ブロックチェーン分析企業チェイナリシスは、ステーブルコインの取引高が今後10年で最大1500兆ドルに達する可能性があるとの見通しを示した。これは現在の世界のクロスボーダー決済規模を上回る水準となる。
同社が発表したレポートによると、ステーブルコインの調整後取引高は自然成長のみでも2035年までに719兆ドルに達する見込みであり、2025年の28兆ドルから大幅な拡大となる。
さらに、2つの主要な要因が重なれば、この数値は倍増する可能性があると同社は指摘する。すなわち、ベビーブーマー世代から若い仮想通貨ネイティブ世代への100兆ドル規模の資産移転と、ステーブルコインが決済インフラの標準となるシナリオだ。
チェイナリシスは「これらの要因を織り込めば、2035年の取引量は1500兆ドルに迫る可能性があり、現在の世界のクロスボーダー決済規模である約1000兆ドルを上回る」と述べた。

この予測は上限シナリオにあたる。実現すれば、2023年に8650億ドル、2024年に9050億ドルと推計された世界の送金額を大きく上回る規模となる。
また、銀行資産や不動産、現金を含む世界の総資産価値を約662兆ドルとするワールド・ポピュレーション・レビューの推計すら上回る水準である。
なお、719兆ドルに到達する場合でも、今後10年間で年平均約133%の複利成長が必要となる。
1500兆ドルは上限シナリオ インフラ整備が鍵
オーストラリアの仮想通貨取引所BTCマーケッツのアナリスト、レイチェル・ルーカス氏はコインテレグラフに対し、1500兆ドルは「基本ケースではなく上限シナリオ」としつつも、成長加速を踏まえれば現実的な可能性もあると述べた。
同氏は、取引高は資金の総量ではなく資金の移動回数を示す指標であり、同一資金が1日に何度も決済に使われ得る点を強調した。
「インフラはすでに整備されつつある。ストライプによるブリッジの買収、マスターカードとBVNKの提携は実証実験ではなく実運用への投資である。さらにGENIUS法による規制の明確化が進めば、機関投資家の参加はこれまでにない規模で拡大する可能性がある」と述べた。
さらに「世代間の資産移転がこれを後押しする。ミレニアル世代やZ世代はオンチェーンを特別な選択ではなく標準として捉える最初の世代である」と付け加えた。
2026年1月のOKX調査によると、米国の若年層ではZ世代の40%、ミレニアル世代の36%が今年中に仮想通貨活動を拡大する意向を示しており、ベビーブーマー世代の11%を大きく上回っている。
また、ステーブルコインは仮想通貨普及の主要な原動力としても位置付けられている。アーンスト・アンド・ヤングの戦略コンサル部門であるEYパルテノンが2025年9月に発表したレポートでは、世界の金融機関および企業の13%がすでにステーブルコインを利用しており、未利用者の54%が12カ月以内の導入を見込んでいる。
