ビットコイン投資家に対する量子コンピューターのリスクは現実的な問題だが、すべてのウォレットが脆弱というわけではないと、ギャラクシー・デジタルのリサーチアナリスト、ウィル・オーウェンズ氏は指摘した。
オーウェンズ氏は最新レポートで、理論上は量子コンピューターが公開鍵から秘密鍵を導き出す可能性があり、攻撃者が所有者になりすまし、署名を偽造してコインを盗むことができると説明した。
ただし、このリスクに対する脆弱性はウォレットごとに異なると主張した。
「実際のところ、現時点で大半のウォレットは脆弱ではない。資金がリスクにさらされるのは、公開鍵がオンチェーン上で露出した場合に限られる」と述べた。
オーウェンズ氏は、ウォレットが露出する主な経路は2つあると説明する。すでに公開鍵が可視化されているウォレットと、支出時に公開鍵が明らかになるウォレットである。
量子コンピューターが仮想通貨に与える脅威は、コミュニティ内で長年議論されてきた転換点のひとつだ。暗号を破る能力を持つ量子コンピューターは、ユーザーの鍵を解読し、機密データを露出させ、資金を盗み出す可能性があるとされてきた。
開発者は量子リスクへの対応を進めている
一方で、この脅威は過大評価されているとの見方もある。量子コンピューターの実用化にはまだ数十年かかるとされ、銀行など従来の主要ターゲットがビットコインより先に破られるとの指摘もある。
オーウェンズ氏は、ビットコイン・コアの開発者が量子関連の提案(ソフトフォークであるBIP 360など)を「無視し、門前払いしている」とするオンライン上の議論にも言及したが、実際にはそうではないとした。「2025年後半以降、提案の進展ペースは明確に加速している」と指摘する。
「一部の批判とは異なり、調査の結果、量子脆弱性とその緩和策に取り組む開発作業は相当程度進んでいることが確認された」と述べた。
「エコシステムには、問題全体をカバーする具体的かつ成熟しつつある提案群が存在する。これらは理論にとどまらず、ビットコインエコシステムの経験豊富な開発者によって、実際に開発・検証・議論が進められている」
業界の他の関係者も対策を提案している。ビットコインアナリストのウィリー・ウー氏は昨年11月、ビットコインをSegWitウォレットで数年間保有することが、量子関連のリスク軽減に役立つ可能性があると指摘した。
ガバナンスが課題となる可能性も
開発コミュニティが量子耐性の解決策に到達した場合でも、導入には課題が伴う可能性があるとオーウェンズ氏は述べる。「ビットコインにはCEOも取締役会も存在せず、ソフトウェア更新を強制できる中央権限もない」ためだ。
ただし、「この脅威は外部的かつ技術的で、影響が全体に及ぶという性質を持つため、過去のビットコインの経済的方向性を巡る対立とは異なり、利害関係者のインセンティブは一致しやすい」とも指摘した。「マイナー、保有者、取引所など、ネットワークに関わるすべての誠実な参加者は、ネットワークの安全性維持に直接的な経済的利害を持っている」。
「投資家にとっての要点は明確だ。リスクは現実に存在するが認識されており、それに対処できる立場の人々がすでに取り組んでいる」

