バイナンス創業者であるチャンポン・ジャオ氏(通称CZ)は、仮想通貨業界で最も知られた人物の1人である。法的・規制問題を経て服役に至った同氏は、自身の軌跡と転落を振り返る自伝を執筆した。
全364ページの『Freedom of Money』は、ジャオ氏自身の視点から人生とキャリアを描いたものであり、序文は2014年から共に働いてきたバイナンス共同創業者イー・ハー氏が担当している。
ジャオ氏は、自身の物語がこれまでメディア報道や訴訟資料、公的なコメントによって形成されてきたと指摘し、本書はそれらに補足的な文脈を与えるためのものだと位置づけている。
ジャオ氏によれば、この回顧録では、バイナンスの急成長と自身の転落の裏側にある人間的側面に焦点が当てられており、断片的な報道では見落とされがちな部分を描き出しているという。
内容は幼少期や金融・テクノロジー分野でのキャリアから始まり、2017年のバイナンス創業、そして世界最大級の仮想通貨取引所へと成長した過程を網羅している。
規制違反と責任
ジャオ氏は2024年、米国のマネーロンダリング規制違反で有罪を認め、4カ月の禁錮刑を受けた。これは米司法省との包括的な和解の一環であり、同氏はバイナンスCEOの職も退任した。
当初、米司法省は違反の重大性を踏まえ、より重い刑を求めていた。バイナンスは数十億ドル規模の罰金支払いと大規模なコンプライアンス改革の実施に同意している。
米規制当局は長年にわたり、マネーロンダリング対策や制裁遵守、無許可営業などの問題でバイナンスを捜査してきた。この和解により、仮想通貨業界でも最大級の規制案件の1つが決着した形となる。
本書では、こうした結果に至った意思決定や過ちについても言及されており、和解交渉や有罪認定、辞任の経緯が詳細に語られている。
また、連邦刑務所での生活についても記されており、グローバル企業のトップの立場から刑務所の囚人へと転落した経験が描かれている。
「お金の自由」という理念
タイトルにある「Freedom of Money(お金の自由)」は、本書の中心テーマを象徴している。
ジャオ氏は、仮想通貨が金融アクセスの障壁を取り除く可能性を持つとし、特に銀行インフラが未整備な国や資本規制の厳しい地域において、その意義が大きいと述べている。
バイナンスの成長の一因として、新興国ユーザーが同プラットフォームを通じて資金移動や通貨ヘッジ、グローバル市場へのアクセスを実現した点を挙げている。
一方で、急速な拡大が規制対応を上回り、コンプライアンスや監督体制に課題を生んだことも認めており、それが後の規制当局による追及につながったと振り返っている。

