039万円)付近が短期的な抵抗線であることが改めて浮き彫りになった。先週は何度もこの水準を突破しようとしたが、すべて失敗に終わっている。
トレーダーのダーン・クリプト・トレーズは、Xへの最新分析でこう説明した。
「暗号資産は方向感がなく、株式市場も同じだ」
「ビットコインは約6万1000~6万5000ドル、円換算で約991万~1056万円の範囲に閉じ込められており、現在はちょうどその中間にいる」

BTC/USD one-hour chart. Source: Daan Crypto Trades/X
別のトレーダー、レナート・スナイダーは、レンジ上限を再び試す可能性すら低いとみている。
スナイダーは、6万3600ドル(約1033万円)をビットコインのショート、つまり売りポジションを仕掛ける次の水準として挙げた。
「注文フローを見ても、現物と無期限先物の双方で売りが出ている。資金調達率も依然としてかなり高いため、ある程度の下落圧力がかかることは、むしろ健全だ」
スナイダーによれば、BTC/ドルが5万7800ドル(約939万円)を割り込み、新たな安値をつける展開が「最も健全なシナリオ」だという。

BTC/USDT four-hour chart. Source: Lennaert Snyder/X
一方、トレーダーのジェルは、より楽観的だ。短期的に7万ドル(約1137万円)まで反発する可能性を捨てていない。
ジェルが注目するのは、週足チャートに現れた「デスクロス」である。
これは50週単純移動平均線と100週単純移動平均線が交差する現象を指す。一般には弱気サインとされるが、前回デスクロスが発生したのは2022年9月だった。そのわずか数カ月後、ビットコインは前回の弱気相場で底値をつけている。
ジェルはこう指摘した。
「過去を見ると、このシグナルが出た時点で、ビットコインの弱気相場はほぼ終わりかけていた」
「再び仕込みの季節が始まったという私の考えを裏付ける兆候が、ますます増えている」
つまり、名前だけを見れば恐ろしい「デスクロス」が、今回は弱気相場の終わりを知らせる鐘になるかもしれないのだ。

BTC/USD one-week chart with 50, 100SMA. Source: Cointelegraph/TradingView
ホルムズ海峡封鎖で原油高 暗号資産に新たな逆風
今週の市場を揺さぶる最大のマクロ要因は、再燃した米国とイランの戦争だ。
週末、イランは世界の原油輸送における要衝、ホルムズ海峡を「追って通知があるまで閉鎖する」と宣言した。
それ以前に成立していた脆弱な停戦合意は、一連の緊張激化によって崩壊。金融市場も即座に反応した。
米国産WTI原油は月曜日、1バレル=75ドル、円換算で約1万2180円まで上昇した。7月につけた安値からは約12%の上昇となる。

CFDs on US WTI crude oil one-hour chart. Source: Cointelegraph/TradingView
暗号資産教育プラットフォーム「コイン・ビューロー」の共同創業者兼CEO、ニック・パックリンは、紛争再燃による別のストレスサインを指摘した。
「米国の2年物国債利回りが2.35%を突破した。これは16カ月ぶりの高水準だ」
「イラン情勢が原油価格とインフレ期待を押し上げている。市場が発しているメッセージは明確だ。金利はより高い水準に、より長期間とどまる」
一般に金利の上昇は、暗号資産や株式などのリスク資産にとって逆風になる。

US two-year Treasury yield chart. Source: Nic Puckrin/X
米国株先物は慎重な値動きで週を迎えたものの、原油供給への脅威に対する反応は比較的限定的だった。
イランをめぐる悪材料が頻繁に流れる状況に市場が慣れてしまい、中東情勢だけを理由に大幅な調整が起きるとの見方を退ける参加者もいる。
暗号資産トレーダー兼アナリストのミカエル・ファン・デ・ポッペは、今回の下落についてこう主張した。
「私の考えでは、この調整は中東で起きている出来事とはほとんど関係がない」
ファン・デ・ポッペが注目しているのは、日本の債券市場だ。円はドルに対して数十年ぶりの安値圏に沈んでいる。
「今回の動きは、日本の国債利回りが再び上昇していることと、はるかに深い関係がある」
「今後1~2週間で利回りが崩れると予想している。そうなれば、ビットコインは自動的に上方向へブレイクするだろう」
実際、7月14日のドル円相場は1ドル=162円台で推移し、円は約40年ぶりの安値圏にある。米国とイランの緊張や原油高も、世界の金融市場に警戒感を広げている。

BTC/USDT one-day chart. Source: Michaël van de Poppe/X
CPIとPPI発表へ ウォーシュFRB議長は何を語るのか
イラン情勢が不安定化するなか、米国市場は今後数日間、重要なマクロ経済指標の発表も乗り切らなければならない。
最大の注目材料は、6月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)だ。
いずれも、FRBが7月末に金利変更を決定する会合を開く前に発表される、最後の主要インフレ統計となる。
イラン情勢の余波は、ここ数カ月にわたって米国のインフレ指標に表れてきた。CPIやPPIが市場予想から大きく外れれば、暗号資産を含むリスク資産が再び激しく動く可能性がある。

US CPI 12-month % change. Source: Bureau of Labor Statistics
市場分析メディアのコベイシ・レターは、Xへの投稿でこう総括した。
「極めてイベントの多い1週間が待っている」
火曜日にCPIが発表された直後、FRBのケビン・ウォーシュ議長は下院金融サービス委員会で、半年に一度の金融政策報告を行う。
ウォーシュ議長は5月の就任以来、綱渡りを強いられてきた。
一方には高止まりするインフレがあり、もう一方には利下げを求めるドナルド・トランプ米大統領からの圧力がある。
しかし、就任後初めて臨んだ政策金利会合では、ウォーシュ議長はタカ派的な姿勢を維持した。金融政策を緩和するとの明確な示唆は避けている。
CMEグループのフェドウォッチ・ツールによれば、市場は9月まで政策金利が据え置かれると予想している。その後については、0.25%の利上げが実施されるとの見方が過半数を占めている。

Fed target rate probabilities (screenshot). Source: CME Group
市場分析会社モザイク・アセット・カンパニーは、先週末に発表した分析で、金利市場が「綱引き状態」にあると表現した。
同社は特に、米国の30年物国債利回りが今後の株式市場に摩擦を生む可能性を指摘している。
「長期金利が上方向に突破すれば、相場上昇の障害になり得る。ただし、S&P500は短期的な強気チャートパターンを完成させつつある」
今週は、S&P500構成企業のおよそ10%が決算を発表する予定でもある。
なお、米労働統計局による6月のPPI発表は、米東部時間7月15日午前8時30分に予定されている。

S&P 500 chart data. Source: Mosaic Asset Company
中規模保有者が6万7000BTCを投げ売り
ビットコイン保有者の売却動向を示す新たなデータは、7月中にBTC価格が反発する可能性を補強している。
オンチェーン分析プラットフォームのクリプトクアントが月曜日に公表したデータによれば、100~1000BTCを保有するアドレスで大規模な売却が発生した。
寄稿者のアムル・タハは、ブログ記事で次のように説明した。
「100~1000BTCを保有するビットコインウォレットは、7月13日に約6万7000BTCの純売却を記録した」
「これは、約4万7000BTCが売却された2月19日以来、同グループとして最も強い売り活動だった」
この投資家層の動きは、過去3カ月間で大きく揺れてきた。4月下旬には、反対に目立った買い集めが確認されている。
ただし、タハによれば、100~1000BTCを保有する中規模投資家は、ビットコイン価格が強気に反転する前に保有量を減らす傾向があるという。
「歴史的に見ると、この投資家層による極端な買い集めは、2026年1月と4月のビットコインの局地的な高値付近で起きていた」
「一方、2月19日以降に記録された大規模な売却の後には、価格が反発した」
「今回のシグナルだけで市場の底を確認することはできない。しかし、中規模投資家の行動が過去に重要な転換を迎えた地点に、ビットコインが再び近づいていることを示している」

Bitcoin exchange inflow data (screenshot). Source: CryptoQuant
クリプトクアントのデータでは、7月中旬にバイナンスとコインベース・プライムへ流入するビットコインの量も減少した。
前週、BTC/ドルが6万4000ドル(約1039万円)まで上昇した際には、短期保有者による利益確定売りも発生した。
しかし分析では、この売りについても「強気相場に特徴的な現象」と評価されている。
足元のビットコインは6万2000ドル台、約1000万円前後で神経質な値動きを続けている。
弱気相場がさらに深まるのか。それとも、大衆が諦めた瞬間に「9月の爆上げ」が始まるのか。
少なくとも市場は今、誰もが分かる明確な上昇相場でも、安心して売れる下落相場でもない。
次の巨大な値動きを前に、買い手と売り手が互いの出方をうかがう、不気味な膠着状態に入っている。

